テラーノベル
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会場に到着すると、🌸は建物の大きさと絢爛な内装にタジタジになってしまった。
「大丈夫だよ、主様。何があっても私たちが守ってみせるからね」
「そうですよ!それに、主様は何処のご令嬢よりもお綺麗ですからね!」
「はい・・・とても美しいですよ・・・。もし、豚さんが主様の悪口を言ったら、私が全部壊して差し上げますから・・・」
🌸『ありがとう・・・壊すのはちょっと、遠慮しとこうかな・・・』
「そうですか・・・?残念ですね・・・」
ラトのぶっ飛んだ発言のお陰で緊張も大分解れた🌸は背筋を伸ばして会場に向かった。
ざわっーー
🌸が会場に入ると、貴族たちの視線が一気に集中する。
“アレが?”
“新しい主って話よ”
“赤ん坊を連れているわよ”
“悪魔執事は美形揃いだものね、羨ましいわ”
“こんな所に赤ん坊を連れてくるのはどうかと思うがね”
“それにしても、貧相な身体つきですこと”
“衣装だけ立派でもねぇ・・・”
ヒソヒソと陰口が全体に広がっていき、嫌でも🌸の耳にも届いてしまう。
(私のことはどうでもいいんだけど・・・🌼のことをこんなに言われるなんて・・・)
🌸はフィンレイの命令で連れてきた🌼に対しての言い草に少しカチンと来た。
ラトが今にも暴れだしそうなのを手を繋いで抑えていると、フルーレが気遣わしげに囁いた。
「大丈夫ですか・・・?その・・・」
🌸『うん・・・ちょっとびっくりしたけど、大丈夫・・・』
深呼吸してから微笑むとフルーレはホッとしたように力を抜いた。
悪魔執事達の邪魔にならないよう、お付きの執事に🌼を抱っこしてもらい壁の花になっていることにした。
最初は地下の執事たちが抱っこしていたが、演奏の準備があるとのことで近くに居たラムリと交代した。
「主様!どうですか?何か困ったこととかありませんか?」
ラムリは🌼を抱っこしてニコニコとたくさん話しかけてくれた。
こっちの料理が美味しかった、このジュースが美味しい、と小皿やグラスをお盆に乗せて持ってきてくれ、小さなテーブルの上は色とりどりに彩られた。
料理を堪能しているとミヤジ達の演奏が始まった。
🌼はミヤジの演奏を気に入っているらしく、声は出さずに大はしゃぎしていた。
「めっちゃお利口さんですね・・・」
その様子はラムリがびっくりするほどだった。
〔あ、ねぇ、あのきぞく、なにかもってる〕
〔ほんとだ〜悪意のにおい〜〕
〔みてくるね〜〕
その間、チビ悪魔達は1匹は子守に残り、それ以外は偵察に向かっていた。
偵察部隊の1匹が強い悪意の匂いを嗅ぎ取り、その見るからに怪しげな貴族に近づいていく。
“おい、お前!悪魔執事の主のグラスにこれを入れろ”
“は、はい、畏まりました・・・”
〔ぐらすに、なにかいれるって!〕
〔じゃましよう!〕
チビ悪魔は近くの小太り貴族の肩を押して召使いにぶつけた。
“うおっ!”
“わっ!”
ーーガッチャン!
“な、なにをしておる!気をつけんか!”
“も、申し訳ございません!”
召使いは持っていたグラスと粉薬を落としてしまい、怪しい貴族に怒られていた。
〔これで、なんとかなったの〜〕
〔でも、まだにおう〜〕
〔さがすの〜〕
チビ悪魔達はふわりと浮き上がり、高いところから濃い悪意の匂いの発生源を探り始めたのだった。
演奏が終わるとフィンレイを始めとした上流貴族が入場した。
これから挨拶の仕事が始まるのだ、と🌸が気を引き締めているとベリアンとルカスが迎えに来た。
🌼はルカスが抱っこしようとしたが、注射だの薬だののせいか嫌がってぐずったのでベリアンに抱っこしてもらい、ルカスにエスコートをしてもらった。
フィンレイの前に立ち、ベリアンに教わったとおりにゆっくりとカーテシーをして頭を下げる。
🌸『フィンレイ様、ご招待いただき誠に有難うございます。
私はこの度新たな主となりました、🌸と申します。
これから悪魔執事の主としてグロバナー家のお役に立てるよう尽力いたしますので、どうぞよろしくお願いいたします』
練習した通りの台詞を言い終わると、ルカスがにこりと微笑んで🌸を安心させた。
「うむ、これから宜しく頼むよ悪魔執事の主。
・・・ところで、後ろの赤子は君の子・・・で間違いないのかな?」
フィンレイは小柄で肉付きも良いとは言えない🌸が母親であるとは信じられない様子で🌼と🌸を見比べている。
🌸『はい、私の娘です。🌼と申します』
🌸はベリアンから🌼を受け取り、フィンレイに顔を見せる。
「ふむ・・・確かに似ているな・・・
私も抱いていいだろうか?」
🌸『はい、どうぞ』
🌸が🌼をフィンレイに渡そうとすると🌼がぐずりだし、抱っこすると大泣きし始めてしまった。
🌼『ああああぁぁぁぁぁぁぁあああああああっっ!!!』
皆がルカス以上に嫌がる🌼に驚いていると、フィンレイは悲しそうに🌸に🌼を返した。
「どうやら嫌われているようだね・・・」
🌸『そんな・・・人見知りかな?どうしたの?』
🌼『ぅえええっ、あああぁぁあああん、ふぇっ、ふえぇぇぇん』
🌼は🌸に甘えるように抱きついて泣いている。
「恐らく人見知りかと思われます。執事たちは大丈夫だったので人見知りしない子かと思っていたのですが・・・」
ルカスにそう言われてフィンレイは少しだけ持ち直したらしく、しょんぼりした雰囲気が少しマシになった。
「そうか・・・まぁ、仕方ないな、初めて会ったのだから・・・」
🌸『すみません・・・』
「いや、いいんだ、気にすることはない」
申し訳無さそうにしている🌸にフィンレイは気にしないように言い、これで挨拶は終わりになった。
〔あ!あのひと!わるくち、いってる!〕
チビ悪魔達はフィンレイに挨拶している🌸達を見て陰口を叩いていた貴族たちの固まりを見つけた。
“それで?アレはどうするの?”
“そうだな・・・あの子どもを人質に取れば言うことを聞くだろう”
“では、あの主は?”
“最悪殺しても構わん。主はまた現れるからな”
〔ゆるせないの!〕
〔まって!まだきくの!〕
“ーーそうすれば我々の権力はいよいよグロバナー家に追いつきそうですな”
“あぁ、あの便利な道具さえ手に入れられれば、な”
“悪魔執事達には精々働いてもらわなきゃね・・・グロバナー家もあの家もこの家も潰してもらわなきゃいけないし”
“さて、主の子どもを攫う手立てを相談しましょうか・・・”
〔もういいの?〕
〔もう良いぞ、あとは任せなさい〕
チビ悪魔達が子守の1匹を除いて合体して大きな悪魔の形を作った。
それはチビ悪魔達の主である大悪魔の分身となり、🌸達に危害を加えようとしている貴族たちを追いかけて客間の1つに入っていった。
“さて、ではここでーーー”
〔ごきげんよう、人間。良い夜だな?〕
“!?な、何者だ!?貴様ぁ!?”
大悪魔が姿を現すと、貴族たちは腰を抜かしてしまった。
〔くっふふふ、何者か、か・・・。悪魔、と言っておこうか、人間?〕
“あ、悪魔ぁ!?”
〔まぁ、お前達に名乗るのも勿体ないか・・・なにせ・・・
お前達は今夜、ここで、死ぬのだから〕
大悪魔は翼を広げて部屋を包み込むと、その牙と爪で残虐の限りを尽くして貴族たちを襲った。
貴族たちの奏でる悲鳴と肉の裂ける音のハーモニーは悪魔の翼の中で反響し、誰の耳にも届くことはなかった。
チビ悪魔達に分裂して🌸のところに戻る頃には、部屋には血溜まりと糸くずと細切れの肉片しか残っていなかった。
🌸『あ、どこに行ってたの?みんな心配してたのよ?』
🌸のもとに戻ると、帰り支度を終わらせてチビ悪魔達が居ないことに気づいた執事たちが必死に探しているところだった。
〔ごめんなさ〜い!〕
〔ひろくて、まいごになっちゃった〜〕
〔ゆるして〜〕
「まぁ、何事も無くて良かったです・・・」
「さあ、もう遅いから帰ったらすぐお風呂に入って寝なくちゃね」
ミヤジとベリアンにエスコートされて馬車に乗り込む。
ラトとフルーレはフェネスと共に先に屋敷に戻ったらしい。
🌸は疲れたのかぐっすりと眠ってしまった🌼の頭をそっと撫でて笑顔を見せた。
🌸『皆、お疲れ様。今日は本当にありがとう。とっても楽しめたよ』
「そうですか!よかったです・・・」
「勿体ないお言葉だね・・・ありがとう。楽しんでいただけて何よりだよ」
無事に終わったパーティーにホッとしながら屋敷に戻る馬車の中、パーティー会場の清掃にあたっていた執事達の悲鳴は聞こえていなかった。
※粛清された貴族たちはグロバナー家に反乱を企んでいたため、フィンレイ様が消したことにしてくれました。
コメント
1件
うわ、今回も読み応えあった…!🌸が貴族の陰口に耐えつつ、🌼を守る母親としての強さ見せたの沁みたわ。フィンレイ様に抱っこ拒否されてしょんぼりしてるのも可愛かったw そしてチビ悪魔たちの大活躍!あっちで悪党どもが粛清されてる間に🌸たち無事に帰宅って展開、爽快すぎる。主人公が知らないところで守られてる感じが大好き。MAKOさん、今回も面白かったです!
MAKO