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時刻は23時。
辺りは真っ暗だ。街灯もないせいか,とても心細い。いつもならこんな時間にはもう家に着いていて、お風呂に入ったりしている時間だ。なら何故、今日はこんなに遅いのか…?
それは、自分が働いている店でちょっとした事件が起き、対応をしていたからだ。
勿論,犯人は分かっている。
店の1部が燃えるなんて、、、犯人は1人しか
居ないだろう。
オイラの双子の兄。『麻倉葉王』
そんなことを思いなら家路を辿っていると…
『ねぇ、帰ってくるの遅すぎない?』
と、声をかけられた。聞き覚えのある声に振り返り
「しょうがねぇだろ、どっかの誰かが店の1部を燃やしたんだ。」
と、嫌味風に彼の発言に応える
『ははっ!それはそれは大変だったね。お疲れ様』
「思ってもねぇことを口にすんなよ」
『思ってるさ。ねぇ、葉。ご飯まだでしょ?』
後ろに居た筈の葉王はいつの間にか前に立って自分の顔を覗いている。
「ん、おぉ。そういえばまだだったな…」
『早く帰ろ!僕が葉のためにご飯を作ったんだ』
「え…?」
『ん?どうしたの?』
「え、あ、いや、ご飯、?」
『うん。』
「お、オイラ買って帰るんよ…」
『遠慮するなよ~!あ、僕があーんしてやろうか?』
「それだけはお断りだ!!」
『じゃあ、何を心配してるんだよ』
「お、お前の料理は……不味いんよ、」
『そんなことないよ!!』
「忘れたのか!?あの時の……」
『ん?どの時かな?』
前に1度オイラが風邪をひいて家事をしなかった時だ。
とても心配してる兄を見て,こんな時は兄なんだなぁ。と思ってると台所から変な匂いがした。
『あっ、忘れてた!』と、慌てて台所に行き
火を止め走りながら此方に戻ってくると
そこには人間の食べれる物ではないものがある。
「え、っと。兄ちゃん…これは、、なんだ?」
恐る恐る聞いてみると、葉王は満面な笑みで
『おかゆだよ!』
「は?これが??」
『僕が作ったんだ!風邪なんてすぐ治るよ!ほら、早くお食べよ』
「オイラを殺す気なんか!?」
結局葉王の勢いに負け、その、ダークマターを口にすると、苦い、甘い、辛い、などと
おかゆの味ではないものが……
「な、なぁ。これ何いれたんだ?」
『え?えーと…梅干しと、唐辛子と……』
「も、もういい。」
なんて物を入れてるんだ…。
と、葉王の料理の下手さを思い出して
「オイラが風邪ひいた時なんよ、」
『ん、あぁ!僕がお粥作った時か!』
「お粥じゃなくてダークマターだろ…」
『安心してよ!今回はちゃんとレシピ見たんだから』
「ほ、ほんとうか?」
『もっちろん!ほら、早く帰ろ』
「お、おう。」
レシピを見たなら安心だな…と思い駆け足で家に帰ると
『ほらっ!』
ん、??こいつさっきレシピを見た。と言ったよな?なんだこれ。す、炭か??
魚(?)は焦げていて,みそ汁らしきものは
味噌は入ってなく、わかめと豆腐が入っている。
ご飯は、、、お粥か??
「え、っと。兄ちゃん,これは…なんだ?犬の飯か?」
『え?ご飯だけど??』
「は?これが?」
『うん。ほら、早くお食べよ!』
「い、いや。遠慮しとくんよ…」
くるりと踵を返し寝室へ行こうと
ガシッと腕を掴まれ
『待てよ。僕が葉の為にご飯を作ったんだよ?なんで食べないの。』
「お腹壊しそうなんよ!!」
『ふぅん…。いいよ。僕が食べさせてあげる』
「は、ちょっっ!!」
『どう?美味しい?』
無理矢理口に何かを突っ込んできて
「げぇ…!!まっっずい!!」
『まだまだ子供だなぁ。葉は』
「もうお前は料理をつくるな!!」
その後…葉王が台所に立つのはなくなったそう。