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ICU第3病室。再び心停止のアラームが鳴り響いていた。
「心室細動!電気ショック準備!」
京本がAEDのパッドを素早く貼り付ける。
モニターに映る心電図は、暴れるように波打つカオスの線を描いていた。
「チャージ完了!」
「ショック1回目──放電!」
機械が低く唸り、患者の体が跳ねた。
「再度、CPR継続!」
髙地が胸骨圧迫を引き継ぐ。
その手は既に何人もの患者を救い続けて限界を超えていたが、動きは一切乱れない。
「電解質異常も進行中!」
慎太郎が最新の採血データを読み上げる。
「カリウム8.2、乳酸20超え、代謝性アシドーシス重度!」
「重炭酸投与開始!」
樹が即座に薬剤を用意する。
「心臓マッサージ、続けろ!次、ショック2回目!」
北斗の声が鋭く響いた。
「放電!」
再び体が跳ねる。
モニターは──まだ荒れていた。
午前3時10分──
この蘇生は、すでに常識を超えていた。
心停止から30分を超える蘇生に挑んでいる。
しかし、京本は諦めていなかった。
(ここまで来た命だ。繋がない理由なんて、ない)
「エクモ増圧、流量5000mlに上げて!」
慎太郎が人工肺の流量をさらに上げる。
「アドレナリン3本目!」
樹が素早く投与する。
「人工心肺の補助で微弱な自発収縮出てきたぞ!」
北斗が叫ぶ。
「脳波、わずかに反応あり!」
京本の目が一瞬、大きく見開かれる。
光が──命の小さな光が、そこにまだ残っていた。
午前3時20分──
「ショック3回目!」
「放電!」
心臓が跳ねる。
そして──
ピッ……ピッ……ピッ……
規則的なQRS波がモニターに走り始めた。
「……心拍再開!」
スタッフの誰もが、一瞬呆然と立ち尽くした。
だが次の瞬間、全員が同時に動き出す。
「脳保護開始!」
「抗菌薬継続投与!」
「酸素化良好!循環維持!」
「透析継続!」
まるで総合オーケストラのように、全員が完璧に連携して命を繋いでいく。
午前3時30分──
一段落ついた現場で、静かに全員が息を吐いた。
「……助けたな」
北斗が低く呟く。
「本当に、助けたな……」
髙地の声も震えていた。
「お前ら…よく倒れないな」
樹が乾いた声で笑った。
ジェシーはゆっくり椅子に腰掛けながら言った。
「だって俺たち、救命チームだから」
慎太郎も、わずかに笑顔を浮かべた。
「まだ、あと数時間は立ってもらいますけどね!」
全員の顔に、僅かな笑みと涙が浮かんでいた。
午前4時──
外の空が、わずかに白み始めていた。
長かった長かった夜が、ようやく明けようとしていた。
しかし──彼らSixTONESの救命は、まだ終わらなかった。