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道端でタクシーを止め、そこになんとか望月先生を乗せるも彼は微動だにしない。
「お客さん、どこまでいくんですか? この人大丈夫です?」
運転手さんの不安げな問いに、私は仕方なく自分のせいもあると、一緒にタクシーに乗り込んだ。
「望月先生! お家言えます?」
返事のない先生に、私は仕方なく自分の家の住所を伝えれば、数十分で駅から離れた私のマンションについた。
どうしよう……。
そう思うも、このまま放置できずペチペチと望月先生の頬を叩く。
「さすがに運べません! 降りてください!」
なんとか下ろして、私のワンルームに運び込む。
築年数は新しくはないが、リノベーションがしており意外に広さもあり気にいっている。
どうしてこんなことに……。
ドサッと部屋の窓際にあるベッドに望月先生を下ろして、私はその場に座り込んだ。
自分の部屋に可愛らしい男の子がすやすや眠っているのが違和感しかない。
まあ、望月先生を男の人と思うのも違うか。なんとなく女友達のような気がする外見に、私はそう思うと、冷蔵庫から水を出し、一気にそれを飲み干した。
眠っている望月先生を放置して、私はシャワーを浴びいつものルームウェアに着替えた。
クローゼットから毛布を出した後、ベッドに行き一言文句を言いたくて、眠る望月先生に呟く。
「今日はベッドを貸してあげます」
そう呟きソファーへと行こうとしたところで、グイっと後ろから手を引かれ、え?っと思った次には、目の前にクスリと笑う望月先生の顔があった。
「本当に柚葉さんって、人がいいですね」
そこで初めて、私は望月先生に押し倒され、上から見下ろされていることに気づいた。
女の子などと思った自分を呪う。私の手を縫い留める力は明らかに男の人で、見たことのない不敵な笑みにゾクリとしてしまう。
「酔ってなかったの……」
いつもは見えない、鎖骨や広い肩幅は明らかに今まで私が知らなかったもので、簡単に部屋に入れたことを後悔するも遅い。
それだけを呟けば、「さあ?」と言いながら、私から視線を外さない。
初めて望月先生を男だと認識した私は、急激に心拍数が上がる。
こういう経験があまりない私は、どうしていいかわからずただ固まっていた。
ゆっくりと顔が近づいてきて、あまりにもキレイな顔がゆっくりと近づく。
これから何がおこるのか解っているのに、私はそのアーモンド色の瞳から視線を外せずにいた。
ドキドキと自分の鼓動が煩くて、押しのけなければそう思うも、久しぶりすぎるせいか、それともこの瞳のせいかわからない。
唇が触れるそう思ったところで、目の前から望月先生が消えた。
「え!」
つい声が漏れるも、肩に重みを感じて我に返る。
私の上に倒れ込むように、望月先生がすやすやと寝息を立てているのがわかった。
「もうなによ! やっぱり酔ってたんじゃない!」
きっと聞こえてなどいないだろうが、私は叫んでいた。
のしかかる重みから抜け出そうとするも、顔はかわいくても男の人だ。
体重も重いし、見かけよりがっちりとした体形に、私は少し身体をずらすことしかできない。
「重い!」
力いっぱい胸を押せば、彼は「うーん」といながらころんと私の横へと移動した。
ようやく抜け出せると思い、動けばなぜか抱き枕と勘違いされたのか、今度はギュッと抱きしめられる
「もう!」
そんな私の苦情などまったく聞こえていないようで、望月先生はすやすやと眠っているようだった。
なんなのよ。そう思うも私もかなりアルコールを飲んでいたこともあり、ゆっくりと意識を手放した。
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