澄んだ空がゆらゆらと揺れる。草原をなびく風の音が遠ざかっていく。
・・・
目覚たらそこには見慣れた真っ白な天井。まどろみの中で吸い込む空気
……またね。あの少年の声がまだ耳の奥に残っている。あれは夢だけど現実だった。長いまつげに白い肌………ユウに会いたい。
涙が頬を伝う感覚があった。
生きる気力が湧かずフラっと出かけた外。
……この空、何色なんだろ。
失ったものは大きく。世界が白黒に見える。
……え?子供が……やばい、危ない……!
子供が道路に飛びだして車にひかれそうになっていた。
僕は必死に走って子供を突き飛ばした。僕は車にひかれてしまった。
なんてことをしてしまったんだろう。でも後悔はなかった……。僕は誰かを救ったんだ。
………これもユウのおかげだね。僕に勇気をくれたんだ。
・・・・
目を覚ますとそこは病室だった。通行人が通報してくれたようだ。
医者が何か説明していたが、何も聞こえない。何も入ってこない。
ただ、 ………ありがとう。ユウ