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[砕け散った心]

涼架side





若井君の言葉に、いじめっ子たちは顔を歪ませた




リーダー格の女子が、嘲らような笑みを浮かべる





「は?何?正義のヒーローのつもり?」

彼女の言葉に、他の女子たちもクスクスと笑い始める。






若井君は、彼女たちの言葉を無視し、私のもとへ一歩踏み出そうとした。





その瞬間、女子の一人が若井君の背負っていたギターのストラップを掴んだ。





「何すんだよ」


若井君が振り返る前に、もう一人がギターケースのジッパーを開け、中から大事なギターを乱暴ひ引っ張り出した。





「これ、若井君の大事なギターだよね?もし、落として壊れちゃったら…どうなるかな?」

女子たちは、若井君をからかうように、ギターをキャッチボールし始めた。





若井君の顔が、怒りから焦りに変わる





彼は、大切なギターを奪い返そうと手を伸ばすが、女子たちは巧みにかわす。





「やめて!ギターを壊さないで!」

私は、いても経ってもいられず、叫んだ





私にとって、若井君のギターは、彼が自分を救ってくれた大切な存在だった。




無意識に体が動き、私は、若井君のギターを掴んでいる女子の腕を必死に引っ張った。




「来んなよ、汚ぇ手で触んじゃねぇ!」


女子は、涼架の必死な手を払い除け、強く突き飛ばした。





私はバランスを崩し、床に散らばった焼きそばの上に転んでしまった




私の制服に、さらにソースと麺が絡みついた






「なにやってくれてんのさ!おかげで私の服まで焼きそばのシミついたじゃん!」


いじめっ子の一人が、自分のシャツについたソースのシミを見て、涼架を睨み付けた







いじめっ子たちの心無い言葉が、私の心に突き刺さる





床に転がったまま身動きが取れずにいる、私を、彼女たちは冷たい視線で見下ろしてきた




その時、彼女たちの手の中でキャッチボールされていた若井君のギターが、勢い余って女子の手から滑り落ちた。



「あ…!」





鈍い音が体育館に響き渡る。



ギターは床に叩きつけられ、へッド部分から

バキッという嫌な音を立てた。





女子たちは一瞬呆然とした表情を浮かべた後、すぐに冷酷な笑みを浮かべた





「あはは!まじかよ、壊れちゃったじゃん!」

「ざまぁみろ!」



彼女たちは、何事も無かったように、笑いながら体育館の出口へと向かっていった。




「じゃあね、シンデレラ。ギターの修理代、頑張って稼いでね」




最後に残されたのは嘲笑うような言葉と、床に散らばった焼きそばと、そしてーー見るも無残な姿になった若井君のギターだった。



私は、信じられない思いで、壊れたギターに這い寄った。




ヘッドは折れ、弦はバラバラに切れ、装飾は無残に剥がれ落ちていた。




それは、若井君がいつも大切そうに抱えていた、彼の魂そのもののようなギターだった





「若井君…ごめんなさい…」

涼架の瞳から、大粒の涙がとめどなく溢れ出した。




涼架の涙は、ソースまみれのギターにポタポタ落ちていく。





「ごめんなさい…全部、私のせいで…」





私がシンデレラ役を引き受けなければ、若井君はここに来ることもなく、彼のギターが壊されることもなかったと、自分自身を責め続けた





私の嗚咽は、体育館の静かさの中に響き渡き、ただひたすらに自分の無力さを嘆く悲しい声がだけがこだましていた










次回予告

[ぬくもりのジャージ]

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『君の居場所は、僕が作るから』

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コメント

5

ユーザー

いじめっ子いったんこっい来いいいい!!てか若井さんのギター壊したのあんた達じゃんか!

ユーザー

許せんなぁ!若井はいじめっ子からしても関係ない人だったと思うけど!?なぜギターを壊す必要があったのだ!

ユーザー

切ない。切なすぎる…。いじめっ子をいじめてあげたい💢 許せない。尚更、藤澤さんが可哀想だよね…(ノ_・、)

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