テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
月翳
114
月翳
31
5ihun@nrkr厨
13
四月四日
**
朝。
十分に寝たはずが、あまり寝られなかった時と同じ不快感を得ている。
起きた時間を確認する。
いつも通り、10時55分だ。
「……」
ここには、誰もいない。
前だったらたまに髪の長い女性がたまにやって来たというのに。
「何かがいけなかったんだろうか」
考え込んでしまう。
ふいに思い出す。西海のあの表情。
少し見ただけなのに何かが揺さぶらされてしまった。
解決策は。
この後の手段は―、
脳の中に思考が渦巻く。
僕は西海をよく理解できない。
それはよく知っている。
まあ西海を理解しているような発言をするようなものなら、
僕に切れ味のいい刃物のような言葉が飛んでくるもので。
……そうか。
「理解できないなら、できるような人と会話すればいい」
僕はとある人物に電話を掛けた。
「…、もしもし、…ああ、君か?少し話があってだな、僕の事務所に来てもらえるか」
**
僕はいつもの服装になり、探偵事務所へと向かった。
「…」
コンコン、と音が鳴る。
「先生。俺だ」
「ああ、鍵は開いているから入ってきてくれて構わない」
入ってきた大柄な男。
その男の名前は東漸勝。
前に恩があって、彼と話した。
そうして僕の対人の関係は増えて行ったが
一方で彼と知り合ったのも僕の一つの恋人関係を断つものだった。
「久しぶりだな」
「ああ。」
「で、なんの用だ?先生」
刃物のような光を持つ瞳で見られる。
「実は、悩んでいることがあるんだ。」
「先生が悩み事か?」
ありえない、とでも言いたげな顔をしている。
「ああ、いや…悩み事と言うか、悩み事でもないような気がするんだが」
「…。」
「…と、とりあえず詳細を…」
**
詳細を話したところ、東漸くんは僕の話に一瞬目を見開いたがそれでも
話をちゃんと聞いていてくれた。
「なるほど…。では、先生はどう思っているんだ」
「僕がか。」
「…そうだ」
「そう聞かれると参る。僕は君にそれを解決してもらうために呼んだというのに。」
「あの名探偵がただの駅員に頼るとは、誰も予想できないことだろうな」
そう言うと、東漸くんはふとこちらを向いて言った。
「まあ、…西海の事で悩んでるんなら早く解決してやった方がいいと思うんだ」
「あいつは…、拗らせすぎるからな」
その言葉を聞いて、
「ああ、そうだな。そうするとしよう」
僕は少し安心したのかもしれない。
コメント
1件
うわあ…重くて静かな空気感、すごく好きです。 探偵っていう立場の“僕”が、頼れる東漸さんに悩みを打ち明けるところ、胸がぎゅっとなりました。 特に「拗らせすぎるからな」って台詞、東漸さんの西海への理解とちょっとした心配がにじんでて、すごく印象的だった…。 まだ全部は見えてこないけど、この3人の関係がどう絡んでいくのか、すごく気になる展開です🌙