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ツギハギは考える
そんな設定が見える?
他の怪異たちにも見えているの
だろうか?
考えてもわからないのでとりあえず
人間くんに皆の設定を聞いてみた
『例えば フードさんは
死と再生与える者だったかな』
『なん それ!かっけぇ!』
『そんで ツギハギくんは
捕縛する者(仮)って見えてる』
『(仮)ってなんだ?最悪!』
『誰かをこの世界に引き留めること
で完成するっぽいよ そしたら
ずっとこの 世界にいることを許可
するって でも出られなくなるって
書いてる 』
『ってことは まだ出られるんじゃ
ないの?』
『オレ エレベーターから外に
出られないよ 弾かれるんだ
だから帰れないと 思ってた』
『そうなんだ…ちなみに白い
レインコートのコも捕縛する者
って書いてたよ』
『あのコにエレベーターで帰れる
って教えてもらったから彼女は
出られるんだと思う』
『なんで?何が違う?』
『わからない でもいろいろ
試してみよう?』
『オレ ツギハギくんを連れて
ここから出る!』
『勝手に決めるなよ…』
『ツギハギくん…どうせ無理だと
思って ない?』
図星をつかれて 話題を変える
『人間くんの自分の設定は?
どう見えるの?』
『オレのは 文字化けしてて
読めない』
『あと 隙間さんと大きい顔さん
の 設定も同じく読めないね』
とにかく色々試そうと
張り切る人間くんに流されて
エレベーターまでやって来た
二人でエレベーターに乗ってみる
上の幽霊団地で扉が開く
オレが降りようとすると
バチッ!音を立てて時空が歪む
やはり降りられないようだ
ほらね?と人間くんを振り返った
人間くんは恐る恐る出口に手を伸ばす
その手がドアの外に出る
オレは人間くんの背中をドンと
押し 外に転げ出た 彼を残し
エレベーターのドアを閉じた
ミシミシと世界の歪む音がする
このまま下に下りられれば
こちら側のエレベーターは
消えてなくなり人間くんは戻って
これなくなりそうだと思った
でも 人間くんがが慌ててボタンを
押したので エレベーターは
また開いてしまった
『なんで 置いてく?』
『なんで 戻ってくんの?逆に』
『そのまま 人の世界に帰れ!』
『諦めるの早いって』
『今度は天井の崩れてる
ところ探そう!』
やる気に溢れる様子の人間くんに
少しげんなりした
大分探しまわってやっと天井の
崩れている場所を 見つけた
大きな穴からは 満月が見えた
穴から 虫も落ちてくるのか
近くで 虫の声が聞こえる
りーん りーん りーん
『あっちは 秋なんだな』
『なに?』
『虫の声が聞こえる』
腰をおろし 並んで空を見上げ
休憩する
『虫の 声 なんていうんだ』
『すごくやさしい文化だね』
他愛もない会話をして
壁にもたれて 月を見上げ
『今日はココで休もう』
『明日 道具を揃えてココから
出よう』
人間くんはそんな話をしていた
はずだ
隣でいつものようにスースーと
寝息を立てていたはず
では 今 目の前にぶら下がって
いる人間くんの形をしたものは
なんだろう………