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月詠 涼
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鷹槻れん

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#極道
鷹槻れん

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鷹槻れん

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「最初のうちはさ、そのさんにお前のことを託した責任みたいなんを感じてるせいかな?って思ってたんだ。けど――」
柳川は困ったような顔で一瞬だけ私を見て……それから再度ふっと視線を横へ逸らすと、
「何かさ、そのさんとお前が仲良くしてるの見ると無性にムカついて……自分でもわけ分かんねぇって思うようになって」
そこで小さく溜め息を落として、恐る恐ると言った風に私の肩を抱いてくる。
私は柳川の体温と、彼の甘い匂いに心臓が忙しなく鼓動を刻んで痛いくらいで。
「今、お前の言葉を聞いてハッキリ自覚した。――俺、鳴宮のこと、好き……みたいだ」
ハッキリ自覚したとか言いながら、「好きだ」って断言してくれないところが何だか柳川らしくなくて。
そのことが逆に、これは現実なのだと私に突きつけてきた。
でも、同時にあまりに幸せすぎるこんなご都合主義な展開、有り得ないんじゃ?とも思って。
それがそのまま口をついて「嘘……」って言葉になって無意識に出てまう。
「馬鹿! ……嘘じゃねぇよ」
途端即座に不機嫌そうな声で柳川に否定されて、抱き締める腕に力を込められた。
「……ずっと。幼馴染みのことを好きだって言ってたくせに、フラれた途端お前の告白に乗っかるみたいになっちまって。俺のこと信じらんねぇって気持ちは分からなくはねぇよ。そもそも……。俺自身が自分の気持ちに1番戸惑ってる」
そこまで言って、決まり悪そうに吐息をひとつ落とすと、柳川が私の顔を覗き込んできた。
さっきまであんなに目を合わせようとしなかったくせに……いきなりズルイ。
そんなんされたらめちゃくちゃ照れちゃうじゃんっ!
突然のことにどうしたらいいか分からなくて、ソワソワと瞳を揺らせたら、
「なぁ、鳴宮。――俺のこと、調子いい奴だって思うか?」
私を見つめる柳川の目は、至極真剣で。
こんな目で見つめられて、大好きな貴方のこと、調子いいとか嘘ついてるだとか……そんな風に決めつけられるわけ……ないじゃない。
そう思って一生懸命ふるふると首を横に振ったら、
「……だったら言、凛。俺と付き合ってくれるか? その……お、俺の……彼女になって欲しいな、とか思うんだけど」
初めて。
柳川にどこか辿々しくも〝言凛〟って呼ばれて、心臓が大きくトクン!っと跳ねた。
「……ダメ、か?」
余りの衝撃に瞳を見開いたまま動きを止めてしまった私に、柳川が不安そうに眉根を寄せる。
ああ、そう。
決死の覚悟でした告白に、相手が即答してくれなかったら……すごくすごく不安になるよね。
めちゃくちゃ分かるよっ!
とか頭の中ではアレコレたくさん考えているのに。
全てがなかなかアウトプット出来なくて、胸の中でもう1人の私が、「言凛のポンコツ!」って拳を振り上げて怒ってる。
「ダメ……」
やっとポツンと言葉をつむげたのに、何てこと!
変なところで声が引っかかって身体が震えてしまった。
結果、柳川が落胆したように私を抱く腕を緩めたのを感じて違う!って心が騒いで。
「――なわけ、ない……! 嬉しいっ! 信じられないくらい嬉しくて……心臓が破裂しそうっ!」
今まで喋れなかった分、今度は堰を切ったみたいに感情が溢れ出して止まらなくなる。
「私ね、私ね、ずっとずっとこんな日が来ること、夢見てたの。ねぇ、柳川っ。これ、現実だよね? ドッキリでした!とか……そんなんじゃないよね!?」
息が上がるくらい一気に喋り続ける私に、柳川が驚いたようにキョトンとして、それからすぐに大笑いするの。
「俺、お前がそんな一気にまくし立てるトコ初めて見た」
言って、私をもう1度しっかり抱きしめてくれてから、小さく咳払いして言った。
「あの、さ。……お前そのさんと付き合ってる時、あの人のことはちゃんと究さんで呼べてたじゃん? ――なのに俺のことはずっと〝柳川〟のままなの?」
聞かれて私は思わず息を呑んだ。
「呼んでも……いい、の?」
前に柳川のことを下の名前で呼んだら、凄く辛い思いをさせてしまった。
だから私。ううん、だからこそ私、花々里さんとは違う呼び名で柳川のことを呼びたいって思ってて。
「あの……」
恐る恐る柳川を見上げて、
「えっともう1人の幼馴染みちゃん……」
しどろもどろになりながら一生懸命柳川のお母様の口から出た、あと1人の名前を思い出そうとしたら「小町?」って聞かれて。
私は小さくうなずきながら続けた。
「そう。その……小町さんは貴方のこと……何て呼んでる、の?」
じっと柳川を見つめて問いかけたら、柳川は「何で急にそんな……」って言いながらも、「確かヒロ君、だったかな」って教えてくれた。
「じゃあ……私は柳川のこと、ヒロって呼ぶ」
幼馴染みの2人とは同じじゃない、私だけの特別な呼び名が欲しい。
そう思いながら柳川を見上げて、確認するみたいに「ヒロ?」って呼び掛けたら、柳川が真っ赤になって「バカ、お前っ、それ反則だろっ」ってつぶやくの。
それから少し考え込むような仕草をした後、「コト」って静かな声音で私の耳に吹き込んできた。
「言凛、はそのさんに先越されたから……」
小さく、拗ねたみたいに付け加えられた言葉に、私たちって似たもの同士だねって思って。
「ねぇ、ヒロ、もう1回呼んで?」
そうお強請りしたら、彼が照れ臭そうに「コト」って呼んでくれて。
私はそんな柳川――ヒロ――の声に、ニッコリ笑って「はい」って返事をした。
***
「そういえば……タクシー来ないね?」
こんなに長いこと話しているのに、呼んだはずのタクシーが来る気配がないことに気が付いた私は、ヒロの腕の中で小さく身じろいだ。
ヒロのことだから、そのさんに「俺が送って行きます」って言ってくれた時点で手配してくれていそうなのに。
「あ……」
そこでヒロがしまったって顔をしてそうつぶやくから、私、もしかしてって思って。
「まさか呼んでない……とかじゃない、よね?」
そう聞いたら「そのまさかだな」って苦笑するの。
しっかり者の彼にしては有り得ない凡ミスに、
「珍しいね」
クスッと笑いながらそう言ったら、「お前のことで一杯一杯だったんだよ」って拗ねたみたいに吐き捨てるの。
そっぽを向いた顔が、薄暗がりでも赤らんでいるのが分かって、私はキュンとしてしまう。
何これ。
私の彼氏が物凄く可愛いんですけど!?
「あの、ね……」
そこで彼の顔を見上げて言葉をつむごうとしたら、
「まだ離れたくないって思ってんの……俺だけか?」
とか。
今まさに同じことを言おうとしてました!
「私も……」
なんだか照れくさくなって、うつむいてそう応えたら、「コトの家、行っていい?」って聞かれて。
私は「うん」って小さくうなずいた。
コメント
2件
呼び名のこだわり♥
私、この両想い回で胸がギュッてなった……!特に「ヒロって呼ぶ」って決めて呼び名交換するシーン、めちゃくちゃ甘酸っぱくてニヤニヤしちゃったよ。柳川が「コト」って呼ぶ時の拗ねたような照れ方、反則すぎるって思ったわ。しかもタクシー呼び忘れて「まだ離れたくない」って流れも最高だった。2人の初々しさ満載で、これからどうなるのかめっちゃ気になる🔥