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「全く、何回言ったらわかるの?」
「…すみません。すぐ直します。」
長い残業で心身ともに疲れ切っていたある夜。私は、家に帰ってゴロゴロしようと思っていた。
……が、何故かアイツがいた。
「やあ、鎖野郎。」
どうしてだ?ここは私の家だぞ。どうやって入ったんだ、合鍵すら作っていないのに。窓か?窓からなのか?だが、割った形跡もないしなんなら鍵は閉まっている…
ああだこうだ考えている間に、アイツから話しかけて来た。
「……お前、疲れてるのか?」
「ッ、貴様にそんなこと教える義理はないッ…!」
咄嗟にそう答えた。
そんな事聞かれるとは思っていなかった。まさか、コイツにそんな感情があったとはな…
私の仲間を殺した、ただ残虐で冷酷な奴だとばかり考えていた。少しだけ見直した。
……?見直した?私は何を考えているんだ、コイツを見直すなんて有り得ない!!
「早く帰れ!貴様に用はない!」
「…まあ、そう言わずに。」
目の前が、黒く温かい何かに覆われた。
確かに、さっきまでソファにいたのに。
どうして、コイツは…
私を抱きしめているんだ?
「……隈が出来ているぞ。全く、世話の焼けるやつだな…」
「!世話なんか頼んだ覚えはないッ!」
そう言って、突き飛ばそうとした。だが、突き飛ばせなかった。単に力が強いというのもあるが、何より、私がコイツを拒否しなかった…?
嘘だ、殺したくてたまらない相手なのに。今ならチャンスだ、殺れる…
そう頭は考えるのだが、体は動かない。
つう、
頬に生暖かい何かが伝った。気づけば私はコイツの胸の中で泣いていた。苦しかったものが一気に溢れたような、我慢していたものが解放されたような。子供のように声を荒げて泣いた。
限界だったのか。
ようやく気付いた。
治ってきた頃にはヤツの服はびしょびしょだった。すごく申し訳なくなってきた。
「すまない、私が不甲斐ないばかりに…」
「……いいんだ。クラピカ、頑張りすぎなんだ。少しでも良いから休んでくれ。」
「っ、どうしてお前はそんなに優しいんだ」
「今にも倒れそうな愛しい人を支えないアホはいないだろう?」
「……」
「ふふっ、顔に出てるぞ」
「本当にうるさいヤツだな」
「今日泊まるところがないんだが」
「……いい、泊まっていけ」
「♪」
いきなりヤったりしてないで、ただ甘い時間を過ごしてるクロクラが大好きです。
もちろん嫌いなわけじゃないですが、恨んでるけど意外な一面を見せられてびっくりしながらも甘えちゃうクラピカがすき。
それを包み込んで捕まえるクロロがすきです。