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朝。今日はいつもよりも起きるのが遅くなってしまった。原因はわかっている。
昨日も考え事をしていたからだ。
それにしても … 眠いな。
流石に昨日は寝るのが遅すぎた。
畑の手入れも怠ってしまうなんて … 。
「 う、梅宮さんっ、おはようございます … ! 」
そんな時、いきなり後ろから声を掛けられた。
聞き覚えのある高くてかわいらしい声に思わず足を止める。
「 あぁ!おはようっ、桜花 」
できるだけ元気を装いながら挨拶をするも、桜花はどこか暗い顔をしている。
「 えっと、梅宮さん。クマが … 」
予想外の発言に驚愕した。
「 え?クマ? 」
「 はい … クマが酷いですけど、何かあったんですか? 」
「 … 」
クマができてるなんて … 気が付かなかった。
… こうなれば、桜花に悩みを打ち明けるべきか … 。
「 … 着いてこい 」
「 わっ! 」
桜花の腕を引っ張り、体育館裏へと連れていった。
「 桜花 」
「 は、はいっ、! 」
「 やっぱり桜花には誤魔化せないか ~ ! 」
気づかれないように接したはずなのに、気づかれちまったな。
「 え? 」
「 あのさ、今悩んでることがあるんだよ 」
「 聞いてくれるか? 」
正直言うのは怖いけど、桜花なら … 。
「 もちろんですっ、梅宮さんの相談ならいつでも聞きますよ … ! 」
桜花ならそう言ってくれると思った。
「 でも、桜花にこんなこと相談していいのか … 」
「 ?なんでも相談してくださいっ! 」
「 ありがとな。実は最近、クラスの奴とか、他クラスの奴もいんだけど … よくコソコソ何か言われるようになったんだ 」
そう。桜花が転入してきたあの日から、何故か周りから変な目で見られることが増えた。
「 え … 」
「 でも周りの奴らはみんな話しかけてくれるんだけどな 」
俺に話しかけてくれる時は優しいのに、裏ではコソコソなにか言ってるみたいだ。
桜花は少し考えるように俯いてから、また顔を上げた。
「 何も気にすることなんて無いですよ。私は梅宮さんの味方です 」
「 桜花 … 」
桜花はそんな俺の悩みを真剣に受け入れてくれた。
バカにするどころか、笑わずに俺の話を聞いてくれた。
それが俺は光に見えた __ 。
放課後になってから、俺は生徒会室に忘れ物をしたことに気づいてすぐに教室を出た。
教室から生徒会室はまぁまぁな距離があって、少しだけめんどくさい。
重い体を動かして生徒会室に向かう。
ガラッと扉を開けると、誰も居なかった。
「 お、あったあった 」
し ー んと静まり返った生徒会室の机に取り残された筆箱とノ ー トを見つけ、駆けつける。
これは昼休みに生徒会の呼び出しがあった時、話し合いで使ったものだった。
運良く午後の授業は筆箱を使う場面が無くて一安心。
俺は筆箱とノ ー トを手に取り、生徒会室を出て鍵を掛けた。
「 あれ?梅宮? 」
生徒会室を出たところで先生に会った。
「 こんなところで何してんだ? 」
「 あ、生徒会室に忘れ物をしてしまってな 」
「 あはは 」と笑って誤魔化すと、先生は呆れた様子で俺を見た。
「 お前な … ほんと忘れっぽいんだから。気をつけろよ 」
「 ごめんごめん 」
「 あ、鍵返しとくぞ。どうせ職員室戻るし 」
「 お、サンキュ ー 」
俺は先生に鍵を渡してその場を後にした。
教室に戻る途中、見覚えのある後ろ姿を見つけた。
それは桜花だった。
桜花は俺の教室の前を通ろうとしたところで、足を止めた。
どうしたんだ … ?
「 梅宮うざくね? 」
不思議に思っていると、中からクラスの奴らが話しているのを聞いた。
その言葉に、俺は酷く衝撃を受けた。
何故ならば話している奴らはいつも俺に話しかけてくれていた奴らだからだ。
「 な?わかる。最近の梅宮うざい 」
「 なんか2年の桜花さんと絡み始めてからうざくなったよな ~ 」
「 てか、周りに慕われてるからってイキってね? 」
どうして … そういう風に言うんだ?
俺はお前らに何かしたか?
不思議で堪らなかった。
胸が波打つように痛くなって、怖くもなった。
「 それな ~ 、普通にダサいし __ 」
「 そ、そんなことないですっ … ! 」
そんな時、桜花は俺の代わりにクラスの奴らにそう言ってくれた。
「 え … 桜花さん? 」
「 ずっと聞いてたの? 」
明らかに動揺した様子の奴らに、ダサいと思いながら話を聞く。
「 梅宮さんは … とても誠実で、包容力があって … 凄くかっこいいです … ! 」
桜花の言葉に、胸がドキッと高なった。
こんなに褒めてくれる人がいるとは … 。
「 たくさんの人に囲まれて恵まれて慕われてるのも … 尊敬しますし、堂々として良いと思ってます!! 」
桜花 … 。
そんなふうに思ってくれてたんだな。
「 あの … 桜花さん? 」
「 なので … もう梅宮さんの悪口はやめてください … っ!! 」
桜花は宣言するようにして、大きな声でそう言い放った。
こんな大声を出す桜花は初めてだった。
「 や、やだなぁ … そんな悪口だなんて … 」
「 悪口だろ 」
桜花1人に任せっぱなしだと悪いと思った俺は、参戦するようにして声を掛けた。
すると桜花は驚くように目を丸くしていた。
「 梅宮 … さん、? 」
「 う、梅宮 … 」
「 全部聞いてたのか … ? 」
桜花と同じように目を丸くして驚く奴らを無視して話し続ける。
「 お前らは裏でしか言えないのか。自分を強く見せる為だけに、自分を守る為だけに陰口を言う奴は … さっさと出ていけ 」
「 は、はぁ … ? 」
「 そういうとこだよ! 」
まだ反省しようとしない奴らに追い打ちをかけるようにして続ける。
「 校長には言っておく。お前らは退学だ 」
「 っ、それは … っ! 」
「 なにも退学にする必要 … ! 」
やっと焦りだした2人に、「 もう遅い 」と言うと、横にいた桜花がキュッと俺の服を掴んだ。
「 う、梅宮さん。退学にすることはないんじゃないですか … ? 」
「 え? 」
「 お、桜花さん … 」
予想外の発言に、開いた口が塞がらない。
「 もちろん、この方々をどうするかは梅宮さん次第です。しかし私は、退学にしたところでこの方々が他の場で同じようなことをしない訳が無いと思っています 」
桜花の考えにピンと来た。
確かにそうだ。ここで退学処分にしたところでこいつらはまた違うところで同じようなことをする可能性だってある。
俺はそんな考えが思いつかなかった。
「 まずはこの方々を、人を変えることが大切だと思います 」
… そうだな。
桜花の言う通り、退学にすりゃいいってもんでもない。
「 少し、考え直してみる 」
そう言い放って、俺は教室にある自分の荷物を持ち、その場を去った __ 。
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