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井川奎
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―― いない……?
ピンポーン……
「取り立てみたいに鳴らしちゃ、ダメだよね……」
三度目を押すか、押すまいか、人差し指を立てたまま悩んでいると
『……ハイ……樋代?』
と応答があった。室内からモニター画面を見ているのだろう。
―― よしっ!
「志麻子さん、いますか?」
『はっ?』
「志麻子さんに用があるんですけど」
どちらでもいいけれど、二人ともいるならベストだ。
『そこで待って』
志麻子さんがいるかいないかは分からないまま、切れた。2分ほど待っただろうか……長い。
「作戦会議でもしているのかな?」
私は大した用事でもないんだけど……
傘を腕に掛けて、バッグの中から4枚の写真を取り出す。
「負けないんだから……」
母に会ったこともあってか、お金のことは頭になかった。ただ、彼らが何をどうしたって、私は諦めないと伝えたかった。
カチャ……ドアの開錠音がして出てきたのは……
「ご夫婦お揃いで、お休みのところ失礼します」
私は二人へにこやかに……たぶん、にこやかに挨拶をした。
「チッ……休み、って、嫌味を言いに来たのか?」
―― 土曜日だから言ったんだけど?
どういうことか分からずに二人を見比べると
「お前のせいで解雇された!」
「……懲戒解雇ってやつですか?」
「知らないのに言うなよ。普通解雇だ」
と徹さんがイラついている。
「私はこのあと出勤だけど。何の用?」
寝起きのような志麻子さんも不機嫌に私を見た。
「これを返しに来ただけです」
私は4枚の写真を二人に見せると
「まだ代理人もなしに、こんなものを人に送っているんですか?余計に自分たちの首を絞めるだけだと思いますけど?」
と言って、写真をゆっくりと慎重に破る。
私の顔だけは持ち帰って自分で処分したいから。
「あんたが既婚者と付き合ってたのは事実でしょ?」
「以前と同じ説明をする気はありませんし、先生からの文書も届いているはずです。ただ私は……あなたたちが周囲を巻き込んで騒いだって、何も後ろめたいことはない。それだけを伝えに来ました」
ビリビリッ……ビリ……
デジャヴだけれど、写真を破っていると、二人の顔色が変わる。
―― どこ見てるの?
「お姉さん、ありがとうな。やっと福田徹に会えたぜ」
「へっ……!?」
突然の声に、私は慌てて振り向いた。
コメント
3件
夜逃げするお金もないか〜 樋代ちゃんカッコいい✨ 取り立て屋サンきっちりガッツリ回収しちゃって下さい😊
樋代ちゃん、グッドジョブ👍 偶然とはいえ、ヤバいお兄さんをご案内〜🤣
いいぞーいいぞ〜樋代ちゃん! 破ってやれ〜!言ってやれ〜! おおお〜っ( ⁰͈꒨⁰͈ )オオ~!!! 取り立て屋のお兄さま????? 潜伏してたんだっ!!!徹!!! おリボン?熨付けて?お兄さまに大事にお渡ししなくちゃ😆 樋代ちゃんグッドジョブ(👍🏻ᴖ ·̫ ᴖ )👍🏻