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『群青色の心中』
〜貴方となら海の底まで〜
第1話 『決められた運命』
産まれた時から私の運命は決まっていた。
貴族の令嬢として産まれた私には選択肢などない。
恋愛結婚する事も。好きに遊ぶことも。
我儘を言う事も。許されない。
朝。執事の声で目を覚ます――。
『おはようございます。主様。』
『…おはよう。ボスキ。』
担当執事のボスキ・アリーナスが私を起こしに来る。
『本日の予定は、朝食を食べたら、9時 乗馬のお稽古。10時 ピアノのお稽古 11時 ホールでフェンシング 12時 お昼。13時 お見合いが入ってます。』
『今日の予定はそれだけなの?』
『はい。14時から夜ご飯の時間まで今日の復習です。今日の反省と次の予習をしておけと旦那様からの命令です。』
『ボスキ、私といる時は敬語じゃなくていいわ。』
『……。』
ボスキは私の身支度をする。
『今日の服はどれにするんだ?』
『そうね……これにするわ。』
ボスキは私に服を渡す。
毎日、同じお稽古の繰り返し。
1日のどこかに必ずお見合いが入る。
私は……家の為にこんなことしたくない。
外に出て…遊んでみたい。友達と遊ぶっていう楽しさを知ってみたい。
私は身支度を終え、部屋を出る。
食堂
『おはようございます、お嬢様。』
並んだメイド達が私に挨拶をする。
『おはよう。』
引かれた椅子に座る。
目の先にはお父様が私を見つめる。
『おはよう。メリア。』
『おはようございます、お父様。』
『今日の予定はボスキから聞いたか。』
『はい。あの、お父様、お見合いなんて――。』
『なんてとはなんだ。お前は父親の私の顔に泥を塗るのか?』
『っ、それは…。』
『お前を育てたのは誰だ?お前を産んですぐに亡くなった妻の代わりにお前をここまで育てたは誰だ。』
『…お父様です。』
『そうだ。お前はこの財閥ムスカリア家の長女として産まれた。お前は御曹司の子をなし跡継ぎを産んでもらう。お前は来年18だ。来年のお前の誕生日に結婚式を挙げる。』
『ら、来年…!?』
『あぁ。いいか。メリア。私はな。相手など正直誰でもいいんだ。お前が跡継ぎを産んでくれれば。』
お父様は昔からそう。私の意志など関係ない。
私のことを傀儡とでも思ってるんだ。
『返事は、メリア。』
鋭い瞳が私を射抜く。
『…。承知致しました。お父様。』
『おい。ソウマ。』
『はい、旦那様。』
ソウマはお父様直属の執事。私の産まれた時からずっとこの屋敷にいる。昔はよく一緒に遊んでくれた。でも、大きくなってからは口も聞かない。お父様の言いなりになってしまった。
『メリアにお見合い相手の写真を渡しておけ。』
『かしこまりました。』
『私はもう仕事で行く。お稽古サボるなよ。』
『…はい。お父様。』
サボることなんて出来る訳がない。幼い頃、
一度だけサボったことがあった。たった一度だけなのに、折檻された。1日部屋から出して貰えず、何度泣いたことか。
『…お嬢様。お見合いの写真に目を通しておいてください。』
バサッ。
テーブルの上に写真が何枚も広がる。
『…お父様に従順ね。昔はあんなに私に優しくしてくれたのに。』
『昔の話は嫌いです。』
『今ではお父様の下僕だわ。』
『貶す元気があるなら今日のお稽古は大丈夫そうですね。早く食べて下さい。ただでさえ時間がないんですから。』
『っ……。』
傍で見ているボスキが私の顔を覗き込む。
『主様。』
『…平気よ。ちゃんと行くわ。』
『……。』
9時 乗馬のお稽古
『はぁ、はぁ…っ。』
『お嬢様、馬は鋭い生き物です。乗り手の気持ちを汲んで不安になるのです。落ち着いて下さい。』
『結婚してから乗馬なんて必要ないと思うのだけど。』
『旦那様からの命令ですので。お稽古の指揮官、権利件は私にあります。旦那様から厳しくするようにと言われていますから。』
バシッ!
ソウマは私が乗ってる馬を叩いて走らせる。
『ヒヒーンっ!』
『わわっ!』
『ほら、ちゃんと乗ってください。怪我しますよ。』
10時 ピアノのお稽古
ダァンッ…。
『また一音外れましたね。手を出してください。』
バチンッ!
鞭で私の手を叩く。
『い……っ!』
『っ、主様……っ!』
ボスキは私に近付こうとする。
『大丈夫よ。ボスキ。お稽古中の担当執事の介入はお父様から禁止されているの。傍で見守ってくれてるだけで充分よ。』
『……くっ。』
『お喋りはいいです。続きを。』
『分かってるわ…。』
私は再びピアノを弾いた。痛みに耐えながら。
11時 フェンシング
シュッ!シュッ!
『あ…っ!』
『有効!』
『お嬢様、普段からこうして稽古をつけているのに上手くなりませんね。』
『はぁ、はぁ……っ。』
(もう、こんなことしたくない…。)
『もう、嫌よ…。私は、好きでこの家に生まれた訳じゃないのよ…?好きでも無い稽古をどうして続けなきゃならないの……っ?』
『……本気で言ってるんですね?』
『…っ。』
ソウマが私を睨みつける。
『我々にとって旦那様の決定は絶対です。貴方にはお世継ぎを産んで貰う。それが旦那様の願いです。所詮お嬢様は一人じゃ何も出来ない。一人で生きていくことも。いいですか?貴族として産まれたからにはその術を全うして下さい。』
『……っ。』
昔の貴方なら、そんな事言わない。
昔の、ソウマなら――。
回想
『お嬢様。お嬢様は何をして遊びたいですか? 』
『そうまがいっしょなら…それでいい!』
『ふふ、ありがとうございます。お嬢様はお優しいですね。』
『お嬢様、お返事は。』
『……。』
『はぁ…この後はお見合いが入っております。その顔でお見合い相手の前に出ないで下さいね。ボスキ、お嬢様にお見合いの支度をしろ。』
『…はい。』
お昼を食べた後、お見合いの場所へ向かう。
『お初にお目にかかり光栄です。メリア様。写真で見るよりお美しいですね。』
『ありがとうございます。』
『お父様から話は聞いていますよ。貴方は語学、剣術、乗馬に長けているとか。』
『え……?』
『楽器も演奏できるなんて流石ムスカリア家のお嬢様ですね。』
あぁ……。お父様は…最低だ。最初に私のことを伝えてしまえば、出来ないなんて言えないから。お世継ぎだけを産めばいいと言っていたけど、お父様は違う。御曹司と結婚させて企業を大きくしたいだけなんだ。私の事なんて二の次。このお稽古は出来ないことを無くすための……。
『えぇ……。私はお父様の言うことなら何でも従いますわ。』
笑顔の仮面を貼りつけて私は笑う。
『私も楽しみですよ。こんな素敵なお嬢様と結婚出来るなんて。おっと、気が早いですね。あはははっ!』
『……。』
14時 今日の復習
『……ソウマ。見張ってなくてもちゃんと復習するわ。』
『ダメです。貴方に説教しなきゃいけない事があるので。』
『何よ。』
『なんですか?先程の態度は。相手のヤーラン様に失礼だとは思わないんですか?将来あの方と添い遂げるかもしれないと言うのに。』
『これから先もお見合いはあるんでしょう。あの人と結婚するかどうかなんて分からないじゃない。』
『いいえ。旦那様が言うにはあの方と結婚させると言っております。』
『は……?』
『お見合い相手の写真はあくまで候補。旦那様が決めた相手は今日お会いになったあの方です。』
『ま、待ちなさいよ、あの方は私とふた周り歳が離れてるのよ…そんな人と結婚なんて私嫌よ…っ!』
『相手が歳を召していたとしてもお嬢様が若ければ子をなせます。』
全身がぞくりと震える。
『結局は……私に決定権なんてないじゃない。私は、お父様のなんなの…っ?』
『……。』
ソウマは私に近付く。
『な、何よ…嫌、来ないで…っ。』
『お嬢様は…男を受け入れるにはまだお若い年齢です。』
『は…?』
ドサッ!
ソウマは私を押し倒し、メガネを外す。
カチャ……。
『その身体に男を覚えさせましょうか。言っておきます……。お嬢様の男の誘い方を教えるのも私の稽古の一つですから。』
『ひ…っ!嫌!いやぁ!!』
じたばたと暴れる。
両手を押さえ付けられる。
『無駄ですよ、お嬢様。貴方は私には適 いません――。』
唇にキスをされそうになる。
『い、や…けて、助けて、ボスキ――!!!』
次回
第2話 『上書きして。他の男に触られた所なんて。』
コメント
2件
3個?いやそれ以上の数の大きなテストあったけど終わりました、ボスキのギャップが好きなのでめっちゃ嬉しいです、気温差激しいので気おつけてください