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ノボリが消えてから1週間。
サブウェイマスターの片方が消えたというのはイッシュ中大きなニュースになり、
クダリの元にはマスコミが押しかけた。
駅員たちはクダリを守ろうと、
マスコミを追い払っていたが、
クダリはいつもと変わらず、口角を上げたまま、
いつものダブルとノボリの分のシングルを務める。
マルチは停止しているものの、
クダリは駅員の前で涙を流すことも無く、
いつも通りに接していた。
だがその瞳の奥にはいつも何処か闇が潜んでおり、
クダリはいつも苦しそうに笑ってるように見えた。
目の下にはクマができ、顔色も悪く
ふらふらと歩く様子が度々駅員に発見されていた。
駅員達はクダリを気遣って休むよう言ったが、
クダリはいつも
『大丈夫』
とだけ言い、トレインに乗っていく。
捜索願を出し、
クダリは毎日ノボリを探す。
双子の感と言うやつを信じ、
クダリは毎日ノボリがいると思った所を探した。
何回も、何回も探した。
捜索願を出してから一年が経った。
手がかりすら得られない状況が続いていた。
するとある日、
急にクダリが3日ほどの休暇を取った。
ノボリが居なくなってから、
ほぼ休み無しで働いていたクダリが
急に休暇を取ったのには駅員全員が驚いた。
だが駅員たちはやっと休んでくれたのか、と
クダリを思いやりクダリのいない数日感を繋いだ。
そしてクダリがバトルサブウェイに帰ってきた。
『ごめんねみんな、休んじゃって』
クダリはいつもと変わらず口角を上げたまま
少し申し訳なさそうにする。
心なしか顔色は明るくなっていた。
「白ボス!よかったです!」
「無理しないでくださいね」
と駅員たちは次々に声をかける。
笑顔で答えるクダリにカズマサが口を開いた。
「お前なんか顔明るなったな」
『え、そう?』
「おぉ。ノボリ居なくなってからずっと…
偉い暗い顔しとったのに」
『…え?』
クダリは首を傾げる。
そんな顔してたかな、と思っているのだろう。
駅員たちはそう思っていた。
『…ノボリって、誰?』
クダリの一言に、その場にいた全員が凍りついた。
当の本人のカズマサも驚愕の表情を浮かべる。
「…は?何言うとるん、クダリ」
『だから…ノボリって、誰?ぼく、知らない』
駅員たちは顔を見合わせてざわついたり、
顔を青くしたり混乱している。
『まぁいいや。ぼくシングル行ってくる。』
「お、おう…」
クダリが事務室を出ていき事務室はざわめきが起こる。
どうしてしまったんだ?寝ぼけてるのか?
と口々に皆が考察する。
だがクダリの目はいつもと変わらず、
それどころか、
少し前よりも断然顔色が明るくなっていた。
まるでノボリと居た時と変わらず、無邪気に笑い、
事務仕事をこなし、駅員と雑談し
シングルとダブルを当たり前のようにこなした。
まるで、
ノボリなど初めからいなかったかのように。