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「少し話があるんだけど···」
メンバー3人で集まったタイミングで話出した僕はあくまでいつも通りを装ったつもりだったけど、元貴は少し顔を強張らせて僕の顔を見た。
その綺麗な瞳から思わず目を逸してしまう。
「ミセスを辞めようと思って」
「······え?」
若井は下を向いて黙っている。
元貴は僕をじっと見ているのがわかる、視線を痛いくらいに感じたから。
「···今日エイプリルフールじゃないよ、ってか笑えない嘘はよくないよ」
「嘘じゃない。ごめん、急に···」
「嘘じゃないならもっと笑えないよ!何言ってんの?なんで?」
「フルートとピアノを学ぶために留学したい、だから辞めて海外に行く」
「ほんとなに、いってんの···?」
元貴の言う通りだと思う。
なんで今このタイミングなのか、何を言っているのか。
僕でもそう思う理由だ、けどこれくらいしか思いつかなかったんだ。
「···ごめん」
「別に留学とかそんなのはいいよ、けどなんで辞めるとか!辞める必要は、ないじゃん、休めばいいし海外に行ってもいいけど!何言ってんの!」
「半端な気持ちで行くつもりはなくて···それに何ヶ月とかじゃないから」
「···何ヶ月でも何年でも行けばいいよ!ただ辞めるなんて···りょうちゃんのことがわかんない!」
あ、泣かせてしまう、そう思って手を伸ばした僕を振り払うように元貴は部屋を飛び出した。
仕方なく僕は椅子に座り直して小さく息を吐いた。
「こうなるか···わかってたけど···」
「ごめんりょうちゃん、俺何も言えなくて···」
「ううん、何言っても一緒だったよ、きっと···それより僕こそごめんね」
ここにも泣きそうな顔の優しい人がいた。いつも僕を励まして支えてくれた若井を抱きしめる。ごめんね、最後までこんなことを頼んでしまって···。
やっぱり彼は本当に優しい温かいひとだ、ぐっと堪えて涙は流さなかった。
若井がいるなら元貴はきっと大丈夫。
僕は安心していけるね。
元貴は少ししてから真っ赤な目をして帰ってきたけど、ひと言も話さなかった。いつもは絶えず騒いでいるのに、3人とも何にも喋れなかった。
コメント
14件
新しいお話、ありがとうございます✨ お知らせも読ませて頂き、ちょっとドキドキしてます🫣 毎日楽しみにしてます!
うわーん(´;Д;`) タイトルからしてもう涙の予感… (´;Д;`)

音楽留学とか、のっけからなんて展開だ!