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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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17

 

 前半も、半分近くを消化した。スコアは依然、〇対〇だが、ホワイトフォードは攻められ続けていた。

 右サイドで、ウェブスターがスロー・インを得た。ボールを手に持った4番が、大きく助走を取る。

 4番は上手投げで、ライナー性のスローをした。ヴィクターは突如、後ろにダッシュ。マークを振り切り、胸で近くの3番に落とす。

 3番と平行の位置へとヴィクターは移った。3番はダイレクトで転がす。

 ヴィクターにボールが収まった。するとウェブスターの選手たちが、連動して動き始めた。ホワイトフォードの注意が、走り込む選手にも向かう。

 流麗なフォームで、ヴィクターがドリブルを始めた。ホワイトフォードの17番が、慌てて寄せていく。

 ヴィクターは、とんっと右にステップを踏んだ。17番の身体が軽く左に傾く。

 見届けたヴィクターは、真左に小さく出した。17番が足を伸ばすが、ヴィクターは早いツー・タッチ目で外を突破した。無駄を削ぎ落とした洗練されたドリブル・テクニックだった。

 続いて立ちはだかった2番をヴィクターは右、左のダブル・タッチで抜き去り、左足を振り抜いた。

 警戒して引いていた桐畑が、必死のスライディングを掛けた。桐畑の足に当たったシュートは軌道が変わり、ゴールの右を通過する。

 外に出たボールはキーパーが確保して、ゴール・キックとなる。

「良いカバーリングだよ! 冴えてる、冴えてる! ホワイトフォード、この流れに乗ってこう!」

 口に左手を置いた遥香が、快活な声音で叫んだ。

 すでに立ち上がっていた桐畑は、大きく息を吸い込んだ。

「ヴィクターは、俺が見る! やっぱな、エースの相手は、エースがしなきゃいけねえだろ! だーいじょうぶだよ! 綺麗さっぱり、見事に止めてやるから!」

 大音声で自らを鼓舞した桐畑は、ヴィクターに近づいた。ゴール・キックを注視するヴィクターは、意に介した様子のない真顔だった。

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