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そのとき彩寧さんはひどく意地悪な顔をしていた。たぶん僕ではなく彼女に対して困らせてやろうと思っているのだろう。
「信じられないなら、本人に聞いてみれば。とっくに来て、私たちの会話を聞いてるから」
そう言われて驚いて振り返ると、怒った顔をして彼女がそこに立っていた。怒ってるということは嘘なんだろう。そもそも学校でセックスって、あまりに非現実的すぎる。そういう願望がある人は一部にいるだろうから、動画サイトで探せばそういうシチュエーションの動画もたくさん見つかるだろうけどさ。
「ボクは夏梅にいつかそれをカミングアウトするつもりだった。でも六車さん、あなたがボクに無断でアウティングするのは許されることなのか?」
「アウティング? 被害者ぶらないで! 私はあなたの性的指向をバラしたわけじゃない。学校という勉強する神聖な場所をラブホテル代わりにしていたあなたの異常性を夏梅君に知ってほしいと思っただけ。しかも一日三回を毎日? 別に強要されていたわけじゃないんだよね? あなたは自分の意思で毎日三回そこへ行って陸たちとセックスした。もしかしてあなたはセックス依存症なの? もしそうならあなたに必要なのは専門の医師による治療。夏梅君との恋愛じゃなくてね」
カミングアウトもアウティングも今までの僕の人生に無縁だったものという点では同じ。どうやら秘密にしていたことを自分から告白することをカミングアウトといい、他人にバラされることをアウティングというらしい。
それにしても、言いがかりだと一蹴するもんだと思っていたら、彼女はあっさりとそれも事実だと認めてしまった。彼女が怒っていたのはそれが嘘だったからでなく、事実をアウティングされたから?
彼女が飲酒もすることは知っているけど、そんなものとは比較にならない。学校でセックスしていたことが先生たちにバレたら、当然進退問題になるはずだ。自宅謹慎程度で済むとは思えない。毎日、しかも日に三回を何ヶ月も? 常習性から悪質だと判断されれば退学処分となっても文句は言えない。
放課後校外に出るまで我慢できないものだろうか。彼女はとんでもないビッチだったのか? それとも彩寧さんの言う通り、彼女はセックス依存症だったのだろうか? セックス依存症がどんなものか、詳しいことは知らないけれど。