「もちさーん、ご飯行きましょー。」
不破くんが言った。
このホスト二日酔いのはずなのに
元気過ぎる。
まぁ、それでいいけど。
「で、どこ行くんですか?」
「社長に奢ってもらいます!」
話が噛み合わない。
やっぱり、ダメか。
見慣れた街を歩いている。
「あそこの店、担々麺が
美味しんですよ。」
「ほぇ~〜。」
あの後、社長と甲斐田くんと
話し合って近くのマックに
行くことになった。
本当は奢りだから寿司とか行きたい。
もうそろそろで着くかな。
「何食べますか?。」
甲斐田くんが聞いてきた。
「えぇ~。」
「新作のパイがあるみたいだよ。」
新作の桜マシュマロパイ絶対
美味しいから。
「じゃ、それ食べますわ。」
「ご飯食べに行くんですよ。」
皆、笑っている
そんなときに何気無い日常が
幸せだと感じる。
安寧とした時間はすぐに終わった。
きゃぁぁぁぁぁあ
悲鳴が聞こえた。
次々と恐怖が広がってくる。
「なにっ…?」
分からないのが一番怖い。
社長だって甲斐田くんだって
不破くんだってそうだろう。
何があったかすぐに分かった。
通り魔がいることだ。
右手には血が滴った刃があった。
誰か刺されたの…?
ろふまおの皆は無事?
死ぬの…?
「もちさん!!」
「剣持さん!!」
「もちさん!!」
自分を呼ぶ声がした。
ボーっとしてた。
ただ、その呼びかけは既に
遅かったことをすぐに知った。
身体から真っ赤なものが流れていた。
皆が駆け寄ってきた。
景色が霞んでいる。
「剣持さん…。
甲斐田さん救急車呼んでください。」
緊迫したした状況でも冷静な社長。
やっぱり社長だな…。
「呼んでるんですけとも、
あと十分はかかるらしいです。」
甲斐田くんやっぱり
やるときはやる男だね…。
「もちさん。死なないで。お願い…。」
不破くん。悲しい顔をしないで…。
綺麗な顔が台無しになっちゃうよ。
身体が痺れてくる。
…走馬灯が見えてきた。
…ホントに見れるんだ。
生まれて初めて世界をみたとき
生まれて初めて人と話した日
生まれて初めて喧嘩した日
…ああ、そんな事もあったな。
にじさんじを知った日
オーディションに応募した日
受かった日
にじさんじのライバーとして活動した日
自分に仲間や後輩ができた日
一つ一つが懐かしくて新しくも感じる。
「あぁ、死ぬんだ…。」
最期に言い残す言葉はなんだろう…。
おつあご?
いい夜を?
…違うな。
悲しさとかを堪えて息を吸う。
「またあとで!」
剣持刀也が死んだ。
その後、通り魔は逮捕された。
剣持さんが刺されるより前に
刺された人がいた。
無事だったらしい。
生活に支障はないくらいの
傷だったそうだ。
にじさんじのライバー達も
スタッフさんも
剣持さんのリスナー達も
悲しみに暮れていた。
世界中が泣いていたようなものだった。
ただ、私達からは涙すら
流れてこなかった。
「あぁー、もちさんホントに
死んだんかなー。」
確かに死んだという実感が湧かなかった。
「剣持さんは、一生16歳
繰り返してましたからね。」
「そっかー。そういうことなんか〜。」
悲しいという気持ちはある。
実感が湧かないだけ。
ガチャッッ
「あ、甲斐田さんおはようございます。」
「甲斐田〜おはよー。」
「おはようございます…。」
一週間ぶりにろふまおが揃った。
不破さんは、時より悲しそうな顔を
するが、いつもどおりだった。
甲斐田さんは、少し暗くなった。
「これからろふまお
どうするん?」
「「あっ」」
確かにそうだ。
一人欠けた姿を見せるのも
解散するのも辛い。
そんな中、おかしな提案をする人がいた。
「じゃあ、もちさん生き返らすか。」
「「は?」」
そりゃそうだろう。
誰だってそんな提案されたら
理由が分からなくなるだろう。
甲斐田さんは、
何言ってやがる天然ホスト
とも言いたげに不破さんをみていた。
「な、何言ってるんですかアニキ…。」
「ついに壊れたんですか?」
「違う。タイムマシーン造って
過去に戻ってもちさん
助けようっていう話。」
「「は?」」
もっと、理由がわからなくなった。
「アニキ…気持ちは分かるけど
タイムマシーンなんて無理ですよ。」
「あっ!」
打開策が思いついた。
「ほらっ、社長は分かったで。」
不破さんは嬉しげに言った。
一分程経ったとき
甲斐田さんが口を開いた
「ああぁぁぁあ」
「やっと分かったんか。」
はぁ
ため息も漏れてしまう程
不破さんらしいなと思った。
「バーチャルでしか出来ひんねん。
こんなチート技。」
「でも、過去をかえたら
駄目じゃないですか?」
「もちさんは、
絶対にいないと
あかんねん。」
不破さんはいつもより真剣だった。
ぱんっ
不破さんが手を叩いた。
「バーチャルタイムマシン造るぞ〜。」
「「「お~~」」」
タイムマシンなんて
絶対無理だと思ってた。
ただ、目の前がにあるものが
本物ならこれは事実らしい。
約二ヶ月ライバー活動と並行して
造り上げたものだ。
「完成!!ろふまお号!!」
これで剣持さんは生き返るのか。
何故か頬が熱かった。
涙が流れている。
不破さんも甲斐田さんもだ。
悲しいっていう感情じゃない。
何だかよく分からない。
でもいいや。
あの人に会えるのなら。
あの人がいつものように
笑ってくれるのなら。
「じゃあ乗るでー」
「あっ!待ちなさい。私が先です!!」
「社長っ、ズルぅ。僕が先だ!!」
遅かった。不破さんがもう
タイムマシンに乗っていた。
あぁ。こんなことでも笑いにかわる。
それが幸せか。
「「「ろふまお号出発〜!!」」」
おぇえぇえええ
「時空の歪みキッツぃ」
おえぇぇえぇえええ
三人盛大に吐いた。
「もちさーん、ご飯行きましょー。」
「はい。行きましょうか。」
不破くんは先に部屋を出た。
たたたたっ
「え…」
そこには、
ホコリまみれの不破くんがいた。
「もちさん、やっぱり未来行きましょ。」
???????????????????
「どういうこと?」
「嘘。マック買ってきたから
みんなで食べ。」
「あ!」
これだけは言っとこう
「またあとで!」
不破くんは、部屋を出ていった。
その後戻ってきた不破くんは
ボコボコにされていた。
「なんか、社長にボコされました。」
「えぇ?」
社長はそこにいる
「甲斐田もいて『日頃の恨みだ』
とか言ってボコしてきた。」
「ええぇ?」
甲斐田くんもそこにいる。
頭の中には『?』しか無い。
まぁいいか。
「マックですよ。
食べよー。」
「え!もちさんご飯買ってたん?」
「ええぇ〜、不破くんが
買ってきたんですよ。」
「「え」」
「二日酔いで何も覚えて無いんですよ。」
社長が言った。
確かにそうだな。
「あぁ、そういうことか!」
「ちょっと〜、アニキ
しっかりしてくださいよ。」
甲斐田くんが煽ってる。
「おいハル。お前日頃の恨みとか
言ってたなぁ。」
「えっ、言ってないですよ。」
「嘘つくなぁァァァァァァ」
甲斐田くんは可哀想に
ボコボコにされていた。
ご飯食べよう。
ガサッ
あっ!
桜マシュマロパイだ。
…あの不破くんは何だったんだろう。
考えても無駄かな。
「いただきます。」
「任務完了ですね。」
「そやな〜」
「でも、未来が変わってなかったら
どうしよう…」
沈黙の時間が続いた。
「その時は何回も繰り返すねん。」
「そうですね。」
「着陸しまーす」
ズドーン
あの笑い声は聞こえるかな
いつものような屁理屈王でいるかな
僕たちの隣にいるかな
ただそれだけを願って道を進む。
ガチャ
「ん?皆さんどうしたんですか。」
三人は僕に駆け寄ってきて、
抱きしめてきた。
「どうしたの?本当にどうしたの?」
みんな泣き始めた。
「いつものもちさんだ。もちさんだよ。」
「もう絶対にいなく
ならないでください。
お願いします!!」
「またあとで なんて
言わないでください」
僕まで涙が溢れてきた。
「分かった。分かったから泣かないで。」
一週間前、近くで通り魔に刺された人がいたらしい。
その時、私たちはここにいた。
危険だからと言うことで、一週間は家で待機していたらしい。
やっと、ろふまおが揃った。
これからもいつも通り、
にじさんじのライバーとして
ろふまおのメンバーとして生きていく。
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