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スーパーからの帰り道。
袋を軽々と持つ悠真の横を歩きながら、咲は歩幅を合わせるのに必死だった。
「妹ちゃんって、いつも家のこと手伝ってるんだろ?」
不意に声をかけられ、心臓が跳ねる。
「え、あ……まあ、はい。父が仕事で遅いので」
「偉いな。俺、高校のときなんて何もしてなかったぞ」
軽く笑う声に、胸がじんと温かくなる。
――褒められるだけで、どうしてこんなに嬉しいんだろう。
「……悠真さんは、今、就活とか大変じゃないんですか?」
勇気を出して聞くと、一瞬だけ表情が真剣になる。
「まあな。でも、亮んち来ると気が抜けるんだよ」
そう言って笑う姿に、咲の胸はさらに熱を帯びた。