テラーノベル
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愛し子の証を用意したので取りに来てほしいと言われ、🌸はたまたま手の空いていたナックとともに森に向かった。
〈あ!来てくれたのね!〉
〈待ってたわ!〉
〈あなたも一緒に来る?〉
ナックはその誘いにすぐに頷いた。
🌸とナックは少し開けた場所に案内され、二股に分かれた木の間を抜けるように言われた。
木の間を抜けると、今まで居た森よりもうんと背の高い木に囲まれた森の中に立っていた。
足元には花の絨毯が敷き詰められていて、童話に出てくるような景色が広がっていた。
「これは・・・とても美しい場所ですね」
🌸『本当に・・・本の中に入り込んだみたい・・・』
〈こっちよ!妖精王様待ってるの!〉
妖精たちは2人を連れて一際大きい樹の下に案内した。
〈おお・・・愛し子よ・・・待っておったぞ・・・〉
樹に顔が浮かび上がり、声を掛けてきた。
🌸『!?木が喋った!?』
「な、なんと・・・」
驚く2人を見て、樹は面白そうに笑った。
〈ふぉっふぉっふぉ・・・新鮮な反応は面白いのぉ・・・
儂が妖精王じゃ・・・今ではただの老いぼれの妖精みたいなもんじゃが・・・〉
🌸『妖精王、様・・・!?』
「これは、失礼をいたしました!」
〈気にするな・・・儂らが勝手に呼んだのじゃからな・・・まぁ、ゆっくりしていきなさい・・・〉
🌸『あ、ありがとうございます』
〈そうじゃのぅ・・・みかんは好きか?今食べ頃の木があるから取ってこさせよう〉
「ありがとうございます、みかんは好物です」
🌸『私も好きです』
妖精王は嬉しそうに笑い、小鳥たちにみかんを取ってこさせた。
〈さぁたくさんお食べ。私の力を吸って育った木じゃから甘くて美味しいはずじゃ〉
🌸『いただきます!』
「いただきます」
2人は皮を剥いて、香り豊かなみかんにかぶりついた。
🌸『!美味しい!甘い!』
「これは・・・!なんという甘さと酸味のバランス・・・!病みつきになりそうです!」
2人は積まれていたみかんを次々に食べてしまった。
🌸『ん〜、お腹いっぱい・・・』
「少々、食べすぎてしまいましたね・・・」
〈ふぉっふぉっふぉ・・・また今度来たときにも食べ頃の果物をやろう。
そうじゃ、そこの屋敷に土産としてこのみかんを届けさせようか。
十人くらいは住んでいるのじゃろう?〉
「よろしいのですか!?ありがたくいただきます!!」
ナックは美味しすぎるみかんにすっかり虜になったらしく、みかんのお土産に大層喜んでいた。
〈そうそう、忘れておった・・・
愛し子の証なんじゃが・・・〉
妖精王は木の根っこ近くにある虚から小鳥に光る何かを取り出させた。
〈これを君に・・・そして、こっちを君の子に・・・それからこれは執事達の分・・・〉
小鳥たちは🌸の手のひらに小さな琥珀を乗せていく。
〈それは御守りの代わりじゃ・・・
儂らの力を何百年と吸い続けた石じゃから、祝福がなくてもそれなりの効果はある・・・
しかし、儂らの祝福を受けた君たちにとっては神々が作った御守りに匹敵する効力の御守りになろう・・・〉
🌸『すごい・・・ありがとうございます!』
「私共の分までいただいてしまって・・・何とお礼を申し上げたら良いか・・・」
〈良いんじゃよ・・・もう儂らを感じ取れる人間も少なくなってきた・・・もう潮時じゃ・・・
君たちがきっと最後の愛し子になるだろう・・・餞別として受け取っておくれ〉
🌸『そんな・・・』
「例え、我々が最後の愛し子であっても、あと数千年生きる者も居りましょう。
それまで貴方の存在を感じ取れる人間が存在することになります。潮時など、寂しいことを仰らないで下さい」
〈そうかそうか・・・頼もしい愛し子に恵まれたの・・・
愛し子たちを見送るまで、老体に鞭打って頑張るとしよう・・・〉
🌸『妖精王様、ありがとうございます!』
🌸は深々と頭を下げた。
悪魔執事達をこれからずっと守ってくれる存在が居てくれることにとても安心したのだ。
ナックも🌸に習って深々と頭を下げた。
〈時に・・・愛し子よ、その服の刺繍は誰がしたのかね?〉
妖精王は🌸の着ていたドレスの裾の刺繍を見てそう問いかけた。
「わ、私ですが・・・」
ナックが遠慮がちに手を上げると、妖精王は嬉しそうに笑った。
〈そうかそうか・・・!君が!
それでは儂らの守護を宿した刺繍を教えよう・・・
それを身に着けていれば、御守りの効果も上がるはずじゃ・・・〉
光り輝く小鳥が1羽ナックの頭に止まり、光って消えた。
その瞬間、ナックの頭の中に刺繍のパターンが幾つも刻み込まれた。
「これは・・・!なんという・・・!!」
ナックは感動したように両手を広げて天を仰いだ。
「ありがとうございます!このナック、必ずやこの刺繍で皆さんのお役に立ちましょう!」
〈ふぉっふぉっふぉ・・・〉
妖精王は満足そうに笑っていた。
屋敷に戻ると、ナックはフルーレの所に直行し、刺繍のパターンを紙に書き出していった。
🌸は皆に琥珀を入れたお守り袋を縫って配ることにした。
執事たちは大事そうに首から御守りを下げて過ごすことになったのだった。
コメント
1件
いやあ、今回の妖精王との邂逅、本当に心が温かくなりましたね。木が喋ってみかんが出てきて刺繍まで教わるなんて、まるで童話の世界に迷い込んだみたい。特に「潮時」という言葉に🌸が「そんな…」と呟くシーン、何百年も生きる存在との別れを感じさせて切なかったです。でも最後にナックが刺繍で皆を守ると宣言するところで、未来への希望がしっかり見えたのが良かった。御守り袋を全員分縫う🌸の姿も、愛し子としての優しさが滲んでいて素敵でした。
MAKO