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私は手を取った。
女の子が差し伸べてくれた歪んだ目とは違い、彼は真っ直ぐ私を見てくれた。この人は、いつか『この世界の綺麗な所』を教えてくれると確信した。
「マリポのキィニチだ。宜しく頼む。」
「マリポ….“英雄”…..」
マリポと聞いた私は彼の顔を見ていなかったと思う。いつも相手の顔色を窺っていると言うのにその時の私は自分勝手に俯いた。
“ずるいなぁ”
私がいくら頑張っても、人助けをしても優しくしても皆んな私を悪と言う。それなのに古名を持ってるだけで“英雄”なんてずるいよ。
そんな感情が心に響き、なんで私はそんな酷い事を思ったのだろうと自分を恨んだ。