「…あれ、2人共なんでここにいるの?」
ナイフに付着した血液を振り払い腰に巻いてあるベルトへと差し込む。
普段俺たちを見る瞳に戻る彼。
歩いて来る彼に対し、俺ら2人の向かう視線は一つの倒れた物体だった。
赤黒い液体の中に沈むその物体は力なく動く気配は全くと言って良いほど無い。
俺たちの視線を追うようにチラリと視線を向けると同時にあーと生気のない声を上げる彼。
「気にしなくて良いよ。仕事柄こういう「お客さん」も多くなって来るもんだからね。大丈夫?」
狙われた自分よりも、転がっている死体を見る自分たちの心配を最優先する彼に、俺は「変わらない」と思った。
自分よりも、何よりも他人を優先する。
それが彼の悪い癖だった。
二人とも彼の問いにコクリと小さく頷くと、彼は腰に付けた懐中時計を取り出す。
パタンッ
「そろそろ時間だね。リビング行こっか」
大人びた彼の言動は少し、俺の心をざわつかせた。
何とか依頼内容を確認できないだろうか。
執事に聞いても依頼人は「匿名」らしく、本人特定が出来ない状態にあったらしい。
痕跡が全く見えない手口に同じ匂いがする。
…見つけたいな
夕食後に1人で家を出る。
その際、彼らが着いて来ないように彼らの夕食には「睡眠剤」を仕込ませてもらった。
ぐっすり眠っている様子を確認してから家を出る。
申し訳ないことをした自覚はあるが「仕事」に彼らを巻き込む訳にはいかない。
幸いにも彼らが着いて来てくれたお陰で今から向かう館には誰もいないことになる。
「…誰も通さない…ねぇ」
本当にそうだろうか。
彼らがどう来たのか、「生き返ったのか」は全く心当たりがない。
だが少しだけ、心当たりがある気がするのは気のせいだろうか。
いや、気のせいだと思いたい。
館の前に着くと、勝手に開く鉄の扉。
その奥から姿を表す人物に見覚えがあった。
「いやぁ〜久しぶりですね?「先輩」?」
眼鏡奥にある紅瞳が闇夜に光る。
風で揺れる緑色の髪には白いキャップが逆向きで被せられていた。
学ランの下に赤いシャツを着る彼の胸には、一本の包丁が突き刺さっていた。
それを見た瞬間、嫌悪感が脳裏を縛る。
「嫌がらせ?」
「そんなまさか!僕があの崇高ならっだぁ様に抗うだなんて出来る訳無いじゃ無いですか!?」
口に手を当ててクフクフと嗤う彼。
あぁ、やっぱり「嫌い」だ。
「もっかい殺してやろうか?「ぐちつぼ」」
「おぉ〜怖い怖い…w」
コメント
4件
ぐっちー…今回も出せてもらえて良かったな…(涙)
ぐちーつ、何しでかしたんだよ......
ぐちっ...え、? ○した!?幽霊??? ワカンナーイ