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アンナが学校から帰ってきたら、必ずお店を通って家に入れるようにして、働きながらでも少しでも娘に関われるように努力した。
開店してすぐに、以前から私を指名してくれてたお客様も多数来て下さり、シャルムよりも価格設定を落としているから、とても喜んでもらえてる。
だからって、もちろん絶対に手は抜かない。
annaは、シャルムにいた若い女性スタッフが1人と新しく募集したスタッフ2人の4名で、とにかくアットホームなお店を目指した。
素晴らしい環境で仕事ができ、基本、少し早めにお店も閉めて、夜はアンナと2人で食事ができるように心がけた。
悠人が、たまに時間ができた時『anna』に美容師として入ってくれて、その時はお客様がすごくびっくりする。まるで芸能人みたいな扱いをされて、相変らず黄色い歓声を受けている。
さすがに予約は無理だけど、あまりに悠人のウケがいいから、最近はちょっと面白くなってきて、「特別ゲストの登場です!」みたいにわざと紹介したりしてる。
悠人とアンナのおかげで、私はいつまでも大好きな仕事を頑張れてる。
今は美容師としての仕事が楽しくて仕方ない。
悠人みたいなカリスマ美容師にはなれなくても、こうしてお客様に喜んでもらえることが今は最高に嬉しかった。
このまま一生この仕事を続けたいと、心から願う自分がいた。
毎日、やりがいを感じながらも、忙しい日々を過ごしていたある日、今日は1日一緒に過ごせるからと悠人が言ってくれた。こんな日は珍しいから、悠人には家でゆっくり過ごしてと言ったんだけど……
両親に頼んで、アンナを1日預かってもらうことにしたらしくて。車で迎えに来てくれたおじいちゃんとおばあちゃんは、とても楽しみにしてくれて、アンナも喜んで出かけていった。
2人きりの休日なんて、本当に久しぶりだった。たまの休みは家族で過ごすことが当たり前だったから。
「今日は何の日? 誕生日でもないし、結婚記念日でもないし……」
「記念日じゃないと2人になっちゃいけない?」
「そんなことはないけど……」
「アンナが産まれてからは、2人になれるのはアンナが眠ってる夜の時間だけだったからな」
「悠人はアンナのことを本当に大切にしてくれて嬉しいし、いつも私のこともちゃんと気遣ってくれてるから、私は寂しくないよ」
それは、結婚してからずっと変わらず同じだ。
「でも、今日は2人でいたい。ただ、それだけだ」
そう言って、悠人は私を『anna』に連れていった。
annaも、今日は定休日。
静かな店内に私達2人きり。
「ここに座って」
「穂乃果の髪、切らせてほしい」