昔から変なものはよく見えていた。
ドアの隙間から何かが覗いてきたり、小さな光の玉が浮いていたり……
幼かった私は両親に何度も何度も訴えていたのだが信用される事は無かった。
仕方ないのだ、2人には霊感がなかった
小学生、中学生、高校生、と大人になっていくにつれそれは見てはいけないものだと理解し、見つけても目を逸らすか逃げるようになった
そんなある日の事
「ど、どういうことでしょうか…」
突然家に黒いスーツを身にまとった怪しい雰囲気の男性と女性が書類のようなものを持って来た。
どうやら審神者?という職業に就いてはみないかと言う話らしい
「もう就職活動が始まるお年でしょう?ちょうど良いではありませんか!」
と強引に話を勧めてくるが正直怪し過ぎてやりたくはない
そう思っていた所へ両親が来てしまった
「良いじゃないか!面接無しで給料も高いんだぞ。お前はこの仕事に就くべきだ」
最悪だ。断ればグチグチと嫌味を聞かされ続けるのだろう。
両親は毒親気質で正直良い人たちとは言えない、なにかやらかす度に出来損ないだとか役立たずだとか平気で言ってくる。
持ってきていた書類を覗き込むと「審神者募集してます!」「若者大歓迎!」「素晴らしい審神者ライフを保証します!」等書かれているチラシもあった。
こんな怪しさ満載の所へ金を稼ぎにいけと言うのか……
「分かりました…これからよろしくお願い致します」
結局しつこい話に折れて承諾してしまった。
早速明日から仕事だそうだ
学校の方には転校すると伝えてもらい、手続きをしていく。友達もいなくて気まずかったしこれで良かったのかも…なんて考えたりした
「さぁさぁこちらへどうぞ」
一段二段と階段を上がっていく。どうやら神社に来たらしい
「大きな鳥居…」
見たこともないくらい大きさの鳥居に驚きつつも境内に入っていく
「念の為こちらをお渡ししておきます」
そう言って渡されたのは
「短刀…!?」
そして札が数枚と食料や生活必需品が入ったリュック
「ああその短刀は自決用ですからいざとなったらお腹にグサッと刺してくださいね!」
笑顔で言うことじゃない
なんて突っ込もうとしたその時だった
「!?」
後ろからドンッと押されたかと思えば次の瞬間には視界が暗転していた
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