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ムメイ
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耀聖(ようせい)
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ふわりとした生地とキラキラ光るレース。まるでお姫様が着そうなドレスの形のローブを着る。
今日は、私が聖女だと街の人達にお披露目するパレードが行われる日だ。
「準備出来たかい?」
「はい」
私はゆっくりとお辞儀する。それをカトルがじっと見つめる。
「とても綺麗だ」
「ありがとうございます」
他人行儀なやり取りのあとカトルとともに私は街へと向かう。そのあとをリード、ルードがついてくる。
リードは、ルードの双子の兄弟で、背が小さいリードがお兄さん。目もルードの青と黄色と違って両方とも黄色だ。ただ、二人の顔はよく似ている。
「殿下、私は警戒に」
「あぁ」
彼はそう言ってから、城門を出たところでルードを残して消えた。
「行こうか」
私は、今、馬に乗っている。何度か練習はしたけれど、すごく高くて怖い。
カトルが支えてくれるけれど、落ちないかヒヤヒヤする。
「「聖女様! 聖女様!」」
道の両側に溢れかえる人達。その真ん中を私達は進んでいく。
私は、聖女なんかじゃないのに、皆が、期待の目をしてこちらを見ている。
「カナ、一緒に守っていこう。この国を――」
カトルが何か言った気がするけれど、観衆の声に飲み込まれてきちんと聞き取れなかった。
ーーー
「疲れた……」
終わったあと、服を脱ぎベッドに座る。無理をしないようにと休憩時間を貰えた。
「学校の勉強遅れちゃうな。お父さん、お母さん、兄さん、タツミ、皆探してるかな」
何度目だろう。こうして時間が出来ると考えてしまう。向こうの事。
はやく、魔物をなんとかして向こうに帰りたい。もう一人、聖女が来たのなら、私だけ帰してもらえないのかな……。
そんなずるいことを考えて。
「もうすぐ、くるそうだ」
「来る? 来るって何が?」
ライトがなぞの言葉を発した。来るって、もしかして予言の魔物?
ーーー
ドンドン
強い音で扉を叩く音がした。
「カナ様、お休みのところ申し訳ございません。魔物が街に現れました。カトル殿下もすぐに参ります。お着替えを!」
お世話をしてくれる女の人が慌てている。もしかして、ついに?
「はい、わかりました」
私は魔法の練習で使っている動きやすい服とローブを選び、用意した。
ーーー
「カナ、大丈夫か?」
「はい」
これがすめば、もしかしたら――。
失敗は出来ない。
「行くよ!」
私達は馬に乗り、もう一度街へとでる。
沢山の兵士さんとリード、ルードを連れて。
ガタガタと震える手。
目の前には大きくて恐ろしい化け物。顔は狐、体は四本足だが獣のような毛ではなく蛇のような爬虫類の鱗に覆われている。
「カナ様、私と兄が魔物に魔法を撃ちます。カナ様は練習通りに結界を――」
そう言って、ルードは魔物の前に出た。すると、すぐにリードが隣に降り立ち、剣を両手に構えて魔物へと向かった。
二人が前に出ると、まわりの兵士達は円を描くように下がっていく。
あの二人と魔物を結界に閉じ込めて。
「ライト!」
大きな結界が彼らと魔物を閉じ込める。
魔物は結界にぶつかりながら双子の兄弟と戦っていた。
「あの魔物、二人の剣と魔法が効かないのか……?」
カトルが汗をかいて見守っている。
「彼ら以上の使い手は、この国には――」
いないと、口にださなくてもわかってしまった。
あの二人が負けたら、どうなってしまうの?
私は嫌なことを想像してしまい、ぶるりと身震いする。
「きゃっ」
魔物が地面にぶつかったのか地面が揺れる。
私は驚いて倒れそうになった。
「カナ」
カトルが後ろから支えてくれる。
「ありがとうございます」
「あぁ」
私には聖なる力しかない……。このままじゃ、失敗する?
「カナ、大丈夫だ。もうすぐ――」
ライトが話しかけてきた。
もうすぐ?
「リサが浄化してくれる。僕がいいと言ったら結界をとくんだ」
リサさんがきているの? でもまわりには見当たらない。何故?
「カナ、いいぞ」
突然、そう言われ私は結界をといた。すると背後から眩しい光が現れた。
その光は私達を越えて化け物に向かう。
大きく光ったあと、化け物を包み込んだ。
「あれが――」
浄化? 私が使う魔法とは違うもの? リサさんが使える魔法。
光が弱くなったあと、魔物がどんと倒れた。その身体から、キラキラと小さな光をいくつもいくつも空に伸ばしながら。
「終わった――――」
帰れるの? 帰れるよね?
緊張していた身体からストンと力が抜けた。
急に力が抜けたことに気がついたのか、カトルは私を抱き上げた。
「聖女カナ様バンザーイ。カトル殿下バンザーイ!!」
誰かが叫びだし、波紋のように広がってたくさんの声があがる。
違う。違うよ。私じゃない。本物の聖女は。
「聖女カナの勝利だ! 私達は予言に打ち勝ったぞ」
カトルが叫ぶと呼応するようにまわりの声が大きく大きくなっていった。
私の小さな声は誰にも届かない――。
ちくり
何かが、噛み付いたような、刺さったような痛みが走ったあと、私は気を失った。
コメント
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うわあ、パレードの華やかさと魔物戦の緊迫感の対比がすごく印象的でした。カナが「聖女なんかじゃない」って内心で繰り返すのに、周りは勝手に盛り上がってどんどん孤独になっていく感じが切ない……。最後の《ちくり》で意識を失うラスト、何が起きたんだろう? リサの浄化も気になるし、次の展開がすごく気になります。お疲れ様でした、花月夜れんさん!