〜お知らせ〜
にこちゃん×やまとくん
のお話を近々削除させていただきます。理由は動画見てる方ならわかると思うんですが、知りたい方がいたらコメントではなくインスタのDMまでお願いします。
削除前の画面録画など各保存は自由ですが、本人の目に届くのを防ぐため転載は控えてください。
⚠️登場人物がパニックに陥る描写が含まれます⚠️
「狭くてごめんね、」
「いや、全然大丈夫です」
そんな言葉がほんとうな訳もなく、体は疲れているはずなのに気持ちの収集は一向につかない。
初めて会った人とベッドで背中合わせで寝るとかこんな状況、頭が追いつくわけもなかった。
『にこちゃんって、普通に呼んでいいよ』『落ち着くまでいていいよ、学校もここから通いな?』
差を、感じていた。
玄関に入ってすぐにした芳香剤のいい香りも、清潔感のある部屋も、その広さにも、彼女の友達と電話をする声にさえ。
私が持っていないものを、欲しくてたまらないものを、目の前で見せつけられているみたいで。
たまたま見つけた高校生を家にあげて、その上、『いつまででもいていいしできる限りサポートするよ』だなんてお人好しも良いところだ。だけど、いつも人するように注意深く観察しても、その言葉の裏が見えなかった。それが本当に裏を持っていないからなのか、上手く隠せているだけなのかは分からないけど。
ずっと、人の考えていることが理解できなかった。例えば何をしたら人が嫌がるだとか、そういうことはわかったし、むしろそこに関して言えば人より思いやりのある方だと思う。ただ、どうして人が当たり前に明日を望んでいるのかとか、どうして他人を信じられるんだろうとか。
ましてや、どうして人が人を、愛せるのかなんて。
いくら考えても分からないし、そもそもそんなことに、普通は答えを求めずとも自然に受け入れられることに、答えを求めてしまう時点で、社会に適応できない人間なのだと卑下することさえあった。
考えても解決しないのに、暗闇を見つめて考え続けた。頭の中でぐるぐると渦巻いて、この先どうすればいいか分からない不安が、今までの後悔が、耐えきれず涙になって押し出される。
そうしてしばらく息を殺して涙を流したあと、 また、 はじまってしまった。 嫌な事を考えすぎるといつもこうなってしまう。 落ち着かなきゃと言い聞かせてもぐちゃぐちゃになった思考回路はまとまってくれず、うまく息が吸えない。 誰かの怒鳴り声と、いろんな映像が頭の中を駆け巡って、吸えなくなった息のせいで頭の中が白く曇っていく。肩の下まで伸ばした髪が 汗で首にまとわりついたのが、首を絞められているように脳が錯覚して苦しい。
20分ぐらい経ったと思う。 体感ではもっと長いように感じたけど。 突然隣から肩を触られて、「落ち着いた?」と声をかけられたところでようやく人の家で寝ている事を思い出し た。
「起こしちゃいましたよね、 ごめんなさい、、」
「ううん、私もどうしたらいいかわかんなくてさ、変に話しかけても怖がるかと思って落ち着くまで待ってたんだけど、、」
「ごめんなさい、 」
「ううん、 全然。」
ここまできて説明しないわけにもいかず、 仕方なく口を開く。
「パニック障害じゃないかって、 保健の先生に言われたことがあって、 病院も紹介されたんですけど、 行ってないのでわからないんです」
「そうなんだ、行かなくていいの?」
「、、、怖くて、 自分の不安とか恐怖が、 病気のせいですって言われたら、きっと立ち直れない」
「そう、、、」
この恐怖とどう戦うか、ずっと考えてきた。 恐怖から逃れるために、 明日を生きる不安をなくすために、信じたくないことも信じてやってきた。 なのにあっけなく、 病気と一括りにされてしまえば何かを失いそうで怖かった。
「行かなくていいと思う。」
暗闇に目が慣れて浮かび上がった横顔が、急に一点を見つめてそう言った。 発言の意図がわからず困惑していると、 暖かい何かを感じて、手を握られていると気づくまでに数秒かかっ た。
「余裕がない人はさ、白黒つけたくなっちゃうんだよ、 大人は特にそうだよね。 視野が狭いから。それが、その人のためになると勘違いして干渉して、 白黒はっきりさせようとする、」
まだ、 何を伝えたいのかわからなくて、でも真剣な横顔を見て続きを待とうと口を結んだ。
「いいと思うな、白黒はっきりさせなくてもさ、もっと似合う色があなたにきっとあるよ。」
力強い目線の先に何が写っているのか、知りたくなった。