テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
第二十六章
真実
―選ばれし魂―
「激しい戦いの末、四神は黄龍を封印しました。しかし、神を滅ぼすことはできませんでした。
神とは、たとえ肉体を失っても、その存在そのものが消えることはありません。
黄龍は封印の中で、気の遠くなるほど長い年月を過ごしました。
その果てに、人への絶望と憎しみは少しずつ積み重なり、やがて――邪神へと変貌してしまったのです」
あまりにも衝撃的な真実だった。
誰一人として言葉を発することができない。
神殿は重苦しい静寂に包まれ、息をする音さえ大きく響いているように感じられた。
煉華は胸の奥が締めつけられるような痛みを覚えながら、そっと拳を握り締める。
神だった存在が、人を憎み、世界を滅ぼそうとする邪神へ――。
その事実は、あまりにも悲しく、そして残酷だった。
神父は四人の表情を静かに見渡し、再び口を開く。
「そして今、その封印は限界を迎えています。
邪神が完全に復活すれば、この世界は再び滅びへ向かうでしょう。
だからこそ四神は、皆さま四人を巫女として選ばれたのです」
その言葉に、蒼紫はゆっくりと顔を上げた。
「……あの。なぜ、私たちだったのですか?」
蒼紫は不安を滲ませながらも、その瞳は真っ直ぐ神父を見つめていた。
神父は穏やかに微笑み、小さく頷く。
「四神は、力の強い者を選ばれたのではありません。
その代償を背負ってもなお、人を守ると決意できる魂を選ばれたのです」
静かな声だった。
しかし、その一言は四人の胸の奥深くへと染み渡っていく。
力ではない。
才能でもない。
誰かを守りたいという、その強い覚悟こそが、四神に選ばれた理由だった。
神父の言葉は、四人の胸に深く刻まれる。
その重みを噛みしめながら、誰も言葉を発することはできなかった。
神殿には、静かな沈黙だけが流れていた。
コメント
1件
第46話、読ませていただきました。 黄龍が邪神へと変貌した背景——「人への絶望と憎しみが積み重なった」というのが、とても胸に刺さりました。神だったからこそ、その変わりようが悲しくて、読んでいてじんわりと苦しくなりました。 それでも、神父様が語った「代償を背負ってもなお、人を守ると決意できる魂を選んだ」という言葉が、最後に優しい灯りをともしてくれたように感じます。力じゃなく、覚悟だったんだなあ……。 蒼紫が「なぜ、私たちだったのか」と尋ねたシーン、不安と真っ直ぐさが混ざったその眼差しが、とても印象に残っています。静かな重みがある、素敵な回でした🌷