真っ暗闇、周りに何も見えない、暗い暗い場所
私はどこにいるの?意識はある、体も動かせる、でも何も見えない、動かしている感覚はあるし手も足も見える
歩いてみる、地面は硬い石のようで足が痛くなる、どれだけ周りを見渡そうが真っ暗闇
そんな中で灯りを見つけた、石台に灯った火、その方向へ向かう、近くに来ている、もうすぐ触れることができる
普通は熱いはずなのに熱くない、火の中に手を入れてみる。
何も起きない……
何故か無性に泣きたくなってきた、まるで小さい子供のように、悲しい感覚に襲われる
「……」
声が小さく聞こえた、後ろから…すぐにわかった、この声は……
「お…かあ…さん…?」
あの日の瞬間、忘れていた…あの瞬間
「おかあさん!私ずっと待ってたの…!おかあさんがかえってきてくれるって!信じてたから…」
ずっといなかったお母さん、その理由、忘れていた、親がいなかった理由
その理由……ずっと忘れていたあのこと、思い出したその瞬間暗闇は色とりどりに変わった
鳥が飛んでいる、山の頂上、崖の端、綺麗な紅葉の葉、誰もいない場所
また…また………嫌だ…嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ
「!…お母さん!!もうやめてよ!!」
もう思い出したくもなかっただろう、二度と出会いたくなかっただろう、その瞬間が今ここに
時間が遅くなる、もう止めることはできない、もう見たくない、泣きながら走った、お母さんが泣きながら向いている方へ
走るのはどうも苦手ですぐに転けてしまった、もう体は動かない、必死にもがこうと手足が動かそうと体が動かない
世界に心ってないんだ、もう気づいた時お母さんはいなくなっていた。
「っ!…っはあ…!…っはぁ…はぁ…」
呼吸ができない、汗が止まらない、体が熱い、何とか立ち上がってもまた倒れてしまった。
長い長い長い夢でも見ていたような感覚がある、何も覚えていない
誰かが階段を登ってくる、すぐに立ち上がろうとしたが立てない………
人が来た、何故か見覚えのある顔、よく覚えていないような覚えているような
「…!ごめんなさい!」
よくわからず泣きながら咄嗟に出た言葉は自分でも意味がわからない。
「えっ?…だっ…大丈夫…?」
男の人だ、優しい顔をしている、でも何か辛いことがあったような見た目。
「えーっと…あっ、今のは気にしないでください!!!」
恥ずかしい…何故あんなこと言ったのだろう
「よくわからないけど…はいこれ、涙拭いてね」
ハンカチをもらった、とりあえず涙を拭う、まだ冷静になれない
少し立って少し落ち着いてきた、よくみると私と結構歳が離れているようで見た目的には30歳以上だと思う
「ようやく落ち着いたね、ここで何かあったの?ゆっくりでいいから教えて欲しいな」
この人のそばにいると親のそばにいるように安心する…
「あの…私…何があったかわからなくてっ…気づいたら…こうなってて…」
「そっか…君にもわからないんだね……そういえばここには人が住んでいないんだけどどこか向かってるの?」
「そのー…一人旅……みたい…な?」
自分でもわからないからとりあえずそう言った
「一人旅…か…僕も好きだよ、子どももよく連れていったし…まあでも…」
「で…でも…?」
「いや…あんまり人に話す内容じゃないかな」
何があったんだろうな…
「そういえば外ももうこうなってるしこれからどうすればいいんだろうね」
「こうなっている…?」
「知らないの?2週間前にあった全てが石化したっていうあれ」
何のことを言ってるかさっぱりわからない
「何ですか…?それ」
「…もしかしてここに2週間いた…?」
「え?!私寝てただ寝てただけですよ!!」
「どうだろうね…君は何か特殊なモノを持っているように思うんだ…」
「……ありがとうございます!私もうそろそろ行きますね!」
「うん、またね」
窓で外を見ると本当に木も魔物も地面も全て石化している、草だけは石化していないが全て枯れ果てている
そういえばあの人の名前を聞く名を忘れていた
「名前は何ですか…?」
「岡元秋也だよ」
「ありがとうございます!」
急いで外へ出た
第七話終了
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