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**はる。です** 19話お疲れ様でした! 執事たち全員が無事に目覚めて本当に良かった…!それぞれの起きかけの反応が可愛くてニヤニヤしちゃったわ。特にルカスの寝汚いところとか、ケイティの抜けてるけどちゃんと主してる感じが大好き。 そして復讐パーティー🔥 竜との焼き競争とか、執事たちが楽しそうに金目の物かき集めてるところとか、カタルシス半端なかった!過去にケリつけて新生活スタート、これからが楽しみだね!
ケイティは新たな魂の入れ物が並んだ図書館の床に着地した。そこには19人分の入れ物が等間隔に並べられていた。
処刑の瞬間を見せたくなかったという理由で図書館に一時的に匿っていたムーとバスカルが、降りてきたケイティに駆け寄ってくる。この2匹にとっては処刑から今までの数日間はほんの5分くらいに感じていることだろう。そうなるようにケイティが時間の流れ方を調節したのだから。
🐈⬛「主様!おかえりなさい!」
バス「わん!」
K「ただいま。いい子にしてた?」
🐈⬛「はい!…でも、魂が入ってないからって動かない執事さん達を見るのはちょっと不気味でした…」
バス「きゅーん…」
バスカルはクロウザーの入れ物の側に戻って寂しそうに鳴いた。ケイティはそれを見て、早く皆の魂を入れ物に入れなければいけないと強く思った。しかし、新しい屋敷に転送するための魔法陣を描くのが先だ。そうしないと、この図書館から兄弟が来てくれるまで出られないということになってしまう可能性もあるのだ。
K「えーっと、座標設定は鍵のやつのを使えるから…やるのは強制移動の魔法陣だけか。それなら案外簡単に陣が組めそうだね」
ケイティはメモ用紙に魔法陣にどの要素が必要かを書き出し、それを元に強制移動の魔法陣を執事達の入れ物の足下に描いていく。
K「…よし、終わり!なんだ、すっごく簡単だった」
全員分の入れ物を新しい屋敷の庭に転送する準備を終えて、いよいよ魂を髪の毛から入れ物に移していく作業が始まる。
K「今回ばかりはちょっと薬に頼らないといけないかな。ルカスには禁止されちゃったけど、オーバードーズはしないから魔力を回復させる薬飲んでもいいよね?皆のためだし!」
ケイティは図書館の机の下に隠していた回復薬を引っ張り出して1瓶開けて飲み始めた。
K「ごく…ごく…っぷはぁ、やっぱり不味い!でも元気出てきた!19人分、頑張るぞ〜!」
ムーとバスカルが見守る中、ケイティは入れ物の横に膝をつき優しく頭を持ち上げて額にキスをする。
K「…さぁ、起きる時間だよ。起きて…」
キスをすると髪から魂が抜け出してきて入れ物の胸に入っていく。全身が一瞬光ると、声を掛けて起こす作業に入る。これで目を覚ませば儀式は成功だ。もし失敗したとしても魂は消えることなく入れ物に残っているので、また殺して魂だけの状態にしてしまえば何度でも儀式はできる。だが、毎回数千年生きても大丈夫なほど頑丈で、今までの生活と変わらないくらいの暮らしができるほどの精巧さを誇る入れ物を作るのは骨が折れる。できればこの1回で成功させたい。ケイティは失敗しないことを祈りながら一人一人に魂を移して声を掛けて起こした。
🫖「…あるじ、さま?…むにゃむにゃ」
🍽️「…ん…寝てたのか…?」
⚔️「すぅ…すぅ…むにゃ…」
✝️「うーん…なんか…怠いな」
🦋「ふわぁ…眠いよ…」
🦾「ぐぅ、ぐぅ…」
🌹「んー…あと5分…」
🍷「すやすや…」
🌟「あれ…?ここどこ…?」
🔑「あ゛あ゛?うるせぇな」
🕯️「ん…アロマの匂い…?」
🪡「んー…うとうと…」
❤️🩹「くふふ…主様、おはようございます」
💮「がー、がー」
☔「…はっ!私は何を!?」
🧸「…あれ?あれは…夢…?」
🐾「うぅ…眠い…」
🤍「……おい、もう少し寝かせろ…」
🐦⬛「うーん…睡眠不足は良くないね」
19人は起きたり寝息を立てたりして、自我がちゃんと戻っていた。これは成功だ。ただ、庭に転送するのでちゃんと起きてベッドまで歩いてもらわなくてはいけない。起きないベリアン、バスティン、ボスキ、ルカス、フルーレ、ハナマルなどの執事や、寝起きで機嫌の悪いナックをどうにかしないと、楽しい新たな生活のスタートが庭で全員でお昼寝した、から始まってしまう。
K「おーきーてー!」
ケイティは寝起きの悪い執事達を揺すぶって起こすのに奮闘し、何とか全員が立てるくらいには覚醒させることができた。
ケイティは、まだ眠たそうな執事達の手を引いて強制移動の魔法陣の中心付近に集める。まだ新しい身体に慣れていないのでこの眠気は数日続くだろうが、その間ずっと庭で寝かせるわけにもいくまい。自力でベッドまで行ってくれるように起こしたものの、本当にベッドまで行ってくれるだろうか?まぁ最悪兄弟を呼んで3人で浮遊魔法を使って眠っている執事を運べばいいか、と思い直し、魔法陣に魔力を注いだ。
一瞬景色がホワイトアウトして、新しい屋敷の敷いたばかりの芝生の上にワープした。執事達は眠い目を擦りながら豪華で大きな屋敷や、花が咲き乱れる花壇や、朝露で輝く実をつけた野菜が植わっている畑などを見て、驚きの声を上げていた。眠気よりも驚きのほうが勝った執事も多かったらしく、半数ほどはシャキッとした顔つきになっている。
K「お、びっくりした?パレスを再現しつつ、皆がより快適に暮らせるようにちょっと建て増ししたの」
ケイティの説明に感心した様子で頷く執事達だったが、内装や庭を作っていたボスキとアモンは平常運転で、眠いから早く部屋に行きたいと、勝手知ったる屋敷にすぐに入っていった。他の執事達は少し遠慮しつつも、眠くて動けない同室の執事に肩を貸して、何とか自室まで運んでいった。
とりあえず何とかなったかな、と真っ白になってしまった髪の毛を手櫛で梳かしながら、ケイティは後でちゃんとベッドで寝ているか確認しに行かないとなぁと考えていた。
N「よぉ、ケイト」
B「ごめんね、遺品整理してたら遅くなっちゃった」
そこに、ウエストポーチを身に着け、馬を連れた兄弟が現れた。どうやら使い切れなかったアロマキャンドルや棚に入れられなかった茶葉、珈琲豆、使い慣れた調理器具などの「無くてもいいけどあったら嬉しいもの」を持ってきてくれたらしい。
K「馬の世話…!忘れてた、馬大丈夫!?」
ケイティが執事達を失った喪失感で虚無な時間を過ごしていた数日間、馬が残されていたことすら思い出せなかったことに気づき、慌てて馬の健康状態を確認する。
B「バスティン君が森に放していたからお世話する必要は無かったよ。集めるのは大変だったけどね」
ブランの言うとおり食べ物や水が足りていない状態にはなっていなかった。馬達にひもじい思いをさせていなくて良かった、とケイティは息を吐いた。
N「執事達を生き返らせてホッとしてるとこ悪いけど、パレスの執事達の荷物と家具運んでこないといけないぞ?魔力足りるか?」
ノワールの言葉にケイティはそれも忘れていた、と愕然とした。自分はどうしてこう抜けているのか…。魔力はまた回復薬で補うとして、ルカスに回復薬を使ったことをどう誤魔化すかが問題だ。ルカスは正論でぶん殴ってくるので言い合いになったらケイティは負ける自信がある。ならば薬を使ったことを隠し通せばいい。そんな結論に至って、ケイティは悪い笑みを浮かべた。
N「おい、また馬鹿なこと考えてるんじゃないだろうな?回復薬は1日2本まで、6時間以上空けて服用することって、ルカスにもキツく言われただろ?」
K「あー、もう…分かってるよ…。あ、そうだ!私の時間だけ6時間進めて…よし、薬飲める!」
ケイティが時間操作の魔法で6時間分自分の身体の時間を進めると、ノワールに頭を叩かれた。
N「そういう問題じゃねぇよ」
B「そうだよ。いくらキティの身体が6時間分進んだとしても僕達には分からないし、1日2本までは変わらないからね?」
K「今回だけ!今回だけだから!」
ケイティの必死の言い訳に、兄弟は溜息を吐いてから微笑んだ。
N「まぁ、大事な執事達のためなら多少無理しても許してもらえるか」
B「ふふっ、キティがぶっ倒れるなんて日常茶飯時なんだから執事さん達にも慣れてもらわないとね」
K「さっすが、お兄ちゃん達!分かってるね!」
B「じゃあ僕達は馬小屋に馬を連れて行くから、キティは荷物の搬入お願いね」
N「ボスキが後で調節してくれるだろうから、配置とかはあんま気にしなくていいのは楽だよな」
兄弟は馬を連れて行きながら久しぶりに長い会話をして、お互いの窶れた顔を見て笑ったのだった。
ケイティは一度図書館に戻って2度目の回復薬をぶち込んで気合を入れた。今回は大容量のお徳用瓶に入った回復薬を一気飲みしたので魔力不足になることはないだろう。多分。
静まり返ったパレスに、魔法陣が床に描かれるジリジリとした音だけがする。ケイティは執事達がまとめた荷物と持っていきたいと言われた家具を新しい屋敷へとどんどん転送していく。一応元々置いてあった部屋と重なる部屋に転送しているので、家具や荷物を運ぶ手間はかなり省けるだろう。
全ての荷物と家具を転送し終わると、パレスとの別れを惜しんで庭でも散歩してから戻ろうかな、と玄関ホールに向かった。すると、玄関に一通の手紙が差し込まれていた。いつの間に届いたのだろうか?差出人を確認すると、フィンレイだった。内容はまだケイティに魅了されている貴族達がケイティを欲しがっているため、まだパレスに残っているのなら早く元の世界に帰れ、というものだった。
K「まだあの貴族達、寝言抜かしてるのね。ちょっとお仕置きが必要かな?…それに、執事達を殺した恨みもあるわけだし、派手にやっちゃおうかなぁ。皆が起きたらどうしてやろうか相談しよ〜」
ケイティは楽しそうにケラケラと笑いながら新しい屋敷の欠片へと戻っていった。
新しい屋敷へ戻ると、真夜中のような静けさの中に少人数が駆け回るような足音が聞こえた。もう起きている執事達が居るのだろうか?とケイティが不思議に思って足音のする階に上ってみると、兄弟がベッドに入る前に力尽きた執事が居ないか見て回っていたらしく、執事室の近くでばったり出くわした。
B「家具とか荷物は全部持ってきたんだね?」
N「お疲れさん。…で、その手紙は何だ?」
ケイティは内容が内容なので口に出していいものか悩んだが、執事達はまだ眠っているはずなので兄弟に内容を話した。
🐈⬛「ええっ!?貴族の方々が主様を狙ってるんですか!?」
しかし、1匹だけ眠っていないムーがいることを忘れていた。ムーの大声で2階の執事達が眠たそうにドアを開けて出てきた。
🦾「うるせぇな…」
✝️「ムー、皆寝ているんだから少し静かにしろ」
🦋「どうしたの、こんなところで…」
🌹「お腹が空いてるなら1階の執事達を起こすんっすね。俺達料理は専門外っすから」
それを見たムーが貴族達がケイティを我が物に、と考えていることを言いそうだったので口を塞ぎ、ケイティは2階の執事達に何でもないから寝ていて構わないことを伝えた。
🐈⬛「もごもご…」
✝️「ですが…ムーの様子からすると重大な案件ではないのですか?」
🦋「ムーちゃんがこんなに騒いでて、口を塞がれても何か言おうとしてるってことは…そうだよね」
K「ムーちゃん、これは全員に共有すべきことだよ。先にこの子達に伝えるべきじゃない。分かって?」
🐈⬛「ぷは!……分かりました…」
ケイティがムーを解放して床に下ろすと、2階の執事達は微妙に納得できない様子でまた部屋に戻っていった。
K「そういえば、バスカルは?ムーちゃんと一緒に連れてきたはずなんだけど…」
N「ああ、犬小屋に連れて行ったぞ」
B「新しい犬小屋、気に入ってくれたみたいだよ」
K「そっか、よかった!ありがとう!」
その後、数日間執事達全員が目覚めるのを待ちながら本邸のどこにも繋がっていなかった扉にケイティの実家(?)の屋敷を繋げたり、玄関ドアに複数の異世界に飛べる細工をしたりと、そこそこ忙しい日々を送った。
最後の1人…ルカスが起きるまで執事達は自分の仕事をこなしつつ、天使狩りがなくなったことで退屈になってしまったなぁ、と庭のふかふかな芝生の上に座ってぼんやりしていたりした。
ルカスは研究などで徹夜ばかりする癖に寝汚いことで有名だったため、ラムリが起きてから2日ルカスに会えないのを我慢していたが「もう無理!我慢できない!」と叩き起こして、全員が目覚めたことになった。
とりあえず全員無事に揃ったので、ケイティは全員を連れてハウスツアーをすることにした。新しく増設した部屋や、そのせいで若干配置が変わったところなどを中心に見せて回り、一応地図も渡した。
🔑「ふむ…この意味のなさそうな扉と「至サロン」などの表記は何なのでしょうか?」
ナックは地図にある変な扉…ケイティが実家(?)のサロンや食堂、図書館などに繋げた扉の使い道について質問してきた。
K「それはね、私が昔作った屋敷のサロンとかに繋がってる扉なの。サロンなら好きなだけお菓子を食べたりお茶を飲んだりできるし、食堂ならいつでもビュッフェでご飯が食べられるし、図書館は言わなくても大体分かると思うけど仮眠室を追加したりしたから使い勝手は昔より良くなってるはずだよ」
🍷「ふわぁ…それで、その図書館には異世界の医学書や論文はあるのですか?」
まだ眠そうだが、自分の興味のあることだけは確認したいルカスは欠伸をしながらケイティに質問をする。異世界ならばパレスのある世界よりも高度な医学が発展している可能性があると考えたのだ。
K「えーっと…一応医学書やら論文も集めてはいるんだけどね、最新のものとはかけ離れた古いやつばっかりなんだよね…。もうそれを売っぱらって最新の医学書と論文買ってくるから!だからちょっと待ってくれる?ごめんね!」
🍷「そうですか…。ですが、古い論文などに意味がないことはありませんから売るのは待っていただけませんか?予備知識は必要ですから」
K「そう?なら売っぱらうのはやめとくね」
ケイティはついでに他の執事達からの本のリクエストを聞いてメモを取り、本棚を増設して本を買い込むことに決めた。
まだ本調子ではないロノとバスティンに負担をかけてはいけないから、と毎食利用しているケイティの実家(?)の食堂に全員で移動し、ビュッフェスタイルの料理を取ってきて全員が座ったところで、ケイティはパレスに手紙が届いていて、執事達の処刑を行い、未だにケイティを手に入れたいと思っている貴族達に何か復讐をしたいと相談を始めた。
🦾「復讐?そんなん簡単だろ?ぶち殺すだけだ」
🌹「ボスキさん、そんな単純じゃないっすよ。証拠隠滅までしないといけないんっすからね?」
B「証拠隠滅ならキティが力技でやってくれるんじゃない?お屋敷の1つや2つ吹き飛ばせるでしょ?」
K「うん、吹き飛ばせるけど…。そんなに雑でいいの?足跡とかがつかないように浮遊魔法を使って襲撃するとかしないの?」
N「そんな面倒なことするかよ。いけ好かねぇ貴族は好きなだけ嬲って殺す。そんで金目のものは全部盗んで証拠隠滅。完璧じゃねぇか?」
K「まぁ…皆がそれでいいなら…」
多数決を取り、兄弟が提案した方法にほとんどの執事達が賛成したため復讐の方法はすぐに決まった。
B「じゃあ復讐しに行く貴族をリストアップしなくちゃね。隷属の契約をしてる貴族は…538人だったね。その貴族達の屋敷は…」
ブランがパレスのあった世界の地図を広げてピンを魔法で貴族の屋敷がある場所に立てた。かなりの広範囲で数も多い。いちいち屋敷に出向いて嬲り殺していたら何日…いや、何ヶ月かかるか分からない。しかし、簡単に主要な貴族達を嬲り殺せる機会があることをブランとルカスは知っていた。
🍷「実は、悪魔執事が居なくなったことを喜ぶパーティーが開催されるんですって。そこには我々の処刑を望んだ貴族達が世界中から集まるそうですよ。会場から出られないように包囲して襲撃すれば、かなりの戦果はあるかと」
B「そのパーティーは執事さん達の処刑から1週間後…つまり明後日の夜から朝にかけて行われるって情報を貰ったんだ。チラシまでわざわざ用意して貴族向けの新聞の折り込みに入れてくれたから、フィンレイ様が渡してくれたんだよね」
その情報に食堂は大盛り上がりになった。きっと豪華に着飾ってやってくる貴族達をボコボコにして貴金属や金になりそうな物を奪うこともできる。貴族達の全ての財産を手に入れたかったし、血縁の人間達まで消してしまいたいと思っていたノワールは不満げだが、現実的に考えたらパーティーを襲撃するのが確実で楽な手段だと分かっていたので、口を挟むことなく作戦を立てていくルカスとブランを見守っていた。
🍷「包囲する人数はどうしましょうか?」
B「殺す役やりたいって執事の数にもよるよね。とりあえず貴族を殺したいよ〜って執事さんは?」
ブランが手を挙げるように促すと、半数以上の執事達が手を挙げてしまった。これでは包囲してから襲撃したら不満が出てしまう。
K「それなら、扉と窓を全て拘束魔法で封じてしまおうか?そうしたら誰も包囲に回らなくていいし、殺したくない人には金目の物を奪う役に回って貰えばいいわけだし…どうかな?」
ケイティの提案に全員が賛成の意を示し、雄たけびや拍手や指笛の音が食堂に響いた。
K「それじゃ、私が最初にあそこの窓以外を封印するから、皆はその窓があるバルコニーに着地して中に入ってね。全員が入ったら全部封印し直すから。それで、殺し終わったらパウダールームの鏡からお屋敷へ帰ってね。その後で私と竜でこのでっかいパーティー会場を焼き尽くすから。表向きは火事で貴族達が大量に死んだってことにするから、好きなだけ嬲っていいからね。どうせ死体は黒焦げになって誰が誰だか分からなくなるし」
パーティー会場を上空から確認して、ケイティと同じように浮遊魔法で会場を見下ろす執事達に指示を出す。執事達は元気に返事をしてバルコニーに着地して会場に乗り込んだ。
ケイティは会場の全ての窓や扉を封印して(執事達はパウダールームの封印だけは解くことができるので問題ない)、庭を作ったときにお世話になった親友を呼び出す。
K「【我が愛しい親友よ、現れ給え】」
すると、空から夜空の星々の光を反射しながら大きな竜が落ちてくる。ドーン!と大きな音を立てて地面に着地すると、竜は楽しそうに笑いながら軽く火を吹く。
竜「今回は大仕事らしいな?獲物が狩れないのは残念だが…この建物を燃やし尽くすなら少しは楽しめそうだ。両側から燃やしてどちらが早く燃やせるか賭けるか?負けた方が相手の好物を好きなだけ食わせてやるのでどうだ?」
K「あら、私に勝つつもり?私の好物は兄さんが作ったオムレツかロノが作ったジャム入りクッキーよ?用意できるの?」
竜「ふむ…ならば我が負けた暁にはその材料を用意してやろう。勿論卵も小麦粉も最高ランクの物をな」
K「じゃあ私が負けたらまた野菜食べ放題させてあげる。それを狙って勝負を持ちかけたんでしょ?」
竜「はっはっは、お前には筒抜けか」
K「アンタが単純なだけよ。でも、両端から焼いていくのは賛成。その勝負、乗ってあげるよ」
竜「火竜に火力で勝つつもりか!面白い」
K「魔法使いに魔法で勝つつもりと変わらないよ」
竜とケイティが楽しそうに話している間、執事達は今までこき使ってくれた恨みと殺してくれた怒りを貴族達にぶつけていた。直接貴族達を殺すのはちょっと気が引けるという執事達は、惨殺された貴族の死体から主にアクセサリーを回収した。宝石がふんだんにあしらわれていたり、金や銀でできているアクセサリーはきっと金になると思ったからだ。両手に持ちきれなくなったらブランが開けっ放しにしてくれている収納空間に投げ込む。貴族達の醜い悲鳴と血が飛び交うパーティーは執事達にとって今までで1番楽しいパーティーになったことだろう。
B「殲滅完了。そろそろ離脱するよ」
K「了解。全員が避難したら燃やし始めるね」
ケイティにブランからの連絡が飛んできて、ケイティは竜に全員が避難したら合図をすると伝えて会場の反対側に移動した。
B「避難完了。証拠隠滅を頼むね」
N「俺達も逃げるわ。後はよろしくな」
K「りょーかーい!」
ケイティは懐からクロウザーから貰ったハンドガンを空に向けて引き金を引いた。ヒューッと音を立てて魔力の塊が空に飛んでいき、月よりも眩しい光と爆発音が周囲に広がった。それを合図に竜は息を吸い込み、ケイティは杖を構えた。
ごぉぉおおおおお!!
凄まじい炎がパーティー会場を包み込み、煉瓦の壁が溶け落ちていく。中の人間も、きらびやかな装飾も、その熱に耐えられるはずもなく、一瞬にして灰や炭になっていく。竜とケイティによる証拠隠滅はものの数十秒で終わってしまった。残ったのは黒焦げになって溶けかけの建物の鉄骨部分だけ。
K「どっちの勝ち!?ビデオ判定ある!?」
ケイティが鏡で見ていたであろう兄弟に判定を求める。兄弟はしばらく、竜のほうが炎の勢いがすごかった、ケイティのほうが面積的には勝っている、などと言い争い決定できなかったので、見ていた執事達の多数決によって竜の勝ちということになった。
K「あーあ、美味しいオムレツとクッキー食べたかったなぁ…」
竜「今度遊びに行くときの手土産に高級卵を買ってきてやるから、落ち込むでないぞ。それより、野菜食べ放題の約束を果たしてもらおうか。このために昼食を抜いてきたから腹ペコでな」
K「分かった。じゃあ欠片に移動するよ」
ケイティと竜は新しい屋敷の庭にワープした。またどしん!と竜が着地するときに大きな音が響いて、仲良くお茶をしていた執事達は、お茶をこぼしたりお菓子を落としたりしてしまった。
竜「ふむ…また豊作だな。まずはこのトマトから…」
竜は前回より速いペースで畑の野菜を食い尽くしていく。
K「人様の畑でよく遠慮なく食べられるね」
竜「お前に気を使う必要もあるまい」
K「まぁね。でも執事達がびっくりしてるから後で挨拶してもらうよ?多分食べられるかもって怯えてる子も居るだろうから」
竜「人間というのは阿呆だな。草食竜と肉食竜の区別もつかんか」
K「竜なんて居ない世界の子達なんだから仕方ないでしょう?あんまり皆を見下すなら怒るよ?」
竜「お前に怒られたら生きて帰れん。分かった、これ以上は言わんよ」
K「分かったらいいのよ」
竜が3回ほどおかわりをして満腹になると、ケイティは怯えている執事達を怖くないから大丈夫だと外に連れ出し、竜に挨拶をさせた。執事達は草食竜だと知ってあからさまにホッとして、ケイティの昔話などを聞かせてもらうほど距離が近くなった。その後お土産にトマトを大きな籠いっぱいに詰めて渡し、また会いに来てほしいと皆で見送った。
K「これで過去の清算も、パレスへの未練も、貴族達への憎しみもなくなったね。これからは自分の生き方は自分で決めていいんだよ。好きなことを仕事にしたり、私の転売業を手伝ったり、魔物狩りに行ったり…選択肢は沢山あるからね。ゆっくり考えよう。とりあえず今日はお風呂に入って寝ちゃおうか」
ケイティの言葉に皆が頷き、豪華な源泉かけ流しの温泉が並ぶ風呂場へと向かうのだった。
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