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凛道桜嵐 新
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がくじゅつてき・あかげ
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わーい
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祟ってる奴、つまみも鍋も蕎麦もうまかったらしくて、けっこう日本酒を飲んで撃沈してしまった。こたつ座椅子でぐーぐー寝ている。こいつ、酔うといびきかくんだな。
こたつで寝ると風邪ひくぞ、と思ったけど、祟ってる奴は本気寝してる。うーん、いつも寝る時間になったら、こたつから引きずり出して、布団に放り込めばいいか。
鍋と取り皿を片付けて、こたつに入って、タブレットでゆっくり『てんころ』の新刊を読む。主人公が、暗殺相手を好きだとやっと認めたので、ヒャッホーとなってたら除夜の鐘が鳴った。ふーん、この近く、寺もあるのか。
そうだ、祟ってる奴をそろそろ布団に入れよう。ワシは祟ってる奴のところに行ってゆり起こした。
『おい、そろそろ布団で寝ろ、風邪ひくぞ』
「ふえ? あ、ごめんもう年明けた……?」
寝ぼけてるな、まだ顔赤いし、酔いも抜けてないなこいつ。
『まだ明けてない、布団で寝ろ』
「うん……うん……」
祟ってる奴は、睡魔に負けてまた寝そうになった。しょうがないので、こたつから引っ張り出して布団に放り込んだ。
『ほれ、布団で寝ろ』
祟ってる奴は、半分寝ながらむにゃむにゃ言った。
「うん……ごめん……来年もよろしくね」
『うん』
「来年も一緒にいてね……」
『うん』
「ずっと一緒にいてね……」
『うんうん、寝ろ』
祟ってる奴はすやすや寝入った。まだ酔ってるこいつの体が割と温かかったから、眠たくはなかったけど、ワシは下半身を祟ってる奴の布団に入れて、しっぽを祟ってる奴に巻きつけた。体を伸ばしてタブレットを取り、てんころの続きを読む。
てんころを読み終わって、またファンレター出そう! と思って、時間を確認したらもう少しで年明けだった。
タブレットでYouTubeを見たら、除夜の鐘年越しライブがあった。年越し気分を味わおうかな、とそのライブを眺めた。
「おめでとうございます! 2024年です!」
おー、明けた。令和6年か、今年はどんな年になるかな?
そう言えば、また初詣行くんだった。今年のお願い決めておこう。
うーん、祟ってる奴がいなくならないように、って言うのはすごくあるんだけど、こいつ今の時点で割と幸せみたいだから、自分からいなくなったりはしないよな。
こいつが幸せなのは、ワシが毎日かまったり飯食わせたりしてるから、みたいだ。だから、来年もそういうのがうまくいきますようにって願っとけば大丈夫かな?
あ、でも、ワシちゃんと大人にならないといけないし、こいつにくっつきたいのもそのうち卒業できるようにならなきゃいけないんだ。
じゃあ、それがそのうちうまくいきますように、と、あと、何より、こいつが結婚して子孫つなぎますように、だな。それくらいでいいか。
祟ってる奴が「んー」と言って寝返りを打った。布団が肩から外れたからかけ直してやって、それから、なんとなく話しかけた。
『……今年もうまいもの作ってやるから、元気でいろよ』
コメント
1件
「祟ってる奴」の寝ぼけながらの「ずっと一緒にいてね」に、全部「うん」って返してるワシさんにぐっときました。しっぽを巻きつけて読書しながらのんびり年越し、なんてあったかい光景……。願い事に「くっつくの卒業」と「子孫つなぎますように」を真面目に並べるところも愛おしい。最後の「元気でいろよ」にじんわりきました。