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「……たっくん」
「ん?」
繋いだ手を見つめながら、リュウキが小さく口を開いた。
「俺さ……」
「うん」
「最近、たっくんが他の人とおると、なんか嫌なんよね」
思わずリュウキを見る。
リュウキは俺と目を合わせない。
「別に、たっくんが誰と話そうが自由なのは分かっとるよ」
「うん」
「でも……なんか、もやもやする」
少しだけ指に力が入る。
「俺、たっくんのこと好きなんかな」
「……俺は、そうだと思ってる」
「自信あると?」
「あるよ」
「なんで?」
俺は少し考えてから答える。
「リュウキが俺の隣に来てくれると、嬉しいから」
「……」
「他の人と楽しそうにしてると、ちょっと寂しいから」
「……俺と一緒やん」
「うん」
二人とも、少し笑った。
「じゃあ……」
リュウキが顔を上げる。
「付き合う?」
あまりにも小さな声だった。
「……いいの?」
「……俺が聞いとるんやけど」
「そうだね」
「……嫌?」
「まさか」
たっくんがそう言って笑う。
その笑顔を見た瞬間、リュウキの緊張が少しほどけた。
「じゃあ……よろしく」
「こちらこそ」
繋いでいた手が、もう一度ぎゅっと握られる。
恋人になった。
その実感が、じわじわと胸に広がっていく。
「……たっくん」
「ん?」
「なんか、変な感じ」
「俺も」
「今までとそんな変わらんのにね」
「でも、もう恋人だよ」
「……その言い方、恥ずかしい」
「恋人」
「言わんで!」
リュウキが顔を隠す。
その姿が可愛くて、また笑ってしまう。
「また笑った!」
「ごめん」
「絶対ごめんと思っとらんやろ」
「うん」
「もう……」
リュウキは拗ねたように俺の腕に寄りかかる。
しばらくして。
「……たっくん」
「ん?」
「恋人ってさ」
「うん」
「……キスとか、するもん?」
一瞬、空気が止まった。
リュウキの顔がみるみる赤くなる。
「いや、別にしたいって言っとるわけじゃ……」
「うん」
「ただ聞いただけやけん」
「うん」
「……なんで笑うと?」
「嬉しくて」
「何が!」
俺は繋いだ手を少しだけ引き寄せる。
「リュウキがそんなこと聞いてくれるのが」
「……」
「したくないなら、しないよ」
リュウキはしばらく黙っていた。
そして、小さく首を横に振る。
「……嫌じゃない」
「そっか」
「……たっくんとなら」
その言葉に、胸が熱くなる。
「じゃあ、してもいい?」
リュウキがこくんと頷く。
俺はゆっくり距離を縮める。
逃げないことを確かめるように、一度だけ目を見る。
そして、そっと唇を重ねた。
ほんの一瞬。
触れるだけのキス。
離れると、リュウキは真っ赤な顔で俯いていた。
「……」
「リュウキ?」
「……もう一回」
小さな声。
「え?」
「……聞こえとるやろ」
「うん」
俺が笑うと、リュウキは恥ずかしそうに目を閉じる。
もう一度、そっと唇を重ねる。
今度は少しだけ長く。
離れたあと、リュウキは俺の服を掴んだまま動かない。
「……たっくん」
「ん?」
「……これからも、俺の隣おって」
「うん」
「ずっと?」
「ずっと」
「……約束」
「約束」
リュウキがようやく顔を上げる。
照れくさそうに笑っている。
その笑顔を見ながら思う。
きっと俺はこれからも、この子に何度も嫉妬する。
誰かと笑っていれば気になるし、楽しそうにしていれば嬉しいのに、少し寂しくもなる。
でも、それでいい。
無理に独占するんじゃなくて。
リュウキが自分から俺のところへ帰ってきてくれるような、そんな場所でいたい。
「……たっくん」
「ん?」
「帰ろ」
「うん」
今度は、どちらからともなく手を繋ぐ。
恋人になったばかりの二人の距離は、昨日までよりほんの少しだけ近かった。
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コメント
1件
うわあ、遂に恋人同士になったんですね…!お互いに「好き」を確かめ合うところから、初めてのキスまで、すごく丁寧に描かれていて胸がきゅっとなりました。特にリュウキが「もう一回」って言うシーン、照れながらも素直になるところが可愛くてたまらなかったです。たっくんの「リュウキが自分から俺のところへ帰ってきてくれるような場所でいたい」っていう想いも、すごく優しくてじんわりきました。おめでとうございます、まーさん!次の話も楽しみです🌷