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「ちょっといいかな?」


所属しているバトミントンの練習を終えて、汗を拭う為にタオルに顔を埋めていた私は声に反応して顔を上げる。

声の主に目をやると同じ部活の先輩で何の用かと目で催促するが、目線を逸らし口もとを指で押さえてもぞもぞさせるだけでなかなか用件を言ってくれない。


「どうかしたんですか?」


「あ、いや、あのさ……えーっと、墨刺は……その今時間ある?」


痺れを切らし私の方から尋ねると、ここでは話しにくいと言った感じで視線を逸らしつつ、後ろの方を気にする素振りを見せる。

視線を先輩の後ろに向ければ、体育館の出入り口でこそこそする男たちの姿が見えた。


「ちょっとなら大丈夫ですけど」


「本当に!?」


少しため息混じりに答えて本当は迷惑なのを遠回しに伝えようと試みるが、目を輝かせる先輩の前にそれは失敗に終わる。

どのみちハッキリさせた方がお互いの為だと、腹をくくった私は先輩について人のいない教室へと行く。


教室へ入ると先輩は机に手をついたり椅子に足をぶつけたり、ソワソワしながら私の方を見たり目を逸らしたりしていたが、やがて意を決したのか頭を勢いよく下げ口を開く。


「好きです。付き合ってくれませんか?」


この台詞を先輩からではなく、あの人から聞けたらなと思いながら頭を下げる。


「ごめんなさい。私には好きな人がいるのでお付き合いは出来ません」


ハッキリと伝えると口を開けたままの先輩の横を通り教室の外へと出る。廊下の奥の方に逃げる人影たちが見えるが無視して進み体育館へ帰ると、片付けて帰る準備をする。


先輩に呼び出されたことを知っている同じ部活の人たちの好奇の目と質問を適当にはぐらかし帰路へと着く。


帰りながら告白してきた先輩のことを思い出してしまう。

人から思いを伝えられると、その人の熱に当てられるのか私も好きな人のことを想像してしまう。


──その人はすぐ近くにいる。


──いるんだけど、ちょっと自信がない。


──それでも、


──今は形がないけどもうすぐ掴めそう。


──そんな予感がする。


右胸を押えると、刻まれた模様に熱を感じる。


これを見て言ってくれるはず。


「とても綺麗だね」


ねっ。


私の席の隣に座る麻宏を目に入れ、聞こえない同意を求める。

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