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天井に届きそうな位置
彼の力で天井近くのあんな高い
位置まで素手で登るのは不可能だろう
糸?でぶら下がっている?
他の怪異の力でもないようだ
この部屋には二人の気配しかない
混乱し見上げていると
ビッ バリっ音を立てて彼の背中が
変形した
怪異化………もう脱出できるかという
この時になって…
複数な気持ちだ
『だから あのとき逃げてれば
良かったんだ』というイラだちに
似た感情と
彼も自分と同じところに堕ちてきた
という安堵のような気持ち
を抱えてだまって彼を見上げていた
パーカーのしたから半透明で
乳白色の肌をした何かがズルリ
仰け反るように出てきた
アッシュグレイの髪は長く伸び
長い触覚のように見える
ソレの背中には透明の薄く細長い
羽が何枚も生えていた
折り畳まっていた羽をゆっくりと
伸ばしている
月明かりで 羽はオパールのような
淡い色に光をにじませていて
息を飲むほど 美しかった
ただ長い時間見とれていた
ふわり 12枚の羽を震わせて
目の前に降りてきたソレは
後光がさしたように輝いていて
怪異というより 妖精か天使
のように見えた
ソレは口を開いた
『わたしがわかる?』
『こっちのセリフだ
………意識はあるのか?』
『うん それどころか全部
思い出しちゃったよ』
『怒らないで聞いてほしいんだけど』
『………わたしが 世界 だった』
『この小さな世界を作った
怪異の一人だ』
『オレたちを閉じ込めていたのは
人間くん?』
『うん 閉じ込めようとした訳では
ないけど…結果的に そうだね』
『キミが嫌ってる 退屈なこの世界』
『わたしが作ったんだ』
恋人を事故で失ったわたしは
なんとか この世界でだけでも
彼女を取り戻せないか 助けられる
選択肢はなかったのか?と
選択肢をつくり 時間を逆行させたり
進めたり また選択肢に戻ったりを
繰り返した
結果 彼女の死は変えられなかった
この世界でおこることには 干渉
できても 現実世界でもう起こって
しまっていることを変える力なんて
なかった
気が付いたときには わたしは
自力 でココから出ることは出来なく
なっていた
無限ループするなかで彼女の魂は
いつの間にか溶けてなくなって
しまった
現実世界の輪廻の輪に戻れていれば
よいのだけれど………
孤独なわたしの世界に
いつからか 他の怪異や人が
堕ちてくるようになった
最初は 隙間さん どこか時空を
割って入ってきて住み着いた
空間を動かして地震を起こして
しまうのは彼だけど べつに
起こしたくて起こしてるわけでも
コントロールできるわけでもない
ようだ
そして 彼が意図せず
沢山部屋をつくって お人形遊び
をしていた 大きな顔のコ の世界
とくっつけた
そのあとも 人が堕ちて怪異化したり
他の怪異のテリトリーとくっ付いたり
しながら だんだん賑やかになった
ただ怪異たちは身勝手で共食いも
するから ほっとくとすぐに
全滅しでしまう
だから理性あるものには役割を
与えてバランスを 整えた
そして 今 この世界は安定した
ちょっと 退屈なほどに ね
わたしが一人外れてもこの世界は
崩れたりしないと思う
わたしはココを出て新しい世界
を見たくなった
でも わたしもこの世界に捕まって
いて自分では出られない
たぶんこの世界を維持することが
いつの間にかわたしの役割になって
いたんだ
わたしは役割を破ってくれる者を
待っていた
ツギハギくんは気付いてないみたい
だけど キミはあっさり役割を
蹴ったんだよ?
結構な強制力なんだけどね?
マジでビックリしたんだよあれ
今までで最高のドッキリだったよ
キミの役割は捕らえておくことだ
でも エレベーターでわたしを
突飛ばして逃がそうとしたでしょう?
あれで今 役割 が揺らいでいる
おかけで わたしは羽化できた
今ならいつでも ココから飛び立てる
ありがとう!
ここで キミに 選択肢 を1つ
わたし と一緒に 新しい世界
に行かない?
今の身体ごとは連れていけない
その魂をわたしに預けてくれない?
一緒に来てよ 退屈はさせないから
選択肢
『魂を預ける』 『ここに留まる』
ツギハギくんは 特に悩んだようすは
なかった そして 答えた
『その すました話し方やめろよ』
『今までみたいに オレ アンタ
コイツって言えよ』
『ギブアンドテイクな関係でいいなら』
『一緒に行ってやってもいい』
『ありがとう!!!』
オレ は 歓喜に震えて
ツギハギくんを抱き締めた