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あまね🍡💠
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第54話読み終えたよ…! 湊の両親の過去、特に母さんが自分の意思で能力の薬を打ったっていう決断の重みがすごく胸にきた。蓬莱さんが最後まで反対してたってのも、今のヴォイアントとの関係性を考えると切ないな。 それでも「今のお前だから好きになった」って言う父さんの言葉にグッときたわ。家族の絆がじわじわ伝わってくるいい回だった🔥 次、運命がどう変わっていくのか気になる!!
朝霧家――。
割れたコップの破片が床に散らばっていた。
静まり返る食卓。
誰も言葉を発することができない。
湊は母を見つめたまま、静かに待っていた。
父・朝霧義一は、黙って母の肩へ手を添える。
「……もう隠さなくていい。」
その一言に、母の瞳から涙がこぼれ落ちた。
「ごめんね……。」
「今まで黙っていて。」
湊は何も言わず頷く。
母は震える声で口を開いた。
「全部……話すね。」
-–
義一は静かに椅子へ座り直した。
「湊。」
「これから話すことは、お前にとって信じられない話かもしれない。」
「でも。」
「全部、本当のことだ。」
湊は父の真剣な表情を見つめる。
「うん。」
-–
母はゆっくり立ち上がる。
棚の奥から、一冊の古びたアルバムを取り出した。
大切に保管されていた一冊だった。
テーブルへ置く。
ゆっくりとページを開く。
そこには、若き日の男女が笑顔で写っていた。
湊は写真へ目を向ける。
「この人……。」
母は写真を優しく撫でる。
「蓬莱さん。」
「今はヴォイアントと呼ばれている人。」
湊は息を呑む。
「やっぱり……。」
母は静かに頷いた。
「私たちは昔、一緒に活動していたの。」
-–
「組織の名前は――。」
「ZERO。」
湊は昨日、御堂が拾った写真を思い出す。
「ZERO……。」
母は懐かしそうに微笑んだ。
「能力社会に反対する組織だった。」
「でも。」
「暴力なんて一度も使わなかった。」
「街で署名活動をしたり。」
「講演会を開いたり。」
「政府へ要望書を提出したり。」
「私たちは、本気で話し合えば世界は変えられるって信じてた。」
義一も静かに頷く。
「あの頃の蓬莱さんは、本当に真っ直ぐな人だった。」
-–
母は一枚の写真を取り出す。
そこには、一人の外国人男性が写っていた。
「この人が。」
「イコル・ヤーレン博士。」
湊は写真を見つめる。
「この人が能力の薬を……。」
「そう。」
母は頷く。
「博士が能力の薬を発表した時。」
「世界中がお祭り騒ぎだった。」
「でも。」
「私たちは違った。」
「能力が人を幸せにするとは思えなかった。」
-–
義一が静かに話し始める。
「俺は当時。」
「イコル・ヤーレン研究所の警備責任者だった。」
湊は驚く。
「父さんが?」
「博士とは何度も顔を合わせていた。」
「でも。」
「研究内容までは知らされていなかった。」
「俺の仕事は。」
「研究所で働く人たちを守ることだったからな。」
湊は初めて知る父の過去に驚きを隠せなかった。
-–
母は少し寂しそうに笑う。
「私はね。」
「義一さんと結婚したかった。」
義一も優しく微笑む。
「俺もだ。」
しかし。
母の表情が曇る。
「でも。」
「義一さんのお父さんとお母さんは。」
「能力者じゃない人との結婚は認められないって……。」
湊は思わず顔を上げる。
「そんな……。」
「私たちは何度も説得した。」
義一が続ける。
「能力なんて関係ない。」
「俺は何度も両親へ伝えた。」
「でも。」
「認めてもらえなかった。」
母は俯く。
「最後に決めたのは私。」
「義一さんを失いたくなかった。」
「だから……。」
「私は自分の意思で能力の薬を投与したの。」
部屋が静まり返る。
-–
湊は静かに母を見つめた。
怒りも責める気持ちも湧いてこない。
ただ。
胸が締め付けられた。
母は涙を拭う。
「薬を打った日。」
「蓬莱さんは最後まで反対してくれた。」
『本当に、それでいいのか。』
『君まで能力者になる必要はない。』
あの時の声が、今でも耳に残っている。
母は静かに目を閉じた。
「でも。」
「私は、自分で決めた。」
-–
義一はそっと母の手を握る。
「俺は。」
「全部知った上で結婚した。」
「過去のお前じゃない。」
「俺が好きになったのは、今のお前だから。」
母の涙が止まらない。
「ありがとう……。」
-–
湊は二人を見つめながら、小さく呟いた。
「母さん……。」
「父さん……。」
「ありがとう。」
母は優しく微笑む。
「でもね。」
「ここから先の話が、本当に大切なの。」
アルバムをもう一枚めくる。
そこには、ZEROのメンバー全員が写った集合写真。
その中央には、笑顔の蓬莱良樹。
そして、その隣には――
若き日の母が立っていた。
母は静かに写真を見つめる。
「この日から。」
「私たちの運命は、大きく変わり始めたの。」
第55話へ続く