テラーノベル
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この話はアメリカ視点です。
「キャンプ行こうぜ!」って誘ったら、日帝は「わかった。」って二つ返事。待ち合わせ場所に現れた日帝を見て、俺は目を疑った。
手ぶら。完全に手ぶら。
「なぁ日帝、荷物は?」
「荷物?」
「テントとか寝袋とか…」
「ああ、大丈夫大丈夫」
嫌な予感がした。
キャンプ場に着くと、日帝は周囲を見渡して「よし」と頷いた。
「まずは住居だな」
そう言うと、落ちている枝を拾い始めた。太めの枝を4本、地面に突き刺して骨組みを作る。そこに葉っぱの付いた枝を編み込んで…シェルター?これシェルターなのか?
「寝床は?」
「これだ」
日帝が指差したのは、地面に散らばった落ち葉の山。それを集めて、さっきの簡易シェルターの下に敷き詰めていく。
「待て待て、焚き火はどうすんだよ」
「ああ、火起こしだな」
ポケットから眼鏡を取り出すと、レンズで太陽光を集中させて枯れ葉に…マジか。本当に着いた。
「食料は俺が持ってきた分でいいけど…」
「いや、あっちに山菜生えてたから採ってくるわ」
え、なに、こいつ。
昼過ぎ
「腹減ったな。昼飯にするか」
俺がクーラーボックスから肉を取り出そうとすると、日帝が立ち上がった。
「ちょっと待って。食材調達してくる」
「は?」
日帝は森の中へ入っていき、10分後、両手いっぱいに何かを抱えて戻ってきた。
「フキノトウ、タンポポ、ヨモギ、それとクレソン。あと食べられるキノコ」
「…お前、それ全部わかるの?」
「昔食べた」
昔食べた..だと…?毒あるやつも食べたのか…?
日帝は俺が持ってきた鍋を借りて(そこは借りるんだ)、山菜を洗って湯がき始めた。フキノトウは天ぷらにしたかったらしいが、さすがに油は持ってきてないので諦めて、塩茹でに。
「ウッマ」
予想外にうまかった。というか、新鮮だからか、市販の山菜よりずっと風味が強い。
「だろ?野生の味ってやつ」
得意げな日帝を見ながら、俺は自国の高級レトルト食品の存在意義について考え始めていた。
午後
「よし、次は水の確保だな」
日帝が川に向かって歩き出す。
「水なら持ってきてるけど…」
「いや、濾過装置作る」
日帝はペットボトル(俺が飲んだやつを回収していた)の底を切り取り、中に砂、炭、小石を層状に詰め込んでいく。
「これで川の水を濾過すれば…」
「待て待て!それで安全なのか!?」
「一応煮沸もするから大丈夫」
一応って何だ一応って。
でも実際、濾過した水を煮沸したら、飲めないこともなかった。飲みたくはないけど。
「次は何すんの…」
もう聞くのも怖い。
「釣り竿作るぞ」
「釣り竿…」
日帝は細くてしなやかな枝を選び、俺のザックに付いてた予備の紐(勝手に使うな)を結びつけ、針の代わりに…待て、それ俺のキーホルダーの安全ピンじゃないか!
「日帝!?」
「大丈夫、後で返すから」
15分後、日帝は本当に魚を釣り上げていた。小さいヤマメだけど。
「すげえ…」
「餌はさっきの山菜採りのときに見つけた虫。食いつき良いだろ」
もう何も言えなかった。
夕方
日帝が釣った魚を、俺が持ってきたナイフで(そこは借りるんだ×2)さばいている。手際が妙に良い。
「お前、ほんとに何者なんだよ」
「ただ日帝」
「どんな人生送ってたらこうなるんだよ…」
「食欲だけはあったからなんでもいろんな調理して食った。」
やばいな。
焼き上がった魚は、シンプルに塩だけなのに(塩は俺のを使った、そこは借りるんだ×3)、驚くほど美味かった。
「”きゃんぷ”って良いな」
日帝が満足そうに言う。
「お前のは、もはやキャンプじゃなくて野営だろ…」
でも、認めざるを得ない。俺の最新ギアを使った快適キャンプより、日帝の原始的なやり方の方が、なんというか…充実してる気がする。
夜時間
夜になると、日帝は満足げに自作シェルターの中でゴロンと横になった。
「快適だろ?」
「…お前、前世はサバイバル講師か何かか?」
「だから、ただの日帝だ」
違う、そういう話じゃない。
「明日は罠作って、もっと大きい魚獲りたいな」
「いや、明日は普通に観光して帰るぞ」
「残念」
俺の最新テントが急に虚しく見えた夜だった。
そして翌朝、日帝が本当に罠を作り始めたのを見て、俺は次からは絶対に装備チェックしようと心に誓った。
どうも、皆さん初めまして、とめいとーと申します。初めて書いてみたんですがどうっすかね、ははは
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