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「ふわぁあ。よく寝たよく寝た。」暖かな日差しを浴びて目を覚ます。
時間を見ると7時。結構規則正しく起きている。
何となく自分たちをほめながら朝の支度に入ろうとする。
昨日は倒れるように寝込んだ。唯一覚えている記憶はこの部屋に露天風呂が付いていてめちゃくちゃ温もったということだけだ。
すると勢いよく部屋のドアが開けられる。
「おはようございまーす、朝食をお持ちしましたあー。」
大きな声で言われるものだからびっくりした。朝食付きにまでしてくれたなんてどれだけ気が利くんだあの人たち…と思いながら一旦座る。
ディアさんも布団から抜け出して眠たそうな顔で座っている。
あれ、昨日何して寝たっけ…とか考えながら準備される朝食をただただ呆然と見ていた。食べ物…それは生きていくために仕方なく食べているようなものであるのでこれほど豪華なものはあまり食べたことがなかった。
「では失礼します。」
ばたりと扉を閉められて朝食を食べ始める。
「あの人間、すごく元気が良かったな…っていうか!」
口調を急に荒らげる。
「なんで我のはちっちゃいんだ?!我は子供では無いぞ!」
「いや見た目が…」
「あいつら、絶対子供1人大人一人って言ったな?次会ったらしばいてやる…」
「落ち着いてください!わかりましたわかりました、俺の少しあげますので。」
「いらない。」
「…はあ」
拗ねてしまった。俺悪くないのに。
まあいいや、と思いながら黙々と食べた。
結構美味しい。
ーーーー
「ふー、美味しかった…」
ほんとに美味しかった。あんなに拗ねていたディアさんも美味しさに機嫌を直したようだ。
朝食は引かれ、ぼーっとしていた。
その時、ドアがノックされた。
「翠さーん、ディアさんー。おはようござますー、風樹ですー。」
と言うと部屋に風樹が入ってきた。何やら大荷物を抱えて。
「おはようございます…どうしたんですかそんな大荷物…」
「えっとー…今日から職員ということで制服を支給したいんですが…適当に勘でサイズ持ってきたんでぴったりかどうか着てもらいたくて…」
と言うと包装された服を何着か出した。
「とりあえず着てきてください。あっ」
思い出したように風樹は言う。
「ディアさんに合うサイズ無かったんで少しデザイン違いますが気にしないでください。」
それを聞いて一瞬イラッとしたらしいが着替えに行った。
――――
「めっちゃ似合いますね!いいじゃないですか」
俺たちを褒めるように彼は言う。
サイズもぴったりだった。
制服、と言っても普通にスーツっぽかった。
一方、ディアさんはと言うと、触り心地が良さそうな袖の生地に、ふわりとしたスカートを着ていた。小さい容姿にすごく似合っている。
「なんか…違うんじゃないかこれ…」
「いやいやいやそんなことないですよ!」
宥めるように彼は言う。
「さて。着替えてもらったところで今日からあなた方は2課で働いてもらうことになります。生活費は何とか申請して補助金を下ろしてもらうことにしました。なのであまり心配しなくて結構です。」
「あ…はい…」
「とりあえず行きましょう。今日は全員揃ってます。」
荷物を持って宿を出た。
「待ってくれ早い早い!」
ディアさんが必死に追いかける。俺も結構早くないか?とか思っている。風樹は少々朝から興奮気味である。
ーーーー
タワーに入ってからは受付の人から不思議そうな目で見られた。無理もないだろう、天界人が制服を着ているのだから。
「2課には行ったことありますよね。あ、違うか。」
俺たちの受付への目をそらさせるように無理やり話している。
2階に上がる。
しばらく歩けば2課の看板が見えた。
大きな扉があった。
「この中です。さあ入って。」
ガチャリ。入った。
「おはようございます。」
そこにはウィローと女の人がいた。
女の人は机に突っ伏している。
「ようこそ、2課へ。」
書類の山。掛けられている賞状。何かとこの部屋は情報量が多い。
「すまんな、こいつを君たちが来るまでに起こそうと思ってたのだが…こら幽、もう来たぞ」
「うぅん…ウィローさん…く…」
「寝てるのか。」
「ああ、さっきまで起きてたのにすぐ寝るもんだから…彼女自体は君たちが来るのを楽しみにしてたんだぞ。」
「無理に起こさないでいいですよ。落ち着いてからまたお話したいです。」
ふっ、と笑ってウィローはまた話し出す。
「よく似合ってるじゃないか2人とも。改めて、これからもよろしくな。」
「よろしくお願いします!」
ーーーー
「とりあえずここに座ってくれ。一通りうちの課の説明をしよう。」
「2課は天界災討伐を担当しているんだ。主な仕事は出現を聞いて討伐に向かうこと。ただ…これだけ少ないのは何人も失ってきたからだ。ここ数年でも3人いなくなっている。」
ゴクリ、と言った。少し怖気付いた。
「俺たちは討伐後討伐記録を残さなきゃいけない。その他にも天界災に繋がることなら色々する。あっ、天界災は天界人のもたらす被害のことだ。俺たちがするのは異形化してしまった人間の討伐とか、潜在天界災を見つけ出す、つまりパトロールとか。」
「少し話が変わるが、これだけは知っておいて欲しい。人間は開眼と言う現象を起こすことが出来る。それは生涯において3度まで起こすことが出来て、第1開眼、第2開眼…と数える。第3開眼にまでなるとこうして天界人と意思疎通が図れたり、触れたりすることが出来るが、
第2開眼だと触れることは出来ない。第1開眼では見ることしか出来ない。開眼をしてない人だっている。それだけは知っておいてくれ。」
ほう、ほう…と聞いていたが、だいたい7割くらいしか分からなかった。それを察するように
「あんまり分からなかっただろう?まあ生活してゆっくり学んでいこう。とりあえず今日は初日、これから簡単なことからしていこう。」
と言って立ち上がった。
「はい!」
と答えて、俺とディアさんは仕事に就いた。
これからが楽しみだ。
つづく
幽は寝てます。次回絶対起こすので乞うご期待。