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◇◇◇◇◇
次のニュースをお伝えします。
昨日、世界探索連盟本部から帰国した宗方総理の記者会見の模様をお伝えします。
現地より中継で伝えていただきます。
はい!こちら中継先です。
今から、首相官邸より記者会見が始まります。
「私はー!総理大臣!宗方銀次郎であーる!
我々は、世界探索連盟理事会に参加した!
そこで、我が国はS級国家として、正式に承認された!
ただーし!常任理事国入りは否認された!
だが!我々は必ーず!常任理事国入りを果たすことを約束しよう!我々は、すでに、プラーンを持っている!
そのためには!強力な協力者が必要であることがわかったー!その協力者を!探索省・副大臣(仮)に任命する予定であーる!
その2名は、橘 颯 A級探索者 並びに 早見 咲夜 専属担当だ!
以上!」
「では、ここから質問を受け付けます。
質問のある方は挙手をお願いします。」
「東日本新聞の松本です。
副大臣(仮)の(仮)って、どういう意味なんでしょうか?」
「(仮)は(仮)だ!他に意味があるか〜! 次!」
「週刊探索の浜田です。
なぜ、常任理事国入りは否認されたんでしょうか?」
「知らん!理事会に直接聞いてこい! 次!」
「月刊シーカーズの桃子です。
ただ、S級国家の常任理事国否認は初めてだと思いますが?」
「そのとおりだ! 次!」
「毎日探索テレビの林檎です。
常任理事国入りのプランというのは、どのようなものでしょうか?」
「言えるか〜! 次!」
「はい、時間となりましたので、質問は打ち切らせていただきます。
これで、記者会見は終了です。
ありがとうございました。」
はい、違う意味で、非常に衝撃の記者会見でした。
S級国家としての発展に期待しましょう。
それでは、次はお天気のコーナーです。
◇◇◇◇◇
「宗方総理!副大臣(仮)とは、どういうことなんだ!勝手に決めていい加減にしろ!」
「おー!これは田村幹事長!
それのどこが問題なんだ?」
「いつもいつも!
なぜ、事前に相談しないんだ!」
「副大臣の任命権は、大臣にある!
今回は、藤堂大臣が任命し、総理大臣の俺が承認した。手続き上は、なんの問題もない!」
「そういうことを言ってるんではない!
(仮)などとふざけた役職を作りおって!」
「幹事長は、頭が硬いな!ははは!」
「グヌヌ。話にならん!
今日はこれで失礼する!」
宗方銀次郎の立ち上げた、自由探索党は、今や単独与党であり、その中でも宗方派閥は、党の過半数を超える最大派閥である。
また、宗方は、その行動力と豪快な決断力によって党内の人望も厚く、また、国民にもわかりやすい政治のため、特に若い世代に圧倒的な支持率を誇っていた。
「あとは!あの2人の説得だな!ははは!」
順番が逆じゃないですか?
◇◇◇◇◇
「松崎!やっと、地上に戻ってきたわね。」
「はい、お嬢様。お疲れ様でした。
堀さんが来られましたね。」
「竜崎様、松崎様、お帰りなさいませ。
無事の帰還、お疲れ様でした。
このまま、換金されますか?
それとも、今日は帰宅されますか?」
「帰宅するわ。今回は、ちょっと無理しすぎたわ。すぐに休みたいわね。」
「はい、承知しました。
すぐに車を準備します。」
◇◇◇◇◇
「堀さん、あなた、A級探索者で橘 颯さんって知ってるかしら?」
「はい、もちろん。すごく有名ですから。」
「有名って私は知らないわよ。松崎も知らなかったわ。」
「そうだと思います。竜崎様と松崎様が、ダンジョンに入られてから、A級探索者になられた方ですので。」
「そうね。そう言ってたわ。その新人A級探索者が、なぜ有名なの?」
「はい、現在、東日本ランキング1位で、日本ランキング2位の最年少A級探索者です。」
「はぁ?なにそれ?そんなにすごかったの!
道理であの強さなのね。理解したわ。」
「お嬢様。あれは、日本ランキング2位の強さではありません。たぶん、松田様より上かと。」
「たしかに、そうかもね。私は松田局長の戦闘を見たことがないから、わからないけど。
松崎は、知ってるのよね?」
「はい、昔はたまに見かけましたので。その当時の松田局長も異常だとは思いましたが、橘様の強さは、比較しても圧倒的に異常です。」
「そうなのね。もう異次元だわ。」
「それと、もう一つ。先日、松田局長がS級探索者になられました。日本合衆国は、S級国家になり、探索省が新設され、藤堂局次長が初代探索大臣になられました。」
「はぁ?はぁ?
もう、潜ってる間に、いろいろ起こってるじゃない!」
「はい、もう目まぐるしく、いろいろありまして。その橘さんは、探索省の副大臣に任命されています。」
「はぁ。そんなにすごい人だったのね……。
堀さん。悪いけど、専属担当の早見さんに連絡して、橘さんのアポを取っておいてもらえる?」
「はい、少しかかるかもしれませんが、承知しました。」
「松崎!彼へのお礼を考えておいてもらえる?
彼は私たちの恩人。相当のものを準備しましょう!」
「はい、承知しました。」
あのイケメンにして、国内最強の副大臣。
しかも、あのクールな対応。今までにいないタイプね。これは、運命かもしれないわね!ふふふ。
◇◇◇◇◇
「颯ちゃん、咲夜ちゃん。断っちゃダメよ。
もう決定事項なんだからね。」
「藤堂さん!俺が目立ちたくないこと知ってますよね!酷くないですか?」
「わかってるわよ。でもね。颯ちゃんは、すでに目立ってるのよ。世界的に。これはね、あなたたちを守るためでもあるのよ。
だから、サインしなさい!」
「俺、副大臣なんかできませんから!
ダンジョン学も取ってないんですよ!
早見さんだけで良くないですか?」
「私だけなんて無理ですよ〜!」
「颯ちゃん、副大臣(仮)だから。今まで通り、探索をするだけ。
咲夜ちゃんも、今まで通り、専属担当をするだけ。
探索省の仕事は何もないから。この役職はね。便利役職なのよ。あってないようなものなの。もう、無色透明無味無臭の役職。なのに、手当ががっぽり稼げちゃう!お得ちゃん。
ね。だから早くサインしなさい!」
「でも……。」
「咲夜ちゃん!先にサインしなさい!早く!」
「は、はい!」
サラサラ!
「うん、いいわね。咲夜ちゃんは素直でいい子ね。颯ちゃん。咲夜ちゃんだけに押し付けるのは、酷くない?酷いわ!それはかわいそう!咲夜ちゃん、耐えられるかしら?」
「えー?そんなのー!」
「橘さん!お願いします!(泣)。
私を一人にしないでください!」
サラサラ!
「はい、2人とも、これで副大臣(仮)よ。
この契約にはね。日本合衆国籍永久保持という特典付きなのよ。良かったわね。
これからも、よろしくね。
あ!一つ言い忘れてたわ。
たまに探索省からの招集があるから、そのときは参加してね。参加必須よ。」
いろいろ、怖い。この人……。
結局のところ、藤堂美咲の押し切り勝ち。
がんばれ!颯!咲夜!
◇◇◇◇◇