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⚠️白布×彼女(🌸表記)
⚠️事故シーン
⚠️解釈違いなど
私は昔から病気がちだった。喘息とかも持ってたし蕁麻疹だってちょくちょく出てた。インフルも毎年なっちゃった。
そんな私にも優しい幼馴染がいた。賢二郎って言うんだけど、昔は私の方が背が高くて一個上なのもあって賢二郎のことは「じろー」って呼んでた。
2年前の私の卒業式に私はじろーに告白された。ずっと前から好きだとか言われちゃって。私もだよこの野郎とか思ったけどそこは乙女チックに告白にOKして無事におつきあいさせて貰ってたりして。
その時じろーはまぁ頭はいいなぐらいだったんだけど、私が白鳥沢とか行く予定なもんだからじろーもそこに行くって言い出して。勉強を頑張るようになった。前からバレーはしてたみたいなんだけど、白鳥沢にすごい人がいるってなってさらにやる気が出たみたい。
高校になってクラスの友達に惚気たりすると「可愛いけど重くなーい?」とか少し言われる。ちょっと頭いい程度の学校なら一緒に行く!とかは割とあるんだろうけど、ここは相当難しい。なによりじろーはスポーツ推薦を貰えそうにないみたいで勉強するしかないそうで。というかカレカノならもうちょい重くなっても良くない?
そんなこんなで惚気ながらあららこららと夏休みに入った。じろーのとこのバレー部は強いから全国まで行くそうで、夏休み初期は部活がフルで入ってる。
その日はじろーが珍しくオフの日で、私がじろーの家に行くことになっていた。久しぶりに会えると息巻いて、お菓子をたくさん持っていこうとした。
道中で横断歩道を渡るときに、横から激しいブレーキ音が聞こえた。なんだろうと思う暇もなく私の体に激しい衝撃を感じて、咄嗟にお菓子の入ったビニール袋を離してしまった。
激しい足の痛みに襲われてその方向を見ると、私の足にタイヤが乗っていた。動いても動いてもそれはどいてくれなくて、痛みが増すばかりで足元がただ赤く滲み出しただけだった。
いままで体をささえていた私の手は力が抜けて、そのまま私は倒れてしまった。倒れた少し先にじろーと食べようと思っていたアイスが蓋から溶け出ているのが見えた。せっかくのオフなのに…と思いつつ視界は暗転して、私は意識を手放した。
気がつくとそこは病院で、手にはたくさんの点滴がささっていた。起きあがろうとしてもうまく力が入らず、顔の向きを変えるのが精一杯だった。運のいいことにテレビがついていて、しばらくそれを見ていた。
しばらくすると女性の声が聞こえて、カーテンが開かれた。手にはカルテらしきものが握られていて、私と目が合うと近づいてきて、電話でお医者さんを呼んでいた。お医者さんがきてからは何があったか詳しく聞かせて欲しいとか色々言われて、さっきまで何があったかを話した。
もうすぐ話が終わると言うところで、お医者さんが顔を気まずそうにして私の足にかかっていた布団をまくった。そこには包帯で包まれた足があった。と言ってもべつに切られてるわけでもなく、普通に形はある。私がこれが何か?という態度をとっていると、「原型は留めてるものの、神経がやられていた。おそらく一生直ることはない。君の足は二度と動かない。」と言われた。
ーーーは?
そんなわけがない。だってここにあるんだよ?と思って足を触ってみた。
…感覚がない。触られている気がしない。慌てて私はベットから立ち上がろうとした。けれど足は意志と反して下に崩れ落ちる。
歩けない。
これは本当なのだ。夢なんかじゃないし、勘違いとかじゃなく、私の足がダメなってしまったのだ。それもたかが事故程度で。そう思った瞬間咳が止まらなくなり、息が苦しくなる。
お医者さんや看護師さんが背中をさすってくれたりしてくれてるけれど、それが余計に苦しくなるようでダメだ。また意識が飛びそうな感覚に襲われて…手を握られた。
暖かいけれど冷たい手で、誰かはわからなくて。誰なのか見たいのに目を開ける余裕もなくて。
「落ち着け🌸、な?大丈夫。大丈夫だよ。」
いつも聞いてる声だ。じろーの声だ。いつ来てくれたんだろ。せっかくの休みの日なのに。声自体は落ち着いているのに手からはあせがでてる。じろーも焦ってるのかな、わかんないや
いつのまにか私はじろーにしがみついて床に座っていた。子供をあやす親のような姿勢で少し笑ってしまう。Tシャツを着ていたジローの肩は濡れてしわになっていて、気持ち悪いだろうに私のことをしっかりと抱きしめていてくれていた。
「急に事故るわ過呼吸起こしてるわ泣き喚くわした後に急に笑い出すなよ。うけるぞ。」
何言ってんだこいつは。勝手にうけとけ。軽くじろーの頬にデコピンしたあとさっきまでの記憶が少しずつ戻ってきた。
じろーに手を握られてからの私はそりゃぁもうやばいというかなんというか。呼吸は落ち着いたのに号泣するや否や慰めようと近づけてくれたみんなの手を振り払って床に突っ伏した。なんとかじろーがバカスカ私に殴られながら落ち着かせてくれた…ような。
『いやなんか…現実になったわ』
「何さっきまで妄想の世界かなんかだったの?」
『そういうわけじゃ無いんだけど。じろーが「うけるぞ」とか言い出したから世界に歪みを感じた』
「…ちょっっと脳検査してもらおうか。ね?」
『脳は元気元気のハッピーハッピーだから大丈夫だよ』
「だからだよアホ。無駄に心配かけやがって」
『無駄ってなにさ無駄って!!』
「…別に、🌸が生きてたからよかったってだけ。まぁその、足の話はきいたけど。俺がなんとかすっから大丈夫。」
『ほーん、へーん、ふーん。じろーもたまにはいいこと言うじゃん。これがセイチョーねー。』
「おっ前、ほんと最近天童さんに似てきたよな」
『真似してるのバレたか。じろーを面白い感じにむかつかせられるの天童か五色くんぐらいだもんねー』
むかついたのかデコピンの仕返しなのかはわからないけれど、今度はじろーに頭を軽くはたかれた。本当にバカになったらどうすんだ責任取れ
「…退院日、2週間後だってよ。それまでに行きたいところなんか決めとけ。」
『えなんで?』
「教えるほど俺は優しくありませーん」
『うわでた変な優しくないアピールだからモテないんだぞ…いやあれ、じろーモテるな。訂正訂正。』
「なんなん?????」
そんなこんなでリハビリとかいろいろ重ねてついに退院日。
ってか聞いて!?!?
リハビリ期間に補助具を作ろうって話が出たんだけど、そんとき横にいたじろーが!!
「補助具は高いし合わないと凄く痛いから、俺と将来結婚したら買ってあげる。そしたら俺が基本みておけるし。義足なくたって俺が全部するから。車椅子も押すしパシリもまぁ許す。好きなとこ連れてってやるから。」
はぁ…確かに片親の私にとって補助具が金銭的大大大負担になるのはわかってた。だけど作るつもりではいたのにじろーったら「俺が見てないとヤダ‼︎」なんて言うからさぁーん(言ってない)
しかもこれしれっとプロポーズだよもう好きだよはぁすきだよくそが
「なんかせっかくの退院日なのにキレ顔なのやめてもらってもいい?」
『…これはじろーが悪い。最後まで責任とんなさいよ。』
といやみったらしく車椅子の車輪を叩く。別に嫌とは思ってないけど不便なのに変わりはないので念押しする。
「はいはい責任は喜んでとりますー」
『はい言ったな!?言ったなじろー!録音してたからね!!』
「おわお前なにやってんのほんと」
『だって_______
「____続いて、花嫁様からのお手紙です」
『えー、みなさんこんにちは。本当ならここは母や父へのお手紙の場なのでしょう。ですが私の父は私が小さい時に急死、母も昨年病気で亡くなりました。もちろん私は2人を愛しています。その2人に今の私の幸せが伝わることがこの場の意義だと思い、この手紙は別の人について書いたものとさせていただきます。』
『私は高校生になって2回目の夏休みに、足がお釈迦になりました。事故だったんです。形はあるものの大人になったら今でも痛みは続いています。そのせいもあって二学期の登校は私にとって辛いものでした。なにより車椅子となったことで知人からの視線が怖かったのです。まぁ本当はそんなことはなかったんですけどね笑。それはみんなの心配の目線だとか、どう声をかけようとかそういうものだったみたいで笑』
『でも彼は引きこもりがちになってしまった私に毎日連絡をくれました。それが凄く嬉しかったのです。私の心の支えでした。』
『あ、えーと、長くなりそうなので、あ結婚式だし長いほうがいいかな?』
「…続けたら?」
『へへへ。まあそのそんなこんなあって、嫌がらせとかももちろんあって、それでも支えてくれたのは彼の存在でした。私の足の痛みだとか、いい補助具を見つけるためだとか言って、元は別の仕事に就こうとしたのを急に医者志望になってとんでもない量の勉強をして。そして無事に今は医者になってたくさんの人を助けています。凄く自慢です。』
『ここで伝えたいのは、私の夫がどんなに凄い人でイケメンだろうと彼は私一途だってことです。つまりこの世で一番幸せなのは私と彼だってことで。これを皆さんと父と母に伝えたかったんです。それでは。』
『今までもこれからもずっとありがとう』
『終わったねー結婚式』
私が25になった誕生日。結婚式を迎えた。相手はもちろん白布賢二郎くん。付き合って10年で無事にゴールイン!!うれぴー!
そんなわけで結婚式も披露宴も二次会も終わって私たちは少しお高めのホテルの一室でくつろいでいる。
「…終わっちゃったな」
『えーめずらしい。どんちゃん騒ぎは嫌いじゃないの?瀬見にいたっては酒飲みすぎだったし笑』
「珍しいといえば🌸が俺に手紙やるシーンとかは結婚式界隈では珍しいだろ。」
『なに結婚式界隈って笑、なに?嬉しかったの?照れちゃったんだ〜笑』
「はぁ、うるさいなぁ。もう寝よ。」
『はいはい、わっかりましたよー。明日はどこ連れてってくれるの?』
明後日からは私たちはいわゆるハネムーンだ。
その前に行きたいところがあると賢二郎が言うので明日はそこに行く予定。ちなみにどこに行くかは全く聞かされてない。
「それは明日のお楽しみってことで。」
『ちぇ、教えてくれたっていいじゃん』
「…」
うわ寝たふりしやがった。なんだこいつ。もういいし私も寝てやるわ
「ほら起きろ。もう9時。」
カーテンを一気に開けられ布団も捲られる。どこぞの私のおかんにそっくりだ。
『いいじゃーんもう少し寝ても』
「今日行くとこはここから距離あるんだから。移動かかるよ。」
『んーじゃ車で寝るね』
「へいへいそれでいいですよー」
そう言いつつまた目が閉じる私を引きずってホテルから出した。いや車椅子だから押してんのか。わはは。
長いと言っていたドライブだが…ほんとうに長い。長すぎ。2時間は経ってる。普段は短い移動は車椅子で簡単に乗り降りできる後部座席に乗ってるんだけど今日は賢二郎に言われて助手席。お昼もコンビニのサンドイッチを賢二郎が買ってきてくれた。
『ところで結局どこいくの?』
「もうすぐわかるよ。着くまでは15分とかかな」
『ふー…え、きれー』
「見える?晴れだから綺麗だよなー」
『えすごいすごい!!かもめとかいるよ!!』
左に見えたのは海だった。道路のすぐ下に砂浜があってその先に空色の海が広がってた。この辺は観光客がすごく多くて人がわんさかいた。
「…退院する前にさ、行きたいところ考えろって言ったら🌸即答で海って言ったんだよな」
『はぇー、そんなん言ったっけ??私は覚えてないやー笑賢二郎が覚えててくれてるのは嬉しい』
「忘れんなよ笑なにそんなになら帰る?」
『え帰りませんけど遊びますけど』
「はいはい笑」
…へぇー。賢二郎もそういうロマンチックというかあるんだねー。乙女チックなとこが。今日まで言わなかったのはカッコつけたかったってことでいいのかなかわい。
賢二郎が車を止めたのは人が集まってた場所から離れた崖の影にある綺麗な砂浜だった。
『え、なっっっにここ秘境ってやつ?全然人いないしクソ綺麗なんだけど』
「うん。ほら、車椅子動きにくいかなって思って。人少なくて砂少ないところがいいでしょ。」
『はー好き』
「…そんな真顔で言われてもなぁ」
ほい、運べ、と言わんばかりに腕を広げると砂のある手前まで進んだ車椅子から私を拾い上げてお姫様抱っこになる
『よくこの細っこい手にこんな力あるよねー』
とかちゃかしながらつついてると不意にその手を掴まれて
「何人も命救ってっからな。重さが違ぇーの重さが。」
『きゃーかっこいいたくましー』
「ほんっとそういうとこかっわいくねぇー」
とかいいつつ私が安定するように賢二郎にとっては辛い姿勢をとってくれてるあたりこいつがヤバいやつなのはわかる。やばいってのはまぁ…やばいってことで。
ちなみにここから照れ隠しの賢二郎に海に軽く投げ込まれそうになったのは別の話で。