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リクエストです!!

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※過呼吸表現あり

※またまたちゃんと応えられてるか不安ですが、楽しんでくれたら嬉しいです!

※ド長文(3000字オーバー)




「っはぁ……ごほっ、ん゛っ、げほっ」

目覚めは最悪。

意識が浮上してくると、頭がズキンズキンと痛みだす。

欠伸をすると、喉もやられているのか、少しの呼吸で咽てしまう。

「ぁ゛、ぁ゛……げほっ、げほっ」

予想はついていたが、やっぱり声も出ない。

どうやら今日は、年に一回くるか来ないかの、超絶体調不良Dayらしい。

最悪だ、今日会議あるじゃん…… しかも事務所全体の……

『本日の会議はないこは喉をやられてるので筆談での参加となります。なにかある人は後日ないこまでお願いします✌』

スマホからディスコに連絡を送る。

あくまで俺は声が出ないだけ、とメンバーや社員のみんなに心配を掛けないように。

面倒なことは早めに終わらせたいし、全員が時間を取れることなんて滅多にないから、無駄にしたくない。

なんとかベッドから立ち上がって、キッチンに向かう。

薬を4種類くらい服用して、リビングのローテーブルに置いてあるパソコンを開いた。

体力はある方なのに、歩くだけで息切れがすごい。

その息切れの所為で、また咽てしまう。

パソコンから発せられるブルーライトに頭痛を覚えながら、メールの確認を始めた。


無造作なタイピング音とたまに出る咳だけが響くリビング。

気付けば、時計の針はもうすぐ11時を指す所だった。

「っ……げほげほっ」

頭痛が酷くなった所為か、吐き気までしてきた。

けど、会議は11時から。

体が壊れかけなのには、無視をして通話に入った。

「ぅ゛っ……ごほ、げほっ……ん゛……っ」

会議の進みは順調だが、いむ、こえ氏、こさめあたりの声が頭に響いてしょうがない。

始めは平気だったのに、視界にモヤがかかったようになって画面がよく見えない。

手足も痺れてきて、あ、駄目だこれ。と思った頃にはもう遅く、カシャンッと音を立ててキーボードの上に倒れた。

「ぅ゛……はぁ……っ゛げほっ、げほっ……」

倒れた拍子にミュートが外れたのか、俺を心配したみんなの声が聞こえてくる。

意識があやふやすぎてなんて言ってるのかは分からないけど。

意識を手放す寸前、唯一はっきり聞こえたらんらんの叫び声。

『ッないこさん……っ!!!』


つらいよ。たすけて、らんらん。




ここは、オフィス……?

俺、リビングでぶっ倒れたはずじゃ……

目の前には、俺を抜いた16人のタレントと社員のみんな。

「ね、ねぇ……俺、」

少し異様な光景に、傍にいたまろに話しかけようと手を伸ばした。

しかし、その手がまろに触れることはなく、パシンと乾いた音がして、手を払われた。

「ありえんわ、自己管理もできないとか。それでもリーダーなん?」

見たこともないような、冷たい目。

それに、俺は小さく、え、と呟くことしか出来なかった。

「勝手に倒れて、人に迷惑かけて楽しいの?」

こえ氏が言う。

「ありえないです。」

「会議終わらなかったのないこさんの所為ですよ。」

タレントのみんなが言う。

「社長なのに。」

「しっかりしてくださいよ、社長。」

社員のみんなが言う。

リーダー。社長。会議。ありえない。迷惑。

……あれ、俺ってこんな風に思われてたんだ。

「ごめん、……ごめん、なさ、い……」

涙が出そうになるのを必死に堪える。

「………ないこさん。」

ふと聞こえたらんらんの声。

らんらんは最後まで、何も言わなかった。

だから、少しだけ期待してしまった。

らんらんは、らんらんだけは庇ってくれるんじゃないかって。

けど、そんなことはなかった。

「見損ないました。……さようなら、ないこさん。」

君の口からは、聞きたくなかった。

「ぁ、まっ、て……!やだ!らんら、……!!ごめん、ごめ、!!やだ、行かないで……っ!!」

必死に呼び止めようとしても、みんなは俺から離れていく。

俺ってこんな弱かったんだ……

「行かないで……っ」




「っは……!げほ、げほっ」

あれ、夢……?

目を覚ますと、見慣れた天井。

しかし、いる場所はリビングではなく寝室だ。

「ないこさん……っ!具合はどうですか……?随分魘されてましたけど……」

「らん、ら゛……?げほっ、……は、かひゅ……っ ぁ゛、ぇ……っ、はー……ひゅッ、はッ、……ッ」

「ないこさん!?」

らんらんがベッドの上から顔を覗かせる。

いつもなら、安心するはずなのに、さっきの夢がフラッシュバックして、上手く呼吸ができなくなる。

本当は、みんなあんなこと思ってるんじゃないかって考えると、怖くて怖くて堪らない。

「ひゅッ、は、ー……っ、かひゅ、……!」

「ないこさん、俺の真似して下さい、!」

「吸ってー……?」

「……っ、ひゅ、ふ……っ」

助けて欲しいのに、頼るのが怖い。

「吐いてー……」

「……ふ、っひ、……ふ」

「そう、上手。あと少し……!」

らんらんに手を伸ばしたいのに、触れたいのに、拒絶されたら……っ。

「……は、ひ、……ひゅー……ッ」

必死に呼吸をしようとしても、過呼吸がおさまらない。

その時、ふと、唇を塞がれた。

「んっ、……ふ、は……っ」

らんらんに、ゆっくり息を吹き掛けられる。

すると、だんだん、苦しさが無くなってきて。

「はっ、……ふ、……っ」

「っ大丈夫ですか、ないこさん」

「ありがと、……ごめっ、らんら……っ゛げほ、」

「謝らないでください、」

そう言って、優しく撫でてくれるらんらん。

俺を見つめる暖かい眼差しに、なんだか安心して、涙が溢れた。

弱いとこなんて見せたくなかったのに、駄目だ。

やっぱ体調不良のときはメンタル不安定すぎる。

「何か、嫌な夢でも見ました?」

その問いかけに、俺はこくん、と頷くだけ。

「どんな夢だったか、話せますか?」

俺は泣きじゃくりながら答えた。

メンバーに、社員のみんなに、らんらんに、心無い言葉を浴びせられたこと。

みんなが俺から離れていってしまったこと。

それが、すごくすごく怖かったこと。

「みんな、も、こころ、の……っどこかで、そ、っ思ってるんじゃ、ないかっ、て……こわ、くて……っ」

「そんなことないです!」

ふと、らんらんが俺の手を握った。

桜色の瞳と目が合う。

「迷惑だなんて、ありえないだなんて微塵も思ってません。俺らは仲間です。仲間を信じてください。」

「そんなに心狭いと思われてたのは心外ですけど!」

最後はいつもみたいにおちゃらけた口調で、らんらんは言った。

俺は、その言葉が、何故か特別嬉しくて、また涙が出た。

「……あっ、すいません!声響きましたよね……」

「んー……っん、そうじゃ、ない……、ありがとう、らんら、……」

手を握っていた手を引っ張って、らんらんに抱き着いた。

「ありがと、……らんらんっ、だいすきだよ、……げほっ」

「ぅ、え……っ」

面食らったように、頬を赤らめていくらんらん。

「へへ、かわいー……げほ、」

「ほ、ほら!ないこさんまだ体調悪いんですから、寝ててください、!」

「はーい……っ」

若干にやにやしながら、布団をかぶる。

らんらんのお陰か、頭痛はかなり引いてきた。

「けほっ、ん……おやすみ、らんらん……」

「おやすみなさい、ないこさん。」

目を瞑って、横向きになる。

別に眠たくて寝たわけじゃない。少しだけ、期待したから。

「……俺も大好きですよ、」

これを。

耳元で囁いたらんらんは、足早に部屋を出ていった。

もう眠ったって怖くない。あんな悪夢はもう見ないだろう。

もし見ても、大丈夫だ。だって俺には、仲間がいるから。

そう思って、今日いち幸せな気持ちで眠りについた。




「内藤ないこ完全復活!ご迷惑お掛けしました!!」

翌日、体調が万全になった俺は出社した。

社員のみんなは大丈夫ですか、とか、もう1日休んでも良いんですよ、とか心配の言葉を掛けてくれる。

本当に愛されてるんだなぁって痛感した。

「ないこー、大丈夫やった?」

「うん、寝たら治ったわ」

「フィジカル強ー……」

出社していたまろと会話を交わす。

「そーいや、らんらんに惚気られたで。ないこさんの弱いとこ見られた!かわいかった!みたいな。」

「……は?え?まじ?」

「まじ」

俺は即座にスマホを取り出し、らんらんにLINEする。

『ごめん忘れてほんとに』

『絶対嫌です』

流石社会人やってるだけあって、返信が早い。

『忘れて』

『嫌です』

二度目の返信と共に、俺の寝顔の写真が送られてくる。

昨日撮ったのだろう。

しっかり涙の跡が付いている。

『本当に忘れて消してはずい』

まさかの既読無視。

おいまじかよ……!?

「わー……ないこたん顔真っ赤」

「だまれ……っ」




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