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間柄に名前をつけるなら

55 - 第3章 気づきたくない気持ち 第55話

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2025年08月29日

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スーパーからの帰り道。

袋を軽々と持つ悠真の横を歩きながら、咲は歩幅を合わせるのに必死だった。


「妹ちゃんって、いつも家のこと手伝ってるんだろ?」

不意に声をかけられ、心臓が跳ねる。


「え、あ……まあ、はい。父が仕事で遅いので」


「偉いな。俺、高校のときなんて何もしてなかったぞ」

軽く笑う声に、胸がじんと温かくなる。


――褒められるだけで、どうしてこんなに嬉しいんだろう。


「……悠真さんは、今、就活とか大変じゃないんですか?」

勇気を出して聞くと、一瞬だけ表情が真剣になる。


「まあな。でも、亮んち来ると気が抜けるんだよ」

そう言って笑う姿に、咲の胸はさらに熱を帯びた。

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