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その日の夜。ムツキの部屋。ムツキのほかに、コイハとメイリが彼の部屋にいる。助けてもらったお礼にモフモフさせるという約束を守りに来ていたのだ。
メイリは昼間の半袖半ズボンのボーイッシュスタイルから、ナジュミネから服を借りてドルフィンパンツとタンクトップという破壊力抜群の出で立ちでやって来た。彼女のナジュミネ以上の大きな胸が強調されていて、今にも零れ落ちそうなくらいである。
「いい……とても……いい……おおっ……コイハ、いいぞ」
しかし、ムツキが最初に飛びかかったのはコイハの大きな狐の尻尾だった。ふさふさで艶々の毛並みに顔を埋めたかと思うと、それからしばらく何度も深呼吸をし、迷走もとい瞑想まで始めたのだ。
その後、満たされた顔の彼は、身体を彼女の身体にすり寄せて抱き枕のようにしながら、彼女の尻尾から全身へと手を這わせて様々なところをまさぐるように触っている。
「っ……ひあっ……んっ…………んんっ……そこは……ちょ……恥ず……」
コイハはくすぐったいやら恥ずかしいやら何やらで艶のある妖しげな声を出している。メイリは珍しい様子の彼女をしげしげと見ていた。
「これ……すごい……なにこれ……いい……モフモフの天国はここにもある……」
ムツキはご満悦である。ただ、女の子と一緒にいるというよりは大型動物と一緒にいるといったような感じだ。
「ダーリンって、本当にモフモフが好きなんだね」
メイリは少しばかりウズウズしながらも2人の様子が面白いのか、ニコニコと見つめている。
「あんっ……勝手に天国扱いしないでくれ」
「ふーん。コイハ、まんざらでもないよね。声も甘いし」
メイリはニコニコからニヤニヤへと表情を変えて、コイハだけを見る。
「うっ……ひゃっ……そりゃ、好きな人に喜ばれたら嬉しいだろうが……んぐっ……」
「好きな人ってはっきり言った! コイハが珍しいね! あ、しま、いひゃい(いたい)、いひゃい(いたい)……」
メイリは近付きすぎたのが災いして、コイハに思い切り頬を引っ張られてしまう。メイリの悪戯が発覚したときに、コイハがよく行っているやり取りだった。
「メイリ? んひゃ……あんまり茶化すと怒るぞ? あんっ……ちょ……っとぉ……」
「おー(もう)、おこっふぇふよえ(おこってるよね)?」
メイリが少し涙目になりながらもコイハに減らず口を叩く。
「くふぅ……これ以上って……あっく……ことだぞ?」
「わふぁっふぁ(わかった)、わふぁっふぁふぁは(わかったから)」
「よし」
メイリがそう言うと、コイハは彼女の頬から手を離す。メイリはヒリヒリする頬をさすって、見るだけもつまらなくなってきたのか、くねくねと身体を揺らしながら、ムツキの方に近付きながら小さな声で囁く。
「ねぇ、ダーリン、僕も一緒にいるのに、コイハばっかりモフモフしてるの寂しいなあ?」
「たしかに! メイリのモフモフもだー!」
「いや、ハビーのキャラ変わり過ぎだろ……」
ムツキはコイハから離れて、メイリの方へと襲い掛かる。
「やーん♪ ダーリンがケダモノー♪ ……手?」
メイリが嬉しそうに身をよじらせるが、ムツキの手は彼女の身体ではなく、彼女の手先の肉球を触り始める。
「コイハもそうだが、この大きめの肉球がいい。最高だ」
「急に真面目な顔と口調で変なこと言い始めたぞ」
ムツキが評論家のように至って真面目な顔で解説を始めた。モフモフ評論家がここに登場した。彼は肉球を丁寧に指でなぞりながら、弾力を確かめる。
「ちっとも変じゃないさ。この感触……モフモフの感触に勝るとも劣らないな!」
「ちょっと、ちょっと、僕のことを触っているのに、コイハとばかり話しをするなんて浮気ものー。こういう時くらい僕のことだけ見てよね!」
メイリはムツキとイチャイチャしたかったのか、コイハとばかり話す彼に対して、少し頬を膨らませる。すると、ムツキが次にメイリの耳を優しく触り始める。
「んっ、ダーリン、モフモフもいいけど……ね? やっぱ、女の子と一緒だから、さ?」
メイリが自慢の武器を見せつけると、ムツキもやはり男である。視線がそちらに向かう。
「ま、まあ、たしかに。メイリもコイハも素敵な女の子だからな。って、よく考えたら、コイハって、もしかして、いつも全裸なのか?」
ムツキがコイハに向かってそのように言うとコイハがわなわなと震える。
「全裸って言うな! 人族の定義で言えば、服を着てないからそうかもしれないが、この毛並みならきちんと隠れているだろうが! ぶっ飛ばすぞ!」
「すまん、そんな怒らないでくれ……」
ムツキが申し訳なさそうに一瞬でしゅんとしてしまったので、コイハはバツが悪くなってしまって視線の行き先を探す。
「あ、いや、えーっと、まあ、そういうことだから、全裸とか言わないでくれたらいい」
「はい、はーい。ちなみに、半獣人は人や部位によるけど体毛が人族並に薄いからね。服を着なきゃダメというか恥ずかしいかなー♪」
「だから、メイリは服を着ているんだな」
メイリが肯き、ムツキはいつの間にかメイリの尻尾を優しく撫で始めていた。
「そうそう。ちなみに、この僕のコレならいろんなことできると思うけどなー」
ムツキの視線は再びメイリの胸へと向かう。
「間違いないな」
「力強く言うなよ……」
コイハは呆れ顔で2人を見つめる。
「モフモフも堪能しながらとか最高だ」
「偏屈魔王というか変態魔王だな」
「言ってくれるじゃないか。その変態魔王の毒牙に掛かるといい」
「きゃー♪ 今度こそー♪」
その後、なんだかんだで3人で楽しんでいた。