テラーノベル
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会計を済ませ、店を出ると、両手いっぱいに袋を抱えた咲は少しよろめいた。
「わっ……」
すぐ横から伸びてきた手が、ひょいと袋を持ち上げる。
「貸せ。妹ちゃんには重いだろ」
「い、いえ、大丈夫ですから!」
慌てて言うが、悠真は聞かずに袋を片手にまとめて持ってしまう。
「ほら、手ぶらのほうが楽だろ」
軽く笑う横顔が、夕日のオレンジに照らされてやけに大人びて見えた。
「……ありがとうございます」
小さく頭を下げると、悠真は何でもないように前を歩き出す。
隣に並びながら、咲は胸の奥がじんわり熱くなるのを止められなかった
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