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読んでいる途中でバッドエンドかと思いましたが上手くいきそうで良かったです。これから2人は仲良く付き合うんでしょうね(^^)
一瞬めっちゃ焦った、、
「・・・っ。」
カルドのオーターに触れる事が叶わず、行き場を失った手が叩かれた頬にそえられる。
手をそえたまま、カルドはオーターに視線を向けた。
視線の先のオーターは、腰の痛みに耐えながら唇を噛み締め、カルドが焦がれてやまない蜂蜜色の瞳に怒りの感情を乗せながら睨んでいた。
ズキンとカルドの胸に痛みが走る。
(いや、あんな事をしたんだ。オーターが怒るのも当然だ。僕に傷つく権利なんてない。)
カルドがそう思いながらオーターを見つめていると、オーターが口を開いた。
「カルド。」
「・・・はい。」
「貴方、ご自分が何をしたのか分かっているんですか?相手の意思を無視して性行為に及ぶなど、立派な犯罪行為ですよ。神覚者ともあろう者が聞いて呆れますね。」
「・・・・・そうだね。君の言う通りだ。」
「全く、私だからよかったものの。他の者だったら間違いなく訴えられてますよ。」
「え、そうしないの?」
「貴方がヤるだけで私を放置していたならば、そうしてましたよ。ですが、」
オーターはそこで一旦言葉を切り自身の体を見た。
今のオーターの格好は全裸ではなく、事後処理もされ服をきちんと着せられている状態だった。
オーターがカルドの方に視線を戻し、話を続ける。
「貴方はそのまま私を放置せずに事後処理をなさって服まで着せてくれていました。それに私の目が覚めるまで待っていてくれたのでしょう?」
「・・・・・・うん。」
「ですから、訴えたりしませんよ。」
「・・・・うん。」
「貴方、先程からうんとしか言ってないじゃないですか。私は別の言葉が聞きたいです。」
「別の言葉?・・・・薬を使って君を無理矢理抱いてごめんね。もう二度としない、誓うよ。」
カルドの言葉にオーターが小さくため息をついた。その反応にカルドが戸惑う。
(え、僕何か間違えた?)
「確かにそれもですがね。・・・カルド。」
「何?」
「貴方は何故、薬を使ってまで私を抱いたのですか?」
オーターのその言葉に、カルドは彼が何の言葉を求めているのかに気づいた。
(いいのかい?僕がその言葉を口にしても。僕にそんな資格は。)
カルドが躊躇っていると、
「カルド。」
とオーターがカルドの名を優しく呼んだ。
その声に背中を押されるようにカルドは、彼を真っ直ぐに見つめながらその言葉を口にした。
「オーター。」
「はい。」
「君の事が好きだ。僕と付き合ってほしい。」
「カルド。」
カルドの真っ直ぐな視線と告白に、オーターが口元に微笑を浮かべる。が次の瞬間スッと真顔になり、
「嫌です。」
とカルドの告白をそのたった一言でバッサリと切り捨てた。
「えっ。」
「『えっ』じゃありません。どこの世界に自分を襲った人と付き合うお人好しがいるというんですか。」
「うぅ、そうだね。」
オーターの容赦ない言葉にガックリと肩を落として落ち込むカルド。
そんな彼をじっと見つめながら、オーターはこう続けた。
「と思いましたが。・・・カルド、一つ賭けをしませんか?」
「賭け?」
「ええ。期間は三ヶ月でお試しで付き合って、その限られた期間の中で貴方が私を惚れさせる事ができたらそのまま付き合い、惚れさせる事ができなければ諦める。どうですか?やりますか?」
オーターからの思ってもみない提案に、カルドは大きく頷く。
「うん、やるよ。絶対に君を僕に惚れさせてみせる。」
「決まりですね。」
こうして、カルドのオーターを手に入れるための長い奮闘劇が幕を開けたのだった。
・・・・・
・・・・・
(まあ、貴方が私を惚れさせるのもそう難しくはないと思いますよ?)
・・・どうやら、カルドがオーターを手に入れるのもそう長くはかからなそうだ。