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第五章 愛される雪うさぎ
柔らかなシーツ。
甘い薔薇の香り。
すぐ目の前に
宮舘さんの顔。
逃げようと身体を起こしかけた瞬間――
指が、顎を持ち上げた。
涼太❤️「そんなに警戒しないで」
静かな声。
顎を掬った手が優しく頰を撫でる。
温かく柔らかな手は首筋へと降りていく。
翔太💙「やめてください」
涼太❤️「力抜きなよ?悪いようにはしないから」
首筋に、息がかかってくすぐったい。
それほどの距離まで詰め寄られ、
逃げ場がなくなる。
低く甘い声。
視線を上げる勇気がなくて、
思わず俯く。
涼太❤️「患者の目を見るのは、ナースの基本では?」
翔太💙「至って健康そうです――」
涼太❤️「言うね」
少しだけ目を細める。
涼太❤️「随分余裕あるじゃない」
クスッと笑う。
掴まれた手首が、じわっと痛む。
逃げたいのに、動けない。
……怖い。
涼太❤️「呼吸が荒いね?」
翔太💙「離して……っんんっ」
その瞬間――
柔らかい唇が、鎖骨に触れた。
翔太💙「ンンンッ」
身体がびくっと震える。
涼太❤️「いい反応だ――これはどうかな?」
腰に回された手が、
ゆっくりと下を目指して這っていく。
まるで試されているみたいだった。
翔太💙「ヤダァ……」
――無理
ガラガラ
突然、扉が勢いよく開いた。
亮平💚「はぁ……遅かったか」
息を切らした声。
翔太💙「せんせい!助けて」
振り向いた瞬間、
腕が伸びてきた。
慌てて走ってきたのだろうか。
額にはうっすら汗が滲んでいる。
それでも
表情はいつも通り落ち着いていた。
香水の香りがふわりと頬を撫でた。
腰とお尻に腕が添えられ、
身体がふわっと浮く。
亮平💚「宮舘さん困りますよ」
気付けば、
抱き抱えられていた。
至近距離で見た阿部先生。
整った顔。
長い睫毛。
力強い瞳。
翔太💙「顔ちっちゃい」
亮平💚「今それ言う?」
涼太❤️「ふふ」
優雅な笑い声が背中から聞こえた。
涼太❤️「君が靡かないから……つい浮気しちゃった」
深いため息をついた阿部先生。
亮平💚「彼に触れる理由が、それなら許可できませんね」
涼太❤️「許可?ふふっまるで君のモノみたいだ」
抱えていた腕が俺をグッと引き寄せた。
奪われないように。
守るように。
亮平💚「その解釈で構いません」
顎に手を当て、
涼太❤️「へぇー意外と男らしいところあるんだね」
宮舘さんは不敵に笑った。
涼太❤️「ますます欲しいね――雪うさぎ」
今度は翔太が、阿部先生の白衣をグッと掴んだ。
宮舘さんを見ていた瞳が、一瞬――俺に向く。
〝大丈夫〟
そう言われた気がした。
亮平💚「ちゃんと掴まってなさい」
翔太💙「はい」
慌てて白衣を掴む。
布越しに感じる体温が、
妙に安心した。
逃げ場を探すみたいに、
阿部先生の胸元に顔を埋めた。
それはまるで
巣穴に潜り込む――
亮平💚「雪うさぎみたいね」
翔太💙「先生まで!意地悪やめてください」
そのまま特別室を後にする。
背後で
〝またおいで雪うさぎちゃん〟
と宮舘さんが手を振っている。
翔太💙「ロイヤル〜」
亮平💚「ふふっ……ほんと翔太は面白いね」
鼻のてっぺんを
人差し指で弾かれた。
翔太💙「あっ」
恥ずかしくて、
直視できない。
亮平💚「顔が赤いよ?これは案外、脈アリってことかな?」
翔太💙「ちがいます!」
ますます恥ずかしくなって、
先生の胸にうずくまった。
いい匂い。
安心する。
一日色々なことがありすぎて、
もう頭が追いつかない。
そのとき。
背中に、
冷たい視線を感じた。
振り返ると――
廊下の壁にもたれている男が
ゆっくり顔を上げた。
蓮🖤「怪我でもしたのか?」
翔太💙「えっ」
いつからいたのか分からない。
静かにそこにいた。
目黒先生だった。
亮平💚「いえ、甘えてるだけです」
その言葉で
自分がまだ抱えられていることに気付く。
翔太💙「すいません……もう大丈夫です」
亮平💚「残念。着替えも手伝ってあげようか?」
廊下の窓の外には
西の空。
沈みかけた太陽が
半分ほどかくれんぼ中。
蓮 🖤「へえ……それもオマエの仕業か?」
低い声。
目黒先生の人差し指が、
鎖骨に触れた。
翔太💙「……っ」
一瞬、空気が止まる。
蓮 🖤「いい反応だな」
亮平💚「変態」
亮平💚「舘様よ……気を付けて。あいつ何をするか分からないから」
蓮 🖤「ふーん。先を越されたな、阿部ちゃん」
亮平💚「院内でその呼び方しないでくれる蓮。翔太帰るよ」
翔太💙「はいっ」
軽く会釈をすると、
目黒先生がニヤリと笑った。
その笑みはどこか不穏で。
背筋がゾクリと震えた。
⸻
モニター越し。
廊下の映像。
白衣の男に抱き上げられる雪うさぎ。
その前に立つ、黒豹。
モニターの横。
黒いチェス盤。
辰哉は、白の駒をひとつ指で弾いた。
コト、と乾いた音。
辰哉はコーヒーを一口、飲んだ。
辰哉💜「狼投入は少し早かったかなぁ〜」
くすっと笑う。
辰哉💜「……ま、結果オーライか」
モニターを眺める。
辰哉は黒の駒をひとつ摘む。
少しだけ持ち上げて――戻した。
辰哉💜「……まだいいか」
辰哉💜「狼と黒豹に、雪うさぎ……いい配置だね」
少し間。
辰哉💜「でも――」
カップを置く音。
辰哉💜「もう一匹くらい、欲しいなぁ」
ふっと目を細めた。
辰哉💜「可愛いねぇ……雪うさぎ」
事務長「またやってるんですか?趣味悪いですよ」
辰哉💜「趣味って言わないでよ〜」
軽く笑う。
辰哉💜「ちゃんと仕事だよ?」
事務長「理事長……チェス出来るんですか?」
辰哉💜「ん?出来ない(笑)知らねえ」
事務長「うふふっ理事長ったら面白い人♡」
辰哉は、盤上の白い駒を指で転がした。
コト、と軽い音。
白い駒が、前に転がる。
視線は、モニターのまま。
辰哉💜「可愛いねぇ……雪うさぎ」
少し間。
辰哉💜「――もう少し、楽しませてよ」
コメント
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雪うさぎ、まったく仕事してなくて大横転🤣🤣でも、❤️💚みもあってよき🫶🐇ちゃんは、本命いるのかなー???