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見るの遅すぎて泣く( ꒦ຶД꒦ຶ ) もっと早く見たかったのに…通知しっかりしろよ!! ていうか、今回の話はななはさんの素敵な言葉遣いが際立って私もその場にいるみたいな錯覚に陥るから新感覚すぎて好き
コツ、コツ、コツ。
屋上へと続く非常階段には、1人分の足音が響き渡っていた。吐き出した白い吐息は非常灯に照らされて、儚く消えてゆく。
1番上まで登ると、袖の中に引っ込めていた手を出して、鉄扉に手をかける。
ギィ、と長年放置された扉が悲鳴をあげ、冷たい風が吹き込んでくる。
死を前にして、気持ちはこの上なく穏やかなものだった。
先程から何度も点滅する小さな液晶画面に目を落とすと、学級担任からの大量のメッセージ。何かあったら心配だからと念を押されてアドレスを教えてしまったのだけれど、その心配が偽善だった事に気付いたのは最近のことで、私はその事を酷く後悔していた。
担任からの通知を非表示にすると、ロック画面にはひとつだけ残る通知。それはYouTubeからのものだ。
“平成フラミンゴ”
以前は気に入ってよく見ていたYouTuber。今は興味なんてない。いや、興味なんて持ったところで、もう意味はないのだった。
冷たい柵に手をかけて、重たい体を柵の向こう側に。体を方向転換する。落ちるなら、後ろからがいい。
目を閉じる直前。生きていればもしかしたら良いことがあったのかな、なんて無駄な思考が湧いてきたけど、“今が苦しい”という紛れもない事実が私を立て直した。
目を閉じて、少し顔を上に向けて、柵から手を離そうとした。
ちょうど、その時。
「なにしてんの、!?」
バレた。大人だ、女の人。まぁいいや、別に関係ない。目の前で自殺なんてされたら気分が悪いから止めてるだけなんだろう。そう思ってそのまま後ろに身を任せる。
そのままふわっと宙に舞う。
はずだった。
向かうはずだった方向とは逆に体が引っ張られて、体に冷たいコンクリートがぶつかる。
「いった、、、、」
「ねぇ、だいじょうぶ!?」
あぁ、面倒臭いことになった。とても。
どうやって逃げようか、今警察に連絡でもされれば親にも学校にもバレてしまうし、親は特に口を出してこないだろうけど、いろんな大人に叱られることは目に見えている。そんな理不尽から逃げるためにここまで来たというのに。
よし、決めた。
顔を上げず、はっきりとした声で女性に向かって言葉を放つ。
「ごめんなさい。ちょっと気が動転してこんなことしちゃったんですけど、もう冷静になれました。ありがとうございます、止めてくれて。」
その場しのぎは大得意。なんにも考えていなくたって、強い意志を持っているフリをして、反省したフリをする。大人はみんなこれで、すぐに許してくれるんだから。
「ご迷惑おかけしました、それじゃあ、、」
「だめ」
「、、?」
予想外の反応に硬直する。咄嗟の言葉を出せずに作り笑顔を浮かべていると、突然女性の左手が伸びてきて、頬を掴まれて目が合う。
「あんた、うそついてるでしょ、」
「……は、?」
「このまま帰らせたら絶対、また同じことするでしょ」
だったらなんだっていうんだ。どうせ偽善者のくせに。私が死のうが生きようが、ちゃんと明日も、代わり映えしない1日を過ごせるというのに。
「とりあえず、うちきなよ、学校にも親にも、連絡しないからさ、」
ね?と、安心させるように柔らかく笑うその顔に、どこか見覚えがあって、思わず凝視してしまっていた。
「あー、私のこと、知ってる?高校生ぐらいだよね?」
「はい、高校2年生です、」
「高校生は知ってくれてる子多いもんねぇ、平成フラミンゴってYouTuberの、にこです」
思考の点と点が上手く結びつく。それと同時に頭の中のクエスチョンマークが大きくなる。毎日楽しくて充実した人生を歩んでいるだろうに、そんな、みんなが会いたがるような雲の上の存在が、どうして私なんかのことを、家に連れて帰ろうとなんてしているのか。
「ほら、行こう、立てる?おんぶしてあげよっか?」
「……大丈夫です、歩けます、」
「そ?体力には自信あるけど?」
白い歯を見せてニカっと笑う。
私とは、真逆の人間だ。嫌われるでも好かれるでもない私とは違って、いつも気が回って、みんなの中心で、輪に入れない子にもさりげなく声をかけてあげられるような、そんな人。
ぷらぷらと歩く彼女の横顔をみながらそんなことを考えていると、不意に彼女は立ち止まって私と向き合った。
「ごはんたべた?」
「たべて、ないです」
「だよね、あんた死のうとしてたんだもんね、残念なことに私に見つかっちゃったわけだし、命つないどこ、家帰って、ご飯食べよ」
軽く。本当に軽い口調で、彼女はそう言った。まるで私が自殺しようとしていた事実より、もっと大切な事実を抱えているようにもみえた。なんとなくだけど、思った。この人は、私の嫌いな“おとな”じゃない。
「私さあ、偶然って必然だと思うんだよね」
「ひつぜん…?」
「うん、そう。さっきコンビニ行ってゼリー買ったんだよ。一人暮らしだから一つしか要らないんだど…」
そこで言葉を区切ると、ビニールの中から取り出したのは、二つのゼリー。
「今日は選べなかったんだあ、どっちにするか、。一緒に食べよ、てか、一緒に食べろってことでしょ!」
やっぱり、おとなじゃない。
必然、、、。信じてみたい、そんな綺麗な言葉。
でもだめ、信じちゃ。
〜〜〜
誰が正しいかなんてわからないから自分の信じたいものを信じるしかないんだけど、どれを信じて良いのか、まだ未熟なこの子には分からないんだって😶🌫️
これからにこちゃんが教えてくれるのかなあ、