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医務室の白い天井を見上げたまま、すちは静かに息を吐いた。
🍵「……生きたくなる」
その言葉は、あまりにも苦しくて。
こさめは返事ができなかった。
死刑囚が、“生きたい”って願うこと。
それがどれだけ残酷なのか、なんとなく分かってしまったから。
静かな沈黙が落ちる。
やがて、すちはぽつりと呟いた。
🍵「ねぇ、こさめくん」
🦈「……はい」
🍵「笑う時、ちょっと首傾げる癖あるでしょ」
🦈「え?」
急な話題に目を瞬かせる。
🍵「あと、嬉しいとすぐ顔に出る」
🦈「そ、それはよく言われます……」
🍵「知ってる」
ふっと笑う声。
でも、その笑い方はどこか懐かしむみたいだった。
こさめは首を傾げる。
すると、すちは静かに目を細めた。
🍵「……昔、大事にしてた子がいたって話、したよね」
こさめの胸がどくりと鳴る。
🍵「あの子も、こさめくんみたいによく笑う子だった」
優しい声だった。
本当に、大事だったのだと分かる声。
🍵「すぐ泣くし、無防備だし、危なっかしくて」
🦈「うぅ……」
🍵「でも、人の痛みに気づける子だった」
すちはゆっくり視線を落とす。
白いシーツを握る指先が、少しだけ震えていた。
🍵「……似てるんだよね」
小さく零れた声。
こさめは息を止める。
🍵「だから、優しくしちゃう」
🦈「……」
🍵「だめだって分かってるのに」
その瞬間、こさめの胸がちくりと痛んだ。
“似てるから”。
理由に安心したくない自分がいた。
でも同時に、すちがどれだけその“誰か”を大切にしていたのかも伝わってくる。
こさめはそっと尋ねた。
🦈「……その人、今は」
すちは笑う。
🍵「‥わかんない」
こさめは俯く。
すると、すちはゆっくりこちらを見る。
🍵「こさめくん」
🦈「……はい」
🍵「俺は死刑囚だから」
静かな声。
諦めきった声。
🍵「優しくされる資格なんてないんだよ」
その言葉に、こさめはぎゅっと拳を握った。
まただ。
またそんな顔する。
自分を悪人だって言い聞かせるみたいな顔。
🦈「……資格ってなに」
🍵「え」
🦈「そんなの、こさめが決める」
思わず声が強くなる。
すちは目を丸くした。
こさめは涙を堪えながら続ける。
🦈「すちさんが何したか知らない。怖いとも思う」
本当は、少しだけ怖かった。
あの日見た鋭い目も。
時々見える、底の知れない静けさも。
でも。
🦈「それでも、優しいって思ったのは本当だから」
少し震える声。それでも伝えたい
🦈「助けてくれたのも、心配してくれたのも、本当だから」
すちは何も言わない。
ただ、じっとこさめを見ていた。
🦈「こさめ、すちさんに生きててほしいです」
その瞬間。
すちの表情が完全に止まった。
呼吸すら忘れたみたいに。
やがて、ゆっくり目を伏せる。
🍵「……ずるいなぁ」
🍵「そんなこと言われたら」
震える手が、自分の目元を覆う。
🍵「もう、本当に諦められなくなる」
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