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第六章 紫寮の夜
紫寮。
雪達磨大学附属病院の職員寮。
医師と医療スタッフが暮らす
古い建物。
だが――
廊下のカーペットだけは
やっぱり紫だった。
翔太💙「なんで寮まで紫なんですか」
ラウ🤍「理事長だから」
翔太💙「理由になってません」
夜の寮は
病院とは違う空気だった。
白衣ではなく
私服。
どこか
人間らしい。
そして――
足元。
慣れないスカートじゃない。
翔太はそっと膝に触れた。
布地は、しっかりとしたズボン。
太腿に張り付くような視線もない。
風に怯える必要もない。
翔太💙(……動きやすい)
小さく息を吐く。
それだけで、
肩の力が少し抜けた気がした。
翔太💙(普通だ……)
それが、こんなにも安心するなんて。
ラウールが
ドアを開けた。
ラウ🤍「ここ」
翔太💙「先輩の部屋ですか?」
ラウ🤍「うん」
部屋の奥から声。
康二🧡「おーい!」
ドアが勢いよく開いた。
康二🧡「雪うさぎ来た!」
翔太💙「やめてください!」
そのとき。
康二の視線が、ふと止まった。
下。
じっと、翔太の足元を見ている。
数秒の沈黙。
康二🧡「……あれ?」
翔太💙「え?」
康二🧡「ズボンやん」
静かに言った。
そして
大げさに肩を落とす。
康二🧡「終わったわ……」
翔太💙「なにがですか!?」
康二🧡「オレの楽しみ……」
照💛「最低だな」
康二🧡「あの絶妙な丈……神やったのに……」
翔太💙「やめてください!!」
ラウールが小さく笑う。
ラウ🤍「残念だったね」
康二🧡「返してくれ俺の時間。何色のミニスカでくるか
照兄とあれやこれや話した夢のような時間を」
照💛「俺を巻き込むなよ」
翔太💙「……最悪」
部屋の中。
テーブルの上。
鍋。
大量の肉。
――最初から、用意されていたみたいに。
翔太💙「……え」
ラウ🤍「座って」
康二🧡「主役やで?」
翔太💙「えっ」
照💛「早くしろ、冷める」
翔太は戸惑いながら座る。
康二が
ビールを掲げる。
康二🧡「ほな。雪うさぎ、いらっしゃいやで」
照💛「乾杯」
ラウ🤍「乾杯」
翔太💙「乾杯……」
鍋の湯気が
静かに上がる。
温かくて
なんだか幸せな匂いだった。
いい匂い。
俺の腹が鳴った。
康二🧡「腹減ってるやん」
翔太💙「……減ってます」
照💛「食え」
翔太💙「いただきま――」
ピンポーン。
全員
止まる。
康二🧡「誰や」
ドアが開く。
そこに立っていたのは
目黒。
蓮🖤「……」
俺は思わず息を止めた。
部屋の空気が
一瞬凍った気がした。
蓮の視線が、一瞬だけ落ちた。
翔太の足元。
ズボン。
わずかに目を細める。
康二🧡「黒豹や」
翔太💙「黒ひょう?」
なんでも、理事長につけられた名前らしい。
目黒は
鍋を見た。
蓮🖤「鍋か」
康二🧡「食う?」
少し沈黙。
蓮🖤「食う」
翔太💙「えぇ!?」
目黒は俺の隣に座った。
蓮🖤「雪うさぎ、スカート持ってないのか?買ってやるぞ」
ニヤリと笑った目黒。
翔太は肘で小突いた。
翔太💙「いい加減にしろ」
その瞬間。
腰に回された手が、わずかに動いた。
布越しに、指が触れる。
翔太💙「……っ」
ズボンの上からなのに、
はっきりと分かる体温。
蓮 🖤「嫌がる割に逃げないな」
低い声が、耳元で落ちた。
翔太💙「離して――」
言い切る前に、
ぐっと距離を詰められる。
蓮🖤「確認してるだけだ」
翔太💙「なにをですか」
少し間。
蓮🖤「どこまで触っていいか」
翔太💙「なっ////」
蓮🖤「……やっぱりスカートの方が楽で都合がいいな」
翔太💙(ズボンなのに……意味ない)
翔太💙「はぁ……。
阿部先生は一緒じゃないんですか?うわっ」
腰を掴まれ、密着する身体。
触れた部分が熱い。
蓮 🖤「俺じゃ不満か?」
〝いえ……〟絞り出した声は小さく、
クスッと笑った目黒先生の横顔は綺麗だった。
蓮🖤「そんなに見られてたら食べ辛い」
少し笑う。
蓮🖤「惚れるのは自由だ」
少し間。
蓮🖤「その代わり覚悟しろよ」
照💛「わぁお……人気者だな翔太」
康二🧡「医者二人に狙われてるからな……あと舘様も」
翔太💙「なっなんで知ってるんですか?」
ラウールが笑う。
ラウ🤍「ゴシップ好きなのよ康二は……気をつけてね、しょっぴー」
湯気がふわりと上がる。
なんだか
やけに、にぎやかな夜だった。
翔太💙「おいしい……」
照💛「食うな」
翔太💙「食べます!」
康二🧡「肉もう入れてええ?」
照💛「早く食え」
ガチャ。
ドアが開いた。
全員
止まる。
そこに立っていたのは
理事長
深澤。
辰哉💜「なるほどねぇ」
コーヒーを飲む。
辰哉💜「鍋か」
翔太💙「理事長!?なんで?」
辰哉💜「ここに住んでる」
ラウ🤍「俺の部屋の隣だよ。ねっふっかさん」
翔太💙「ふっ……ふっかさん――なっなんで寮に」
辰哉💜「面白いから」
コーヒーを飲む。
辰哉💜「雪うさぎも、ふっかって呼んで♡」
翔太💙「……悪夢だ。何かの悪い夢だ」
鍋がぐつぐつと煮える。
そのとき。
ラウールのスマホが震えた。
ラウ🤍「……」
画面を見る。
表情が変わる。
ラウ🤍「救急」
背筋が、ぞくっとした。
さっきまでの空気が
一瞬で変わる。
康二🧡「事故?」
ラウ🤍「撮影現場」
照💛「芸能人か」
ラウールが頷く。
ラウ🤍「頭部外傷」
目黒が立ち上がる。
蓮🖤「脳外」
翔太💙「え?」
康二🧡「うわ」
照💛「仕事だ」
ラウールが翔太を見る。
ラウ🤍「まだ飲んでないよね?行くよ」
翔太💙「はい!」
鍋の湯気が静かに消えていく。
紫寮の夜はあっという間に終わった。
コメント
6件

焼肉かと思ったら鍋🍲 どうなっていくのか予想がつかないー!ふっかなんなん🤣🤣🤣 翔太、初回からやめてください!しか言ってない😂😂

医療ドラマになってきましたか? わくわく笑 にしても、💜のポジションが 楽しそうすぎるし似合っていて 毎話楽しいです♡ 🫶