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朝倉先生が、帰ってからも熱に浮かされたようで、気持ちがホワホワとしていた。

まさか、ザ・パーフェクトの朝倉先生とボロボロのシングルマザーの私が付き合う事になるなんて、現実感がなさすぎる。


はぁ~、夢なら覚めないで!!

と、幸せに浸っていたら、携帯がブルブルと震えだした。


携帯電話の画面にはメッセージが入っていると表示された。それは、将嗣からだ。

夢から醒めた瞬間に思わず「チッ」と心で舌打ちをする。


『美優ちゃんを認知したいと思っている。その件をゆっくり話し合いたい』


美優の事を持ちだされると断ることも出来ない。

けれど、今日の朝倉先生に対しての態度は許せない。


将嗣に返事をしようと思ったが、何から切り出していいのか考えがまとまらずに、メッセージを打ち込む手が止まってしまう。


子供が居て、ゆっくり話が出来る場所なんて、自宅とかになってしまう。

かと言って、朝倉先生と付き合う事になったのに、将嗣を自宅に招くのは違うような気がする。

話の内容も内容だし、これには困った。


大体、認知って、どういう事なんだろうか。

《《戸籍に入れる》》という漠然とした認識しかない。



ネットで検索を掛けたところ。

『【民法】779条に嫡出でない子は、その父又は母がこれを認知する事ができる』

と、書いてあった。

要するに、認知すれば正式に親子関係が戸籍に記載されるということだ。

認知をしてもらうと、教育費を請求できたり、相続権が発生したり、万が一私に何かあった時には、将嗣に美優を頼むことができる。

デメリットは、将来的に将嗣が介護か必要になった時、介護責任が発生する。


うーん。

私が、拒否をしても民法上は、将嗣から認知請求をする事も出来るわけか……。

実の親子という事は、事実だから将嗣が認知をしたいといったら、せざるを得ないのだ。

「認知届」なるものを提出とも書いてあった。


はぁ~。なんだか、いろいろ難しくて分からないし大変な印象だけが残った。



色々考えすぎて返事が送れずに携帯を握りしめたまま、頭を抱える。

すると、携帯電話の着信音が鳴り、ブルブルと振動を始めた。慌てて画面を見ると将嗣からだ。


くそー。ラインは通話も出来るんだった。

苦々しく思いながらタップをして電話に出る。


『夏希、今、話せる?』


と明るい将嗣の声が聞こえてきた。ちょっとイラっとして、開口一番クレームを入れる。


「将嗣。なんで、人の仕事相手に余計な自己紹介してんのよ!」


『アイツ、俺たちの間に入って来て、ナイト気取りで、夏希に気があるのバレバレだって、だからライバルとして牽制しておいた』


あまりの言い草に呆れた声が出る。


「はあ? ライバル?」


『夏希とやり直したい俺と、夏希に気のあるアイツ、これをライバルと言わず何というか!』


「私の仕事が無くなる危険性とか考えないの?」


『俺と結婚して、夏希と美優ちゃんを養うから大丈夫!』


「私は、好きで今の仕事をしてんの…………うざっ」


プチッ ツーツーツー


通話を切ってやったわ!! ふん!


再び携帯電話が震える。今度はトークだった。


『日曜日、14時に迎えに行く』


と、書いてあり、仕方がないので返信メールを送る。


「チャイルドシートが無いと美優が車に乗れないよ」


『用意したから大丈夫』


こういう事に気が回るのは、将嗣らしいと思った。


「了解」


送ると直ぐに既読がついて、ハーッと息をつく。


面倒な事だけれど、美優の将来のためにクリアしなければならない問題だ。勝手に産んだとはいえ、相手のいる問題は、デリケートで難しい。




一年半前に別れた相手に対する想い。あのころ抱いていた恋心は、彼の裏切りによって砕け散ってしまった。

あの時は、ショックでいっぱい泣いて過去の物になった。

それを今更、やり直そうと言われても困る。


既婚者なのに独身だとウソをつかれていたのは、ショックだった。


でも、知らなければ、どうなっていたんだろう。

ずっと、騙されたままだったのかな。


騙されたまま、妊娠、出産……。世帯者だと知らないままなら、将嗣との結婚を夢見ただろう。

そう思うとゾワリとした。


もしも、あの時は、誰しも考える事。けれど、考えてもあの時には決して戻れない。


離婚して今は独身に戻りました。やり直そう。

と言われても無理なものは無理だ。

あの頃の気持ちは、既に過去のものになっている。




それに今は、朝倉先生が私の心を占めている。

名無しのヒーロー

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