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右手には真っ赤なリボンで包んだ手作りチョコレート。                          それを背中に隠してゆっくり近づき左手でドアに手をかける。                 彼の人はいつも朝1番に教室に来る。僕がどんなに頑張ってもいつも2番。 なのに嫌な気はしなくて、他の人が来るまでのひと時が心地よく感じる。 真面目で融通の効かないところもあるけど、 気を使ってくれたり…          周りを良く見る優しい人だ。                                                              今日はバレンタイン。 一生懸命作ったチョコレート、喜んでくれるかな。 そんな淡い期待と不安でチョコレートを強く握ってしまう。                    よし、と決心して左手に力を込めようとすると、 中から音がする。    人の声だ。ドイツ君さんと誰かが話している?なんで?                          いつもは僕とドイツさんだけの朝なのに。

結局うだうだした結果、渡すのを諦めてしまった。

僕は20分程トイレで時間を潰して、いつものように教室に入った。 僕はポーカーフェイスが上手な方だから、大丈夫な筈って言い聞かせながら授業を受けてたけれど、不安で仕方がなかった。ドイツ君さんにも余所余所しく接してしまい申し訳なかった。

授業中ずっと鞄の中の箱の事を考え続け昼休みになった。僕は今度こそと思ってドイツさんに近づこうと身構えた。

すると急に肩を触られた。

「っぴゃ!」

思わず意味不明な効果音を出してしまい遺憾に思いながら後ろを振り向くと予想通りの相手がいた。

「Hey、日本!今日バレンタインだけどなんかチョコレートもらったか?」そう言いながら肩を組んでくる近い!スキンシップ怖い!そして、その話するのやめて欲しい!                         「アメリカさんは貰ったんですか?」                 どうせ自慢なんだろうなと思いながら聞く。聞かなかったら面倒くさいから「まあな!」やっぱり                       「そうですか。凄いですね、残念ながら私は貰って居ないので。」   「だろうな…日本がもらわないようにm」 あれなんか不穏な空気を感じる「すみませんアメリカさんもう一度言ってt」            「日本、時間だけど大丈夫か?」                   ドイツさんに急に声かけられて、精一杯の笑顔で応える。        アメリカは少し不機嫌な顔をして帰っていった。まあ、自分が中心じゃないと嫌なんだろうな。そんな事を考えながらドイツさんと共に移動教室に向かう。チョコレートは放課後渡そう。

授業が終わって教室は一気に五月蝿くなる。片付けをしながら、みんな騒いでいる。バレンタインの雰囲気にあてられて意識が高揚しているんだろうなといつも馬鹿にしてたこの日をみんなと同じ気持ちで過ごしているのが不思議だった。準備を終えて例の箱を握る。                今日のうちに渡さないとと思って、鞄の中に手を入れているドイツさんに話しかけようとすると、いきなり何かに腕を回され教室の外に連れ出される。

僕を連れて行ってるのは勿論アメリカだ。              「あのアメリカさん離して下さい!大事な用事があるので」       離してくれない。今日じゃないといけないのに             空き教室に僕を押し込んでアメリカは聞いてきた。          「その用事は俺よりも大事なものなのか?」              この人は何を言ってるんだ?当たり前じゃないか。そう思っても、サングラスのアメリカの奥に潜む青い瞳は濁っていて、アメリカは未だに僕の腕を強く掴んできて痛い、怖い。                      「勿論大事ですよ!だから離して下さい!」             「ふーん。」そう言いながら掴まれていない方の手で持っていたバックを奪って、赤い箱を取り出した。                    「っ返して!!」高々と掲げるそれを取り返そうと奮闘するも、身長の足りない僕には無駄な事だった                     「これ、ドイツにあげるためのものだろ?朝から頑張ってたもんな?」  「なんで知っt」                         「当たり前だ、日本の事を知らない訳がないだろ?でもそんな可愛い日本の気持ちを汲めないドイツ、最悪だよなぁ。今日の朝、実は俺の女友達とドイツが二人っきりだったらしいんだけど、ドイツ日本の事なんて言ってたと思う〜〜」此処からは余り入ってこなくて、ドイツさんに裏切られたショックとこんな事ペラペラと嬉しそうに話す此奴への怒りが混ざりあってくるしくて何かに縋り付いていたいと思った僕はアメリカに抱きついていた。アメリカは僕の頭を撫でてくれて、味方だと言ってくれた。

僕は自然と力が抜けて、床にへたれこんだ。アメリカはしゃがんで僕の涙を拭いて、その人差し指を手に持って行って舐めた、

と思ったら僕にキスをした。






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