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第二十五章
四神異聞録
―神々の戦い―
「邪神が……黄龍……!?」
琥珀が思わず声を上げた。
誰も、その言葉をすぐには受け入れられなかった。
世界を創った神が。
人々を愛していた神が。
今、自分たちの命を狙う邪神だというのか。
「では……四神は、かつて仲間だった黄龍と戦ったんですか?」
震える声で詞葉が問いかける。
神父は静かに頷いた。
「はい。世界を守るため、四神は黄龍を止める決断をされました。それが――神々の戦いの始まりです」
その言葉に、神殿の空気がさらに重く沈む。
四神と黄龍。
世界を創った神同士が戦った。
その結末が、今もなお続く戦いへと繋がっている。
誰も言葉を発することはできなかった。
神父は四人を静かに見渡し、口を開く。
「ですが、その戦いの真実は、口伝ではなく、一冊の古文書に記されています」
「神父さま。お持ちいたしました」
静寂を破るように、羅刹が一冊の古びた書を両手で抱えて現れた。
「ああ、羅刹。ありがとう」
神父は本を受け取り、祭壇の台座へと丁寧に置く。
表紙には、長い年月を感じさせる文字が刻まれていた。
――四神異聞録。
「これは神殿に代々受け継がれてきた聖なる書です
ここには、神々の戦いの真実が記されています」
神父はゆっくりとページを開いた。
「かつて黄龍は、人々を誰よりも深く愛しておられました。
飢える者には実りを与え、病に苦しむ者には癒やしを授け、争う者たちには幾度となく手を差し伸べられたのです」
神父は一度言葉を区切る。
「ですが、人は神の願いに応えませんでした。
争いは終わらず、憎しみは憎しみを生み、命は奪われ続けたのです。
どれほど救っても、人は再び争いを繰り返しました」
神殿に静寂が落ちる。
「やがて黄龍は悟ります
『人は変わらない。ならば、苦しみの根源である今の世界を終わらせ、新たな世界を創ればよい』――と」
「そんな……」
煉華は小さく呟いた。
「黄龍にとって、それは世界を滅ぼすことではありませんでした。
争いも、憎しみも、悲しみもない世界へ造り変えること。
それこそが、本当の救いだと信じていたのです」
神父は静かに四人を見渡した。
「しかし四神は違いました。
人は未熟であっても、自ら悩み、苦しみ、それでも未来を選び続ける存在。
その可能性を信じておられたのです」
「だから……戦ったんですね」
詞葉が静かに呟く。
神父はゆっくりと頷いた。
「はい。
世界を造り変えようとする黄龍と、人の未来を信じる四神。
互いに世界を愛していたからこそ、その想いは決して交わることはありませんでした。
そして――神々の戦いが始まったのです」
コメント
1件
うわああああ第25話読み終えたよ輪廻さん!!!😭💕💕 黄龍がまさかの邪神というか…世界を愛しすぎた故に「作り変えよう」としたんだね…その信念の重さに胸がギュッてなったよ🥺💔 四神との対立構造も「どちらも正しい」って思わせる感じが泣ける…! 神父の語り口調がすごく落ち着いてて、詞葉ちゃんたちの反応が自然に心に響く構成だったよ✨ 羅刹が古文書持ってくるシーンもタイミング完璧すぎて痺れた…!次が気になる!!🔥