二○○X年 四月四日 午後二十三時四十分。
長い廊下を走っていると、八岐大蛇にやられてしまった御子柴家の陰陽師の無惨な死体が転がっていた。
使用人達とは違って、心臓を突き抜かれ眼球を抉られている。
素手で貫かれたような痕…、それも一撃で仕留められているような…。
「お嬢、大丈夫ですか?ご気分でも優れないのでは…」
あたしが考え込んでいると、シロが心配そうな顔をして見てきた。
「大丈夫だよ、シロ。少し、考え事をしていただけだから」
そう言って、視線を前に戻し八岐大蛇の奇声を聞き流す。
八岐大蛇は、本当にやばい。
これだけの人数を数分で殺し、妖気を増幅させて行っている気がするのは気の所為か?
いや、八岐大蛇の力が大きくなっているのは間違いない。
本当に八岐大蛇は、恐ろしい大妖怪なんだ。
「はぁぁぁぁ!!!」
庭からお婆様の声が聞こえ、あたしと蓮はお互いの顔を見合わす。
「行こう、蓮。お婆様の声が聞こえた」
「分かりました、お嬢」
あたし達は急いで廊下を抜け庭に出て見ると、そこにh想像していたよりも悲惨な光景が広がっていた。
白い石に囲まれた庭地が血と人間の血肉と飛び出した臓器汚れており、屋敷の中よりも酷い匂いだ。
横に転がっている死体の数を数えた。
一、二、三…、ザッと数えて二十人以上の御子柴家の陰陽師が八岐大蛇に殺されている。
「これだけの陰陽師が居ても、止められなかったって事?」
あたしが唖然としていると、何年かぶりにお父さんと目が合った。
「聖!!!」
札を持った右腕を失ったお父さんが、あたし達の方に向かって来る。
「お、お父さん。み、右腕がっ…」
切断された部分の傷口から骨が剥き出しになっていて、出血の量が多い事は見て分かる。
お父さんが居たであろう場所に、血で作った血溜まりが出来ていたからだ。
「俺の腕の事は気にしなくて良い、死んでいないだけマシだ…、と言いたい所だが…。状況は、かなり悪い」
「お父さんでも、駄目な相手なんだね…」
「良く来てくれた。状況は…、見ての通りだ。陽毬様でも、叶うかどうか分からない所なんだよ…」
お父さんは壱級の陰陽師で、御子柴家の中でも優秀な陰陽師の一人なのだが…。
庭に転がっている陰陽師達は皆、壱級の陰陽師達、八岐大蛇に束になっても勝てていないのが今の状況だ。
お父さんの言う通り、お婆様でも勝てるか…、どうか分からなくなって来た。
「陽毬様に結界師を張り、俺達は援護をする。蓮は、聖の事を死んででも守れ。良いな、一絶対に聖だけは死なせてはならない」
「御意」
蓮がお父さんに頭を下げた後、すぐに刀を構え直し八岐大蛇を視界に入れる。
今までとは違う、緊迫した空気に押し潰されそうだ。
この重圧な空気を吸うだけで、息が詰まりそう。
目の前にいる八岐大蛇を見るだけで、冷や汗が額から流れ落ちるのが分かる。
心臓の鼓動が早まり、体から死への恐怖を感じ取り膠着して行く。
今までに体験した事がない、、死に近付いている恐怖を感じていた。
ドゴォォォーンッ!!
お婆様の周りには沢山の式神が居て、八岐大蛇の周りに札を配置させて攻撃をしていた。
「急急如律令!!!」
お婆様は札を八岐大蛇の周りに飛ばし、配置した札から光の玉を放った。
パァァァァン!!
ドドドドドドドドッ!!!
無数の光の玉が八岐大蛇の元に放たれた瞬間、八岐大蛇は大きな笑い声を上げる。
「あははは!!!老ぼれの攻撃が、我に通用すると思ったか!!!」
そう言って、光の玉を八頭の口が開き光の玉を飲み込んだ。
「何だと!!!?浄化の玉を飲み込んだだと!?」
お婆様の慌てている様子を見た八岐大蛇は、余裕そうな表情を浮かべ、大きな上げた八頭の口から紫のオーラを放った。
ピアカァアァァァア!!
あの光を浴びたら、やばい!!!
危険な攻撃だと咄嗟に判断し、お婆様の前まで急いで走った。
タタタタタタタッ!!
「お嬢!?」
あたしの後を追うように蓮と、お父さんの二人も走り出している。
「なっ!!?聖!?何をする気だ!!?」
驚いているお婆様の前に立ち、攻撃を防ぐ為の術を掛けれるよう準備をする。
「聖!?」
あたしの姿を見たお婆様に声を掛けられたが、反応を見る暇はない。
運良く、攻撃を止められたら良いんだけど…、やってみないと分からないな。
「結界戦線!!」
そう言いながら空中を切るようなイメージで、人差し指と中指の二本を横に線を引くようにスライドさせる。
ビュンッ!!!
ドゴォォォーンッ!!!
お婆様の前に黄色のオーラが壁が出現し、飛ばされた紫色の光の玉の攻撃を弾いた。
結界戦線は陰陽師なら誰でも使える結果術だが、術師の能力や力によって結界の強度が変わって来る術。
今回は運良く、八岐大蛇の攻撃を防げたに違いない。
「聖!!!よく、陽毬様をお守りした!!!陽毬様、ご無事ですか」
「あ、あぁ、私は無事だが…。聖の力がここまでだとは…、思ってもみなかった…」
お父さんはお婆様の体を支えながら後ろに下がり、お婆様はあたしの背中を凝視していた。
「何だ?我の攻撃を防いだのか?」
ゴゴゴゴゴゴゴッ…。
八岐大蛇がゆっくりと振り向き、鋭く冷たい瞳が、あたしの姿を真っ直ぐ捉えた。
その瞬間、蓮の背中が視界に入った。
「お嬢、下がってください」
蓮はそう言って、あたしを後ろに下がらせ八岐大蛇を睨み付けながら刀を構える。
あたしの事を守ろうと、八岐大蛇の前に立ちはだかった。
「小僧に用は無いぞ、その小娘に用が…」
「式神破軍」
八岐大蛇の言葉を遮るように、蓮は式神を召喚させると大きな白い煙が上がった。
ボンッ!!
「妾の主人に文句か?蛇野郎」
白い大きな狐が八岐大蛇を威嚇し、グルルッと唸り声を上げている。
蓮の式神である白狐は、本城家から代々受け継がれている歴史のある式神で、誰にも懐かないで有名だった。
そんな式神を蓮は使いこなし尚且つ、式神は蓮に懐き忠誠を誓っているのがよく分かる。
「ハハハハッ!!!よく吠える狐だ。いや、 図体だけが大きい犬っころと言った所か」
「琥珀行くぞ」
蓮は刀を抜き、琥珀と共に八岐大蛇に向かって走って行った。
「聖!!大西!!蓮が八岐大蛇の気を引いている隙に、封印の準備をするのじゃ!!封印をするぞ!!」
「「分かりました!!!」」
あたしとお父さんは、お婆様の横に並び、封印の札を八岐大蛇の周りに配置させる。
ババババババババババッ!!!
「行くぞ!!」
お婆様の言葉に続き、素早く手を動かす事に集中力を注ぎ込む。
シュシュシュシュッ!!!
蓮が八岐大蛇を引き付けている間に早く!!
「烈火砲塔!!!」
蓮は琥珀の背中に乗り札から炎を出し、八岐大蛇の体を焼き尽くす。
ブォォォォォォォ!!!
真っ赤な大きな炎が八岐大蛇の大きな体を包み込み、蓮は休む暇なく攻撃を仕掛けて行く。
「はぁぁぁ!!」
琥珀の背中から飛び降りた蓮は、炎の中に飛び込み八岐大蛇の体を斬り付けた。
ブンッ!!!
ブシャアアアアアアア!!!
斬り付けられた八岐大蛇の体から、勢いよく紫色の血が噴き出し、大きな体がふらついた。
「グアアアアアアア!!!」
タンッ!!
タタタタタタタタタタッ!!!
空中にいた蓮は地面に着地し、そのまま勢いを付けて、刀を構え八岐大蛇に斬りかかった。
ブンッ!!!
ズシャッ!!!
「グアアアアアアア!!!お、のれ小僧!!!」
「主人の邪魔はさせぬ」
八岐大蛇が蓮に攻撃をしようと動き出した時、すぐさま琥珀が八岐大蛇に前に立ちはだかる。
タタタタタタタタタタッ!!!
誰よりも素早く動き、蓮が休む暇なく八岐大蛇の気を散らしている。
本城家の人間として蓮は言われた通りに、八岐大蛇をあたしに近付けさせないように動いていた。
ズシャッ、ズシャッ!!!
八岐大蛇と蓮n周りに紫色の血が飛び散る中、術の準備を完成させたあたし達は声を出した。
「「「急急如律令!!!」」」
お婆様とお父さん、あたしの声が重なり札から光の玉が現れ、八岐大蛇の体に浴びさせた。
シュシュシュシュッ!!!
ドゴドゴドゴーン!!!
光の玉達は八岐大蛇に降り注ぎ、大きな砂埃が周りに立ち込める。
「あはははは!面白い!!」
誰か、男の人が笑っている…?
ピチャッ。
頬に何かがねた感触がし、指で拭うと赤いドロッとした液体だった。
この赤い液体は何度も何度も、見て来た物だとすぐに分かった。
「お嬢!!!離れて!!」
タタタタタタタタタタッ!!!
蓮が慌てた様子で、あたしの所に向かって来る。
振り返ると紫色の長髪を後ろに立たせ、切れ長の赤い目に両腕に鬼の和彫りが入った男が立っていた。
よく見ると、額に鬼のような角が映えている。
この男は、鬼…?
「この男、お前の父ちゃん?」
そう言って、鬼は右手に持っていた男の頭持ち上げ、あたしに見せて来た。
驚いた表情のまま顔をしたお父さんの表情から、目が離せない。
パタンッ!!
ブシャアアアアアアア!!!
首元から勢いよく血が噴き出し、お父さんの体が地面に倒れ、千切れた所から血が流れ落ちる。
「お、お父さん…、う、嘘…」
「大西!?お、お前は…まさか!?」
お婆様は鬼の男を見て驚愕している中、あたしは思考を巡らせた。
何か考えないと、この空気に今にも飲み込まれそうになるから。
どうやって、この人はここに現れたんだ?
全く、妖気を感じなかった。
御子柴家の屋敷全体に結界が貼られていた筈、まさか結界の中をすり抜けて来た…?
いや、もはや結界は破壊されてるだろう。
術師を殺して、御子柴家の屋敷の中に入って来たんだ。
「お前は、酒呑童子か!?何故、貴様がここにいるのだ!?」
*酒呑童子とは、日本の伝説に登場する鬼の頭領。多くの手下を従える鬼の頭領として知られ、大江山《京都府》を根城に源頼光と、その配下の四天王によって退治されたとされている*
お婆様は冷や汗をかきながら、言葉を続ける。
「お前は、大阪に封じられて居ただろう!?どうやって封印を解き、ここに来たんだ!?」
お婆様が堰を切ったように尋ねると、酒呑童子は面倒くさそうに口を開く。
「あ?何だ、このうるせー婆さん。おい、だいじゃ!!!殺しても良いよなぁ?」
左手に持っていた徳利の酒を飲みながら、酒呑童子が八岐大蛇に尋ねていた。
「構わないが、あまり派手に殺すなよ」
八岐大蛇そう言うと、酒呑童子が不敵な笑みを浮かべながら、お婆様の方に視線を向ける。
「婆さん、陰陽師の中でも偉いんだろ?だったら、俺を楽しませれるよなぁ?退屈させるなよ?」
ゴキッっと右手を鳴らしながら、酒呑童子はお婆様の事を長髪するような言葉を吐く。
「聖、お前は八岐大蛇を相手しなさい。私は酒呑童子を片付けてから、加勢しに行く。良いな、聖」
「お婆様…、酒呑童子を倒せるのですか…?」
酒呑童子は八岐大蛇と同じくらい強い妖気を放っている。
あたし達は八岐大蛇の封印に失敗し、もはや打つては無い…んじゃないの??
この状況の中で、八岐大蛇と酒呑童子を倒す事が出来るのだろうか。
「何の為に、お前を育てて来たと思っている?この時の為であろう?八岐大蛇だけは、何としてでも封印しなければならないのだ。蓮!!!聖の援護をしろ、死んでも聖だけは生せ」
「陽お喋りは終わったか?婆さん」
ボンッ、ボンッ!!!
酒呑童子は自分の周りに金棒を持った小さな鬼を四体召喚させ、婆様の元に向かわせる。
「式神破軍」
ボンッ、ボンッ、ボンッ!!
お婆様は自分の式神の巨大な象と朱雀を召喚させ、四体の鬼に向かって行く。
「酒呑童子ー!!!」
キィィィンッ!!!
お婆様が酒呑童子に刀を振り下ろすが、酒呑童子は軽々と巨大な金棒を片手で持ち攻撃を防ぐ。
ブンッ!!!
キィィィンッ!!!
酒呑童子が金棒を振り回しながらも、的確にお婆様の体に当てに行っているのが分かる。
お婆様は何とか酒呑童子からの攻撃を防いでいるが、一撃一撃かなり重く、防ぐのに精一杯なのだろう。
「お嬢!!怪我は…?」
蓮があたしの体を優しく触れ、怪我をしている部分にハンカチを巻いてくれる。
あたしよりも蓮の方が沢山怪我してるのに、あたしの体の事を心配してくれている。
「あたしより、蓮の方が怪我してるじゃない…。蓮は大丈夫なの?」
「僕の怪我は大した事はありませんよ、安心して下さい」
嘘、本当はかなり辛い筈だ。
右側の脇腹部分からの出血が止まっていないし、立っているだけでも辛い筈なのに…。
乱暴に投げ捨てられたお父さんの頭を見つめ、声を上げる暇すら無くて、一瞬の出来事だった。
頭がグルグルと回る、正常な判断が出来ない。
どうやって、八岐大蛇達を止めれば良いの?
八岐大蛇を止める事が出来るの?
ポンッ。
蓮の優しい手が、あたしの頭の上に降りた。
「お嬢、僕が付いています」
「蓮…」
「カハッ!!」
お婆様の苦痛の声を聞いて、我に帰った。
「「!?」」
あたしと蓮は、その光景を疑った。
酒呑童子の右腕がお婆様の体を突き抜け、心臓を鷲掴みしていたからだ。
「ガハッ!!!」
「お婆様!!?」
「な…、んだ…、と…っ」
お婆様の口から血の塊が吐き出され、顔の色がどんどん青ざめて行く。
「御子柴家も大した事ねぇじゃん?ん?そのガキ…、もしかして?」
酒呑童子があたしを見つめ、驚いた顔をしている。
「へぇ、そう言う事か。お前が、あの女か」
お婆様の体から乱暴に腕を抜き、あたし達がいる方向に体を向けた。
「「ガルルルルルルッ!!!!」」
シロとクロが近付いて来る酒呑童子を威嚇しながら、あたしと蓮の前に立つ。
「蓮っ!?」
蓮が酒呑童子に斬り掛かるが、酒呑童子は片手で刀を掴んで止めた。
「お嬢に近寄るな、妖怪」
「お前…、案外やるんじゃねぇの?」
蓮は札を酒呑童子の周りにばら撒き、素早く手を動かした。
シュシュシュシュッ!!!
「音爆螺旋」
ジャキジャキジャキッ!!!
札から光の鎖が現れ、酒呑童子の体を拘束した。
キィィィン!!!
「ッ!?耳が痛てぇ…」
音波先螺旋とは、妖怪の動きを拘束し妖怪の聴覚を刺激する技。
その音は、妖怪にしか効かないし聞こえない。
「お前を封じ込める」
蓮が素早く封印の札を出そうとした時、酒呑童子の後ろから八岐大蛇が蓮に向かって、巨大な尻尾を振り下ろして来た
ビュンビュンッ!!!
「蓮!!」
あたしは蓮を突き飛ばし、庇うように両手を広げて前に立つ。
八岐大蛇の長い尻尾の間から、一頭の巨大な蛇の顔が目の前に現れた瞬間だった。
ガブッと、噛まれた感覚がした時には遅かった。
ドサッ!!!
あたしの視界がグラッと揺れ、体に力が入らないまま力無く地面に倒れ込む。
な、何が起きたの…。
意識が朦朧とする。
全身の血が流れ出て行く感覚がし、寒いのか熱いのか分からない。
体ガタガタと震えと冷や汗が噴き出す。
「嘘…だ、嘘だ!!!お嬢!!!しっかりしてくれ!!!!」
駆け寄ってきた蓮は、泣きながらあたしの体を抱き起こす。
蓮の瞳から流れ落ちた涙が溢れ落ち、頬を伝って蓮の感情が流れ込んで来る。
泣かないで…、そう言いたいのに口を開けられない。
「よっと」
バキバキバキッ!!!
ガシッ。
酒呑童子が鎖を引きちぎり、蓮を肩を強く掴みながら口を開く。
「おいおい、泣けるねぇ。何?その子、お前の好きな子か?だったら、ちゃんと守らねーとな?」
「お嬢に何してくれてんだ…、腐れ外道が」
「あ?俺は何もしてねーだろ。何かしたのは大蛇の方だろ」
「殺す」
蓮が優しくあたしを地面に置いた後、怒りに身を任せた蓮は刀を持って、酒呑童子に向かって走り出す。
キィィィンッ!!!
「なっ!?」
「ははは!!!お前じゃ、俺には勝てねーわ」
バキバキバキッ!!!
酒呑童子は涼しい顔をして蓮の攻撃を防ぎ、刀を握り潰す。
ガシッ!!!
「ガハッ!?」
ビュンッ!!!
蓮の首元を掴んだ酒呑童子は、近くにあった大きな岩に蓮を投げ付けた。
ドゴォォォーンッ!!!
バキッ!!
「ガハッ!!」
岩に叩き付けられた蓮は口から血を吐き、骨が折れる音を鳴らす。
体が熱くて、ドクドクと脈を打つ。
酒呑童子が、蓮に近寄ろうと歩き出しているのに体が動かない。
嫌だ、嫌だ。
やめて、やめて、やめて、やめて。
「蓮を、蓮を殺さないで!!!」
あたしは力を絞って声を上げた瞬間、「目的は済んだ」と八岐大蛇の声が耳に響いた。
誰かが、あたしの前に膝を付いた。
だ、誰…?
男の人の手が伸びて来て、長細い指で顎を持ち上げられる。
「ようやく、見つけた」
血に染まった手で、あたしの頬に触れながら惚けているような言葉を吐く。
ネチャッとした感触が、気持ち悪くて仕方がない。
誰…?
「100越しの月下美人の器を」
真っ赤に染まった満月が、ボヤけた視線に焼き付く。
男があたしの口の中に無理矢理、何か丸い物を入れた。
ゴクンッ。
抵抗しようにも、体に力が入らなかった。
何か…、飲まされた…?
「行くぞ、酒呑童子」
「はいよー」
ドゴォオオオン!!!
空から飛乗物が現れ、八岐大蛇達は飛乗物に乗り空に消えて行った。
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